執務も軌道に乗り、少しばかり余裕が出てきた。
ならば、そろそろ電の練度上げをすることにしよう。できれば、一人だけ建造し二人で運用したかったのだが、資材が無いため仕方ない。
「デンちゃん、少し動こうか」
「はあ…電の書類を捌くスピードが遅くて面倒くさいから、外で雷ちゃん達と遊ばせてその隙に進めてしまおうって感じですか。それならそうと言うのです」
グレたデンちゃんは何かと自虐的である。
相手を貶さないところを見るに、もともとの性格により自分が悪いと思い込む傾向にあるようだ。
僕はデンちゃんの仕事量を減らしているし、たまに手伝うこともあるので、ここで不満とかは生まれないだろう。
そうすると、艦娘のいない環境が悪いのだろうか。
これに関してはη少将から建造の許可を取らなければならないので、もう少し待って欲しい。
「いや、そんなことはないんだ。そろそろ戦っておきたいからね」
僕は好戦的な方ではないが、2週間も戦闘で頭を使っていないと鈍りそうだからである。
そうとは言っても、実際に戦うのはデンちゃんであり、彼女の動き方について大まかな指示を出すだけである。
戦闘中に口うるさく指示されたら動くに動けないだろう。だから、艦娘と提督で息のあった戦闘をしなければならない。
「…駄目に決まってるのです。そもそも、テートクカッコカリというのは、戦略や戦術を体験する為にここにいるのです」
確かにその通りだ。
特例提督というものは、妖精を触れたり視えたりする一般人を急いで戦力化することが目標である。
その教育を任された側からすれば、何も知らない一般人に勝手に艦娘を使用されたくはないだろう。
「………」
う〜ん、会話が止まってしまった。いや、元々あまり話さないのだが、気まずいものは気まずい。
デンちゃんがグレ始めてからというもの、前までやっていた仕事中のお茶を二人分注がなかったり、牛乳は今までの2倍を飲んだりと、変わったことが多い。
あの頃は無理矢理にでも会話を続けようとしていたのに、今では強く当たることが多い、自分に。
「おや、昼だね。そろそろ間宮に行こうか」
「あ……分かったのです」
そう言ってデンちゃんは立ち上がり、一緒に食堂「間宮」に向かう。
それにしても、艦娘はすごい。正座を何時間もしているのに、足が痺れるどころか進んで正座をする。
足が痺れない裏技でもあるのだろうか。僕はいつもあぐらをかいている。
そしていつも通り、何故だが駆逐艦に囲まれつつ食事をとる。
今日は川内と神通も一緒のようだ。というより、今のデンちゃんを面白がっている川内とそれを宥める神通といったところか。
「α提督さん、今ちょっといい?」
後ろから話しかけられて振り向くと、そこには瑞鶴がいた。
本日、僕は初めて日本の空母と話します。