補給途絶鎮守府   作:フユガスキ

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一足す一はニ

何十分経っただろうか。そんな問がふと、頭の中によぎる。この島にそのような高い文明は存在しないというのに、だ。

 

そう、この日本からおそらく遠く離れたこの島は、自然の摂理が強く働いている。例えば弱肉強食。最も想像しやすい自然の力だ。

 

では、艦娘とは一体どういうものなのだろうか。もし、文明というものが工夫の度合いを表すのだとしたら、艦娘は低い文明にいることになるだろう。

 

生まれ持った知識で、生まれ持った力量で、生まれ持った管理下で、その存在がいる。確かにそのステータスは人間を超越しているだろう。しかし、発展していない。

 

ただただ高いステータスでは使い潰されるのが人間の、社会の摂理である。自然の摂理に則っている艦娘とは違う。故に、艦娘の社会では魚や猛獣などと同次元の争いが起こる。と、俺は考える。

 

何を根拠に、と言われれば何もないのだが、とにかく結果として弱肉強食が働いている。俺の目の前で起きたことに呆然とするしかなかった。

 

明るい月びかりの中、ぎりぎり見える人型。それが叢雲だと言うのは状況的にそうなる。

 

「悪、かったわね…期待に、答えられなく、て」

 

酷い煙の匂いがする。深海棲艦から火の手が上がり、それでも地に――海に伏しているのは叢雲である。

 

再び憎い面と対面する。この嫌悪の出処は未だにわからない。分からないが、憎いナニカがいて、死に直結する力を持つナニカに望むものは一つだ。消え失せろ。

 

前の時の恐さによる怯みはない。俺にしては珍しく単純な思考。とても殺してやりたい。あの深海棲艦に向かって睨む。燃え盛る炎の中にある巨体と、照らされた銃口を交互に睨む。

 

やっぱり出てくるもう一つの感情。悔しさである。この非力な俺がいるから、自分自身を守ることができなかった。一人では何もできない、なんてことはありえない。自分の身ぐらい自分で守りたい。それで一人前。まだ半人前。

 

くそっ、もっと艦娘を知っていれば。もっと艤装をうまく扱えれば、もっと戦うことができれば、そう思うと悔しい。

 

水平線の彼方で薄く光が漏れ出てきた。太陽が出てきたのだ。そのほんの一瞬で叢雲は倒れたし、俺は悔しがった。そして、同時に起こるのが爆発である。

 

「――――」

 

………あっあれ?なんでホ級が倒れんの?

 

ホ級が倒れ背後に見えてくるのは、腹部に大きな火傷を負い、両足に多数の軽傷があり血だらけになっている。そして、隻腕になり、右目が潰れ、顔の半分に腹部と同じく大火傷になっている。

 

「化け物?」

 

ついつい、そんな名前で呼んでしまうぐらい彼女は化け物であった。

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