補給途絶鎮守府   作:フユガスキ

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心優しい艦娘

 執務代理を初めて二日目。デンちゃんもこの鎮守府の環境に順応しつつあり、かく言う僕も艦娘との触れ合いは欠かさない。

 まず、朝には起床号令を掛け、朝礼を行う。η少将が毎日していたので、それに則った形だ。

 ただし、そんなに厳しいものではなく、形式化しているものをなぞるだけだ。

 

 その後の朝食は明石と夕張、大淀と共にデンちゃんも一緒に食べている。

 たまに他の駆逐艦の娘が来たり、逆にデンちゃんが駆逐艦の方に行ったりと、それなりに良い出だしだと思う。

 

 最初のうちは、話しているのが明石と夕張だけという悲惨な状況だったが、まだ馴染みきれていないものの、間宮や鳳翔とも話せている。

 ちなみに、海外艦は基本的に日本の風習とかはあまり気にしないようだ。というより、知らないようだ。

 IntrepidやGraf Zeppelinなど海外艦は時々分からない言語で話すが、会話できている。

 

 まあ、つまり未だに接点がないのは日本の巡洋艦らである。

 

 提督らしく振る舞う、というのは難しいもので、チャラく接していれば舐められ、厳しく接すれば怖がられる。

 一部の艦娘にとってはそちらのが威厳があると、好評だろうが、僕が望んでいない。

 

「……はっ…」

 

 今はおよそ22時ごろ。デンちゃんは断続的に寝ている。

 持っているペンは動かず、書類にはにょろにょろとした線が書いてある。

 

 流石に見ていられないので、仕事を切り上げて布団を敷く。昨日、デンちゃんだけ先に寝かせようとしたら、頑なに拒んだためである。

 

「ほら、寝るよ」

 

 肩を少しだけ揺らす。

 駆逐艦であれば運んで行くのもありなのだが、前にそれで問題になった鎮守府があったらしい。世知辛い。

 

 デンちゃんは少しばかり目が覚めたようで、立ち上がる。

 

「α司令官さんも寝ますか?」

 

「もちろんだとも」

 

 優しいなぁ。

 でも、22時までに執務を終わらすことのできる僕、凄くない?

 鬼のように手も頭も動かしたため、今日は疲れた。存分に寝ることができるだろう。

 

 全館に消灯命令を出し、デンちゃんと同じ部屋で眠る。

 まだ、川内型が騒いでいるが、瑞鶴とか大淀辺りが注意してくれるだろう。

 

 そうやって期待して眠りに落ちた。

 

――――――――――――

―――――――――

 

 η少将が日本に帰ってから2週間が過ぎ、明日にはここに来ることができる見通しだ。

 その間、深海棲艦による侵攻もなく、書類の量も少なく、とても平和である。

 

 そして、デンちゃんはというと、なぜだか良くわからないが、

 

 

    グレていた。

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