太めの枝をあてがう事で、きっと歩けるようにはなったと思う。後は体中を白露に拭かれている叢雲が、実際に歩いてみるときに微調整が必要だろう。
「でも、珍しいね。駆逐艦でここまで外傷が多くなるのは」
先の戦いでは随分と大きな穴を腹に開けたり、腕が飛んでいたりしていたが、そうなのだろうか。肉が残っているという意味で言っているのだろう、と勝手に納得する。
「至近弾が、多かったのよ…あの日と同じだわ」
過去にも同じことをやったのだろうか、歴史に詳しくないので分からない。少なくとも叢雲の前世では回避が上手いのか、運が良いのかそれらのどちらかであることが分かった。
「提督、大体拭き終わったし、食べるものを用意しよう。青妖精さんに任せていいかな?」
『いいよ、わかった』
青妖精以外の妖精らを率いて、崖の方に行く。ならば、俺は森の方に行こうと思い、半分くらいを持っていこうとすると、白露に止められた。
「提督もこっち」
「手分けしたほうがいいだろ」
「いーから」
強引に引っ張られ、仕方なく崖の下までついていく。崖の下につくと、白露は手を叩いて妖精達に指示を出す。そういえば俺ら手伝う必要ないじゃん。
「…叢雲ちゃんのことだけどさ、艦娘全般に言えるんだけど、入渠かバケツをかぶらないと傷って治せないんだよ」
あー、察した。そのことを言いたかったのか。わかるわけ無いだろ!ってのは置いといて、人間のように自然に治ったりしないのだろうか。
見た目的には白露は高校生で、叢雲は白露の一個下の後輩といった感じである。高校生ぐらいって結構傷が治りやすいイメージがある。
となると、史実の年齢か?軍縮条約云々言っていたから1935年ぐらいだろうか、歴史は苦手である。それで1945年まで生きていたとして10歳。しかし、戦いを見上げていたらしいから、それよりも幼いかもしれない。
「艦娘って艦の頃の魂の一部って言ったよね。艦って人間みたいに勝手に治らないんだよ。だからこんな格好していても、全然人間じゃないんだ」
年齢じゃないのかよ!
化け物だとは知っていたが、怪力を持っても耐久がない諸刃の剣のようなものだったらしい。ま、人間の回復力でも追いつけない傷だが。
「艦娘のダメージとか、痛みっていうのも、勝手に私達が思った威力を身体に表した結果らしいよ。それでどっかの鎮守府だと、痛みを考えない訓練をしていたんだよ。夜戦に奇襲がされないのもこれが理由」
ちょっとよくわからないです。ええとつまり?知らなければ攻撃を受けないってことでいいのか?う〜ん難しい。
「だから何やっても、治療にはならないんだよ。叢雲ちゃんが出血してきたって思えば、出血するし、沈んだって思えば沈んじゃうんだよ」
「それで入渠でないといけないわけか」
口ではこんなこと言っているが、話についていけていない。結果として白露の言いたいことを言ってみただけだ。
「そのとーり。ということで、ここを入渠する場所にしたいと思います!」