「また暇があったら来るよ」
そう言って5人の艦娘に囲まれてα中尉は帰っていく。トンボ帰りとは、お疲れ様です。
さて、もう夕方である。今日は一食も食べていない。そのためいつもより多く取るとこにする。妖精らを連れていつもの場所に行こうとすると、青妖精に止められる。
『提督、もうあそこの貝はとれない。魚も今日はいなかった。つまり、人の食べることのできる物はもう残っていない』
マジで?飲料水もなければ、食物もなくなってしまった。あと6日間を飲食無しで過ごさないといけない。ギリギリいけそうだ。
「っていうか、一日で船が来ることができるのに、なんで10日間も待とうと思ったんだ?」
考えてみればそうである。ここに来るまで5日間かかった計算でやっていたはずだ。つまり、何かが間違えているということになる。
…近くに島があるのか。わざわざ日本から来る必要はない。近くに物資を多量に送るところがあれば、そこ経由で送ればいい話である。
したがって、α中尉はそこから来たと考えるのが自然である。現状、往復の最短時間は2日。これならば今日までに来ることは可能である。
それが来ていないということは、
「厄介払いではなく、捨てられた?最初から戻る気などなかったということか?」
そうすると、α中尉の言葉の理由が分からない。なぜ、ここに俺がいることが必要なのか。わざわざ俺がここにいることを全員に伝えたのだろうか。
それとも、ここが任地だと勝手に勘違いしたのだろうか。後者のほうがありえそうである。とはいえ、最前線に少尉を任せるか?少尉というものがどれくらいの地位なのかは知らないが、佐官とか将官に任せそうなイメージである。
「ええぇ!提督のご飯ないの?じゃああたしも食べないよ」
「何言ってんだよ、ちょくちょくこの島の周辺を滑ってるくせに、腹が減っては戦はできぬって言うじゃん」
「なんで知ってるの?!」
「バレてないと思ってたのか…。というかあれを食べたり飲んだりしてたらバレバレだろうに」
「じゃあ哨戒にいかないければ、それで食べなくて済むよね」
ドヤ顔をしながらそんなことを言う。姉妹が来て浮かれているのだろうか、だいぶおかしなことを言っている。
「それ、本末転倒じゃね?」
「…はっ、確かに」
姉妹といえば、たしか白露が一番艦などと言っていた気がする。
「なぁ、話が戻るんだけど、船の型ってなんだ?駆逐艦とかそういう分け方じゃなさそうだけど」
「それはね、船体の違いだよ。質量が重かったり、排水量が多かったりとか違いがあるんだよ」
「じゃあ一番使いやすい型の一つだけ量産すればいいんじゃないか?」
「いや技術力とか色々あるからね」
そんな15年間で変化するものなのだろうか。軍縮の脱退前後の違いだけな気がしなくもない。
「とりあえず、何か食えよ。俺はまあ、食わなくてもそれなりに生きられるから」
「…はーい」
ふてくされた顔をしつつ、燃料を飲んだり、弾丸を食べたりしている。しかし、それで補えるのは航行することと、砲を撃つことだけである。
「やっぱり、傷が目立ってきたな」
ドックを作ることを白露が強く言っていた理由は、少し体にできた傷の個数が増えているからである。毎日のように行っていたら、きっとどんなに注意しても攻撃を受けてしまうのだろう。早々になんとかしなければならない。