補給途絶鎮守府   作:フユガスキ

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妖精のうたげ

水面に何かが降る音が聞こえる。だんだんとそれが雨の音だと分かり、はね起きる。どうやら寝落ちしていたらしい。

 

隣の白露は一番に寝ていたのは知っているが、叢雲は未だに起きている。しかし、半分くらい寝ている状態ではある。

 

「前にも言ったが、船が来るのは早くてまだ6日はかかる。いくら待ったって無駄だ」

 

叢雲は眠りかけながら、海を見ている。反応がない、意地になっているのだろうか。

 

「…はぁ、俺が見とくから寝とけ」

 

そういうとこちらを一瞥してから、ブルーシートの上に寝転がる。雨音がするただ一人だけの静かな時間になる。

 

海は荒れている。船がどのくらいから運航中止にするか知らないが、自然の力は強く、艤装を使って海を走れるとは思えない。

 

風が強い。雨はブルーシートの屋根を通り抜け、体に降り注いでくる。台風のような感じがする。

 

艦娘の服は毎日のように海の飛沫に当たるため、防水加工がされており、艦娘自身もそういうのには慣れている。

 

それに対して提督の服は、すでに汚れていたものが更によれよれになる始末だ。これを着ていても冷えるだけなので、雨避けにでも使うことにする。

 

ふと、何かが目の前を通った気がした。この風だから枝だろうと思って座り直すと、黒い物体がどんどんと流れてきた。

 

よく見てみると、それは妖精たちだった。妖精が風にさらわれて、飛んでいる。

 

『おはよう。今日は風が強いね。でも昼頃には止むよ。あと、小一時間といったところだね』

 

頭に乗った青妖精が、のんきなことを言っている。

 

「あれは大丈夫なのか?」

 

『なになに?聞こえない』

 

強い風に声が遮られた。もう一度大きな声で試みる。

 

『んー聞こえない』

 

なんで青妖精の方は聞こえるんだよ!俺は伝えることを諦める。そもそも、ここまでのんびりしているということは、安全で手を出す必要がないということだろう。

 

そして、小一時間経ち本当に雨が止み、太陽が姿を現した。目分量では大体11時といったところだろうか。ということは昼飯時である。

 

「ほら、起きろ白露」

 

肩を揺すって起こす、あの暴風と強雨の中でよく眠れたな、なかなかに図太い。

 

「あれ?なんで提督脱いでるの?」

 

今の俺は黒いランニングシャツ?を着ているだけである。昔も今もあまり服には凝らないためよくわからない。

 

船内で憲兵?と呼ばれる人たちの下着と同じやつを借りたのだが、そのまま置いてかれたので返す暇がなかったものだ。

 

ズボンと上着が濡れているので乾かしている最中である。気温は高いので問題ない。木の枝にかけた衣服を指差して白露に見せる。

 

「提督…図太いね」

 

いや、こんな環境で風邪を引いたらだめだろ。

 

「とりあえず、叢雲は寝かせといてあげろ。飛ばされた妖精を回収して、食事ができたらその時に起こそう」

 

「はーい」

 

島中にもしかしたら、沖にも飛ばされた妖精の回収をしていたら、海の方に黒い点を見つけた。艦娘なら俺が見つける前に見つけているだろう。

 

砲撃があれば、深海棲艦である。注目しているとだんだんとその形が見えてきて、

 

「は、はぁ!?」

 

元祖海の上を征くものが見えてきた。

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