補給途絶鎮守府   作:フユガスキ

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ばーさすホ級

「2号邪魔ねぇ…」

 

いや、連れて来といてひどくないか。一応、白露の指示された場所で彼女らの戦闘を見ていたのだが、叢雲の視界に入って戦闘に集中できないらしい。

 

小島への帰り道、道?…道で所謂反省会が行われた。俺は海戦なんてものは分からないので、艦娘の二人だけで会話している。なかなか辛辣だ。

 

白露は俺が男だということが分かっているのでフォローをしている。最初はなるべく戦わせようとしていなかったみたいだが、今はなるべく安全になおかつ有効なものを言っている気がする。あくまで素人目…耳?であるが。

 

まあ、それはね?使えない人がいて切り捨てるのは普通のことだと思いますよ。ただ、有効に活用をしようとかいい子かよ。そういうのに参加したくないときはあるけど、ね。

 

そして、おそらく十分ぐらいした頃にようやく島と、それを背にする黒いのが見えた。

 

「――ッ敵艦?!沈みなさい!」

 

「提督ッ逃げて!」

 

妖精達はその声に反応して後退を始める。俺は転びそうになりながらも進行方向に体を向ける。ふと、振り返ると白露と叢雲は別方向に誘導していることが分かる。

 

「妖精、あの真ん中の人はなんだ?」

 

『けいじゅんほきゅう』『くちくかんよりおおきい』『よわいよわいよ』

 

軽巡?はともかくホ級っていうのはネ級と同じ系列ということか?残りの黒いのは先のロ級に似ているな。深海棲艦はうんたら級って名前なのだろうか。

 

とはいえ、前のと違い今回は2:3で数で負けている。だいぶロ級を簡単に倒していたのを考慮しても、数の差は戦況に大きく影響が出ると聞いたことがある。

 

う〜ん、あの戦いに参加すべきだろうか。ネ級のときとはかなり状況は違い、避けるということに現実味がない。3方向からの攻撃というのは、例え戦闘を知らずとも辛そうである。

 

考えとしては参加すべきでないことは分かる。しかし、感情的には今すぐに消し去りたいものである。なぜか、あの姿を見るととても憎たらしく感じる。恐いというのも大きいが。

 

この2つをどう比べるべきか。こういう場面に当たるたび自分の何もできなさに悔しくなる。だから、参戦しようにも、彼女らに迷惑をかけるわけにはいかない。

 

確かに白露は恐いし、不愉快の感じる人と一緒にいたくない。ただし、それはあくまで俺の弱さである。それを押し付けるのは愚かである。

 

そんな偽善の言い訳を心の中でし、逃げることにした。どこに向かえばいいのかわからない。ただただ、迷惑をかけないという言い訳で頭を満たし、生を掴み取りにいったのだ。

 

しばらくして、憎悪、嫌悪などなどはなくなった。ようやく頭も回るようになり、たった一人で海の上にいる危険性を悟った。

 

「そろそろ、戻っても大丈夫か…?」

 

根拠はない。しかし、日も傾きもうすぐ夜が来ようとしている。妖精たちもどこか寂しげで、なんとなく帰りたくなった。

 

「妖精、来た道を戻るぞ」

 

『!おけまる』『りょ』『かえったら、しろいしゃつ』


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