補給途絶鎮守府   作:フユガスキ

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主戦力集結

 1/2ということはおよそ150隻ということだろうか。確か、キリサキの保有する隻数は約300隻と書かれていたのを見たことがあるので、大体そんなものだろう。キリサキにとって150隻ほどを用意するのは造作もないことのようだ。最強かな?

 しかし、そんな数を集めて何をしようというのだろうか。普通に考えて、艦娘を集めるということは深海棲艦を倒しにいくということだ。だが、倒すだけならすぐには必要ない。というより、すぐに用意したところでその量を使い切るだけの作戦がすぐにはできない。逆に言えば、すぐ必要ということは、すぐに作戦上の好機がやってくるということ。つまり、今から大きな作戦が動き出し、この結果が戦況に大きく響くということである。

 

「でも……」

 

 もしも、すぐにという言葉が緊急時を指すのだとしたら、話は変わる。深海棲艦の全く予期されない動きを観測し、その動向が大きな被害をもたらすと予想されたのならば――つまり奇襲されそうと予期されるならば、150隻は防衛重視になる。逆にカモにするにしても、島の安全が第一のはずだ。だから不利なことには変わりない。

 

 いやまぁ、考えすぎなんだけども。150も数がいるなら攻守ともに万全だし、なんなら滅ぼすことも可能だろう。たぶん。

 そんなことは提督歴の短い俺にとってはただの勘でしかなく、経験上の推測でも、数多くの戦績からの予測でもない。なので、きっと何もしなくても、キリサキやその他の提督がなんとかしてくれるに決まっている。

 

 とりあえず、何が起きてもいいように、夜戦に行ってしまった川内を連れ戻そうか。それは神通にたのも……いや神通だと川内が帰ってこなさそうだし、白露、も一緒になって帰ってこなさそうだから神州丸に頼むことにしよう。いやむしろ、自分で行ったほうがいいまであるな。

 

 立ち上がって、文月たちの戦いを観戦していたときに、食べていたポテチの塩がついた手を拭こうとティッシュを探していると、神州丸が気を利かせてティッシュを手渡してくれたので、ありがたくいただく。

 

「提督殿、海に出られるのであれば、この神州丸も同行させていただいてもよろしいでしょうか」

 

「え、あ、うん、もち」

 

 心が読めるのかな?

 白露と神通はそのまま部屋に戻るようなので、神州丸と共に海に出ることになった。正直、神州丸がいなければ居場所のわからない川内を夜目が利かない状態で探す羽目になっていたので、助かった。まぁ、川内のことだからそれほど島から離れていないと思うが。

 

 部屋を出て、神州丸とともに艤装を装着して港から海に降りる。最近海に立っていなかったため少々不安定だが、走るくらいはできそうだ。

 いこうか、と神州丸に声をかけ、島を右回りに一周する旨を伝える。一応、12cmたんそー砲を持っていくことにしよう。

 

「あれ?」

 

 そういえばすっかり忘れていたけど、この主砲には妖精が乗っていたはずだ。というかなんなら頭の上にいるはずの青妖精すらいない。ι少尉からもらった艤装自体の妖精はいるようなので動きはするが、あの島の妖精とは雰囲気が少し違う。あの小島では青妖精の統率のもと動いていた感じであるが、この艤装の中にいる妖精は常にぼーっとしている。大丈夫か?

 なんてことを考えていると、神州丸に、どうされました、と聞かれたので、なんでもないと言って早速川内を探しに行くことにした。

 

「不調がありましたらすぐに仰ってください。海というものは危険なので、一つの不備が命運を分けるなんてよくある話であります」

 

「おけおけ。今は全然大丈夫だ」

 

 まぁ、青妖精も、高飛車な12cmたんそー砲の妖精も、いないところで何か困ることはあまりない。妖精が多少いないところて、どうせ攻撃力は皆無に等しく、戦闘経験がないのだから、戦うことは万に一つもありえない。というか12cmたんそー砲の妖精ってなんか名前あったっけ?最近見てないから忘れてしまった。なんか、〜〜かしら、とかよく言ってたイメージ。

 

「……あ、提督殿、あれをご覧ください!」

 

