海の上をスケートのように滑る。スケートと違う点は暑い空気と海の匂いがすることである。しかも、水しぶきを上げ、デコボコした道を流れに沿って滑ってることから、スキーに似ているかもしれない。
前世の俺はどちらも滑ることはできたが、今回の場合は難しい。何が難しいかって?
艤装が妖精らに操られるため、高さがあればジェットコースターそのものである。また、自分であまり動かしてはいけないため、体幹で重心を調整しなければならない。
艦娘というものは、このアンバランスの中であれだけ動けるのだからすごい。初めての自転車を体験した記憶がよみがえる。子供の頃だが、強烈な記憶だ。
さて、いつまでも感傷に浸らず、ここに来た目的を果たすことにする。ちょっと重めの22号電探を持ち上げ、妖精たちに指示を仰ぐ。
『でんたんにかんあり』『だいたいあと2〇ごにせってき』『もうむりだ……おしまいだぁ』
「じゃ、提督は島に帰ってね。あたしもすぐに帰るから」
まあ約束だ。仕方ないので帰ることにする。なんか、死亡フラグっぽいのは気になるが、おそらく問題ない…かな?
通ってきた道を通って孤島に帰る。先までは前に白露がいたが、このだだっ広い海に一人だけでいると少し寂しくなる。
およそ10分ぐらい過ぎただろうか、体感ではちょうど折返し地点である。
『またまた、でんたんにかんあり』『さげんがわにあと1〇ご』『なにをねごといってる。ふてくされるひまがあったらたたかえ』
ええと、10分後ということは、島の到着と一緒か。つまり、深海棲艦もあの小島に行きたいということか?
今は一人のため戦うことはできない。そのため、島にいたら深海棲艦に殺されそうである。しかし、ここに立ち止まればいつ深海棲艦に会うかもわからない。
八方塞がりである。まさか、他の島に行くわけにもいかない。あてもないのに適当に行くのは危険だ。そうすると、白露のところに戻るのが得策か?
今、引返せばちょうど接敵した頃に…ではなく白露も進んでいるため戦闘開始から20分後くらいにつくことになる。最大速度を出せばもっと早く会うことはできる。
「よし、妖精達。白露のとこ行くぞ」
『えー、しらつゆさん、きちゃだめって』『いってたー』『だまれこぞう』
「いいんだよ。逆に一人の方が危ないだろ」
『なるほどー』『あたまいー』『イーーッ』
そう言って180度方向転換して白露の方に直進する。こういうときなんか言うことがあったような…。思い出した。
「よーそろー」
にわかに覚えている船系の知識を出して、鼻につく潮の匂いを吸い込み、戦地に赴くことにする。