「なんで火をつけたし」
「…あっ。てへっ」
考える素振りを見せ、可愛らしく舌を出す。流木などで風をうまく止めていることには感心するが、この狭い島で貴重な木を簡単に焼いてしまうのはマズイ。それに気づいてくれたようだ。
とはいえ、やってしまったことをネチネチ言うのは性に合わないため、有効活用をしたい。
「じゃあ昼飯にしよう」
そう言うと白露は目を輝かせる。お、おう急にどした。
「あたしにできることある?いっちばん、頑張っちゃうよー!」
そう言って半袖をまくり上げ、任せてよ、と言わんばかりの気合を見せる。
森の中であまり頼らないと決めたばかりだが、早速頼むことにする。
森の中では食料になりそうなもの、というのはよく分からず、そもそも木の実らしい木の実も見当たらなかったので、必然的に食事は海に頼るしかない。
陸上ならまだしも水中での動きというのは慣れず、前に見た無人島のサバイバル番組でも魚は獲り難いように見えたため、魚料理は困難を極めるだろう。
そこで必要なのが白露である。2人いれば魚を捕まえることのできる量は増えるだろうし、海と関わりのある船なら何とかできそうという希望的観測である。
「魚とr」
口に出して気づいたが、服をどうする気だったのだろうか。何かを着たまま海に潜るのであれば、その服は一時使えなくなる。艦だったとはいえ白露にそれを強要するのは問題があると思う。
「魚?魚を食べるの?」
「いや、服が濡れるし、他を考える」
海に潜れないとなると魚を獲る方法が思いつかない。釣りにしては浅瀬すぎるし、深いところに行こうにもまさか海の上を浮くことのできるわけではない。
「服を全部脱いじゃえばいいよ」
こんな突拍子のないことを提案するのは白露である。
は?今、全部脱ぐとおっしゃいましたか?
「だってそうすれば濡れないじゃん。あっでも…潜るのはいちb―ちょっと苦手かな」
そう言って苦笑いしている。無理して笑おうとするタイプの笑い。う〜ん泳げないのだろうか。そうしたら戦力として当てにならない。
「でも森の中ならダイジョブだよ!妖精さんたちもいるし」
(よ、妖精さん?何言ってんだ、こいつ?疲れているのか?)
「あっ。妖精さんって言うのはね、ほらっ」
そう言って手の上に何かを大事そうに乗せているポーズをしている。両手を水をすくい上げる形にしてこちらに突き出している。
「な、何言ってんだ?ここには何もいないだろ」
そう言って白露の両手の上に手をかざすと、何かに触った感触がした。びっくりして熱いお湯に触れたときみたいに手を引く。え、え?どゆこと?
「え…もしかして見えてない?」
「ま、まぁ」
俺は何に触れたのだろうか、そう思って同じように両手を作って白露の手の近くに持っていく。白露はなんの躊躇いもなく見えないナニカを渡す。
「おお、」
まったく見えないが感触だけある。なんとも不思議な感じだ。妖精の形に撫でると奇妙な形をしていることが分かる。
そうこうしていると、そのナニカがもぞもぞと動き出した。されるがままに固まっていると、腕を渡り肩から頭の上に登る。どうやら頭の上で落ち着いたようだ。
白露は俺が妖精さんと戯れている間になにか別のことをしていたようで、
「うん…よしッ。少尉さん、妖精さん達が食事を用意してくれるって。あたしは寝られるところ、作ってくるから、そこに座ってて」
そう言って白露は近くにあるブルーシートを持って森の方に行った。