今日の夕飯は焼き魚に塩をかけ、少し貝を添えた海の料理。海鮮料理って程料理はしていない。いつもより量が多い分豪華さは増しているが、どんぐりの背比べもいいところだ。
しかし、焼き魚という最近では慣れている人も少ない魚料理。極めれば美味しくなるが、ただ焼いて塩などをかけるだけでもご飯が進む。
前世―死ぬ前でも好きでよく食べていたため、焼き魚は食べることができる。俺はかぶりつくほうが好きだ。また、2日も連続で食べている白露も食べることには慣れている。
問題は叢雲である。箸がないためかぶりつく俺らをガン見して、一向に焼き魚に手をつけようとしない。そのため、手持ち無沙汰になり会話をする。
「白露二人組はいつからここにいんのよ」
「3日前だよ」
白露がそう答える。いや、だから俺は白露じゃないって。
「それよりも、どうやって身体が治ってんのかの方が俺は聞きたい」
「俺って…まあいいわ。どうやら"お上"の研究で仮説が立ったらしいわ。アイツから聞いて知ったんだけど、魂のイメージらしいのよ、この身体は」
そこは知っている。お上っていうのは大本営とか?海軍なら有り得そうである。なるほど、それなら白露の提督がθ中将だから、先にその仮説を聞いていたのか。
となると、叢雲の提督も将官とかの階級なのか。でも、たしかそんなに偉くないと言っていたような…?
「で、アイツはこんなことを言ったのよ。だから、入渠をしないでバケツもいらない回復をしよう、ってね。その後が大変だったわ、戦闘中にそんなことできるわけないから、母港に帰ってみれば入渠なしで自分で回復しろ、だったもの」
愚痴が始まってしまった。青妖精は怒ってるし、白露はホラー映画で怖がってる人みたいになってるし。収集がつかない、というか白露に関しては同じ幽霊の類だろ。
「それでどうやったかだったわね。ただ治れ〜治れ〜って入渠してるのをイメージしてただけよ。練習した甲斐もあったわ」
つまり、白露と同じということか。叢雲の説明では脳で認識するから魂を騙すことができるそうだ。白露と少し違うか?白露は刻み込まれたものが反応するって感じだったが。
夕焼けが空を覆い始めてきた。そろそろ就寝だ。食事も終わったので、ごちそうさまをしてブルーシートに向かう。
「えっ。夜の哨戒はしないの?」
「ここは激戦区だからな、見つかれば即死ぬし、下手に刺激して迎撃できるわけでもないし、必要ないだろう」
まぁ、今までやってこなかったが誰も来てないので、必要性を感じてないのもある。
「肝が座ってるのね…」
そう言って叢雲はずっと海を眺めているので、俺達も起きざるを得なくなった。