いやいや、待て待て。さっきまで火傷だらけの体が何で無傷になってんだ?少なくとも入渠ではないとすると、回復ポーション的な何かがあるのか?
「もしかして、応急修理女神を積んでた?」
応急修理女神?なんか昔らしからぬ名前が飛び出てきたが、何なのだろうか。名前から察するに応急で修理をする女神だろう。妖精とは別種ぽいな。
「アイツは、そんなレアなもの渡されるほど偉くはないわ。大破してここに流れてきたのも、アイツの采配のせいよ」
アイツっていうのは采配と言っているところから、提督とか言うものだろう。…頭の上に登ってきた青妖精から怖い気配を感じる。怖え。
艦娘を大破させてるというところでは、俺と似たところがある。あの時も青妖精には、艦娘に雑な扱い方をしていると怒られた。青妖精の前でそういう話は禁止である。
『提督、叢雲さんの提督を怒りたい気分だよ』
「そんなことすればここはなくなる。我慢しとけ」
すぐに叢雲に言い出さないのも、ちゃんとそういうところを理解してるからだろう。とはいえ、ここに来たのは艦娘の扱い方が酷かったからであるため、叢雲を助けにいかないのは本末転倒もいいところである。
だから、妖精の意図を組めばこういう助け方もできる。
「なぁ叢雲、ここで過ごす気はないか?」
俺の現状は厄介払い。どこが厄介なのかは全くわからないが、こうも辺鄙な場所であればなにかしら大きな理由がある。
そうなると中将より下の階級であれば容易に手出しはできない。叢雲の発言からおそらく中将よりかは下ということが分かる。
中将より上であれば白露が応急修理女神を使うという発想になるわけがないからである。
「そうね。アイツが来るまではお言葉に甘えるわ」
は?帰るのか、大破させてる提督の元に?大破っていうのは辛いもので、逃げたくなるものじゃないのか?そうだったはずだ。
…いや、俺の認識があまかったのか。そもそもその概念は青妖精の影響である。つまり、青妖精だけの意見を俺の意見とすり替えたのである。
と、いうことは。意見の尊重として、反対はしない。
「それよりも私は、白露が二人。しかも片方は少尉で口調が変なやつが、ここにいる理由を聞きたいわ」
そう言われて俺と白露は顔を互いに見る。俺がこんな化け物と一緒?はいそのとおりです、ごめんなさい。
白露はタハハ、と苦笑いをし、俺はナイナイ、と首を横に振った。
「こっちは提督、男の人だよ」
「はあ?何言ってんのよ。そんなことあるわけないわ」
そう言って叢雲は自分の胸を揉んでいる。そして、そんなわけないわ!と叫ぶ。なんで2回言ったし。
『ごはんじゅんびかんりょう』『まんじょういっちのでき』『すべてのしょくざいにかんしゃをこめて…』
夕飯の準備ができたらしい。青空もそろそろ赤く染まりそうである。
「とりあえず、夕飯だ」
そう言って俺も白露も特定の位置につく。叢雲も慌てて流木の上に座り、枝で刺した焼き魚を持つ。
「「「いただきます」」」
今日も無事に一人増えて食事を迎えられた。