「ご覧て……別に敬語使わなくても」

 

 急に神州丸が島とは逆側の海を指さしたが、俺には暗くて何も見えず何があるのかよく分からなかった。

 

「あれは、おそらく哨戒班でしょう。川内がこちらに来ていないか訊いて参ります」

 

「お、おう……」

 

 なんか思ったより頼りになるな、こいつ。でも、暗い海で一人残されるのはちょっと怖いので、ついていくことにする。実はあまり神州丸も見えてはいないけど。

 神州丸の進む跡の波を頼りに哨戒班に近づくと、神州丸はどこからともなく妖精を取り出して前に突き出した。何やってるんだ?

 

「これは彼女らに味方だと伝えるために、妖精さんに通信を取ってもらっています。たまに妖精さんのイタズラで誤射されることもありますが、深海棲艦も喋れる個体が増えているので確実な方法となります」

 

「え、なにそれ怖っ」

 

 確かにネ級とか余裕で喋っているので、妖精を使うのはいい手段だと思うが、イタズラで誤射されるのか。リスクも大きくないか?というか、ナチュラルに心読んでくるスタイルなのね。

 

「不肖、この本艦、陰陽に多少通じておりまして」

 

「陰陽って、あの陰陽?」

 

「陰陽は陰陽であります」

 

 魔法やんけ。え?この世界って魔法が存在するの?まじかよ。ということはもしかして、チート全開で無双ターン始まる?神州丸って実は艦娘界最強だったりする?あ、そっか、これも聞こえてるのか。

 

「そんなことはないですが……あ、到着致しました」

 

「ん?お、そうか」

 

 確かに目を凝らすと、海に反射した月光りでうっすらと人の輪郭が浮き出されている。たぶん6人。

 そのうち、こちらに近づいてきた人影は――もとい船影は、マントを羽織っているようで、人の輪郭が少し分かりづらい。

 

「2隻か……どうした?」

 

 お、話が早いな。さっきスクリーンで見たキリサキの艦隊は、なにやら、どこの所属だ、とか、輸送か護衛か、とか問われて度々足が止まっていたっけ。

 問いかけに応じようと前に出ると、神州丸が、ここは本艦が、と言って俺より先にに応じた。

 

「木曾、貴艦は川内を見かけなかったか?」

 

「いや、見ていないな。まさかはぐれたのか?」

 

 はぐれたというか何というか。元はと言えば、川内が夜戦夜戦と言って飛び出したからであって、俺らも夜戦をしにきたわけじゃない。

 

「夜になると騒ぎ出すからな……」

 

 おっと、思わず口に出てしまった。

 木曾はこちらに顔を向け、お前そんな口調だったか……いや、そっちはそっちで色々あるんだな。と両肩に手をおいて頑張れと励ましてくれた。お前、眼帯してるやつに言われても、木曾のほうが大変そうだよ。

 

「はぁ……ったくそっちの指揮官はどうなってやがるんだ。……まぁいい。俺らも探すが、哨戒のルートから外れるわけにもいかない。見かけたら戻るように伝えるが、それでいいか?」

 

「力添え、感謝する」

 

「つーか、1隻なんて轟沈しててもおかしくないぞ。何なら貴様らの指揮官のとこに直接乗り込んで、斬り捨ててやろうか?」

 

 その指揮官、目の前にいますよ。斬らないでね。

 な!と賛成を求める木曾に、あ、あぁはい、まぁ、と曖昧な返事をして、ではそろそろ、と手を離してほしいことを暗に伝える。すると木曾は、肩から手を離し、じゃあな、と快活に言って哨戒班に戻っていった。

 

「では、我々も探しに行きましょう」

 

「おっけぃ!」

 

 遠くから、斬るってオレの剣じゃないだろうな、もちろんお前の剣だ、天龍、みたいな会話が聞こえてくるのをよそに、俺らも逆方向に進んで行く。

 というか、あの木曾って男性じゃないのか?なんか艦娘って女性だけだと思ってたんだけど、違ったのか。

 

「いえ、木曾は女性ですよ」

 

「え、マジ?」

 

 木曾が女性なのにも驚きだけど、艦娘って艦じゃなくて女性なのか。

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