いつもツリ目で怒っているような雰囲気のある瑞鶴の後ろには優しく微笑む翔鶴がいる。
そして、遠い席に座っている瑞鳳や大鳳、龍驤などなど空母たちもこちらを横目に見ている。やはり、こちらの情報が少ない分信用できず、自分たちで確かめようとしているのだろうか。
ならば、相手に信用させるには挙動不審にならないことが大事だ。
目を逸らしたり、手が空中を彷徨っていたりしていると、相手にとっては、何かあるんじゃないかと、訝しむ。
故に堂々とすることが重要だ。そもそも、隠すような物もないし、テートクでもあるのから多少上から目線でも問題はない。
「何か用かい?」
「……α提督さんは、私の艦種、なんだと思う?」
それは一体どういった質問なのだろうか。
普通であれば空母である。……もしかして空母って艦種じゃないのか?いや、おそらくそれはない。
空母なのは見てわかるが、こういう質問をする辺り、見てわかるようなものではないのだと思う。
しかし、分からない。瑞鶴の欲しい答えが分からない。仕方ないので普通に答えることにする。
「空母だね」
「それはそうなんだけど、……赤城さんや二航戦の先輩や翔鶴姉ぇと比べて、だとどう?」
それら艦娘の共通点といえば正規空母である。いや、翔鶴は違うか。
もしかすると、瑞鶴は普通に艦種を答えてほしいだけかもしれない。瑞鶴たち空母が欲しいのは、僕がどれだけ信用できるかの情報である。
ならば、正しく答えることが僕のやるべきことである。なぜなら、相手のことをプライベート以外で知っていれば、それは相手に関心があるという好意的な解釈を得られる。
例えば相手が少将であり、それを知らずに目の前を通れば失礼だろう。そのかわり、敬意を示せば第一印象は良好になる。
つまり、ここで答えるべきは装甲空母であるということになる。
「装甲空……」
いやまて、早まるな。
瑞鶴は、比べて、と言っていた。つまるところ、何か差があり、それを言い当ててほしいということではなかろうか。
「今、装甲空母って言った?!」
「え?あ、はい」
はっ、違う、訂正しなければ。
そう思った頃には遅く、瑞鶴は空母らの屯う机に行ってしまった。
そして何度かこちらをチラ見した後、次は大鳳がこちらに来た。翔鶴は依然としてニコニコと笑みを浮かべている。
「α提督、私の艦種はなんですか?」
……自分の艦種を聞くのが流行ってるのだろうか。
というか、言い方がボケた奴みたいになっている。
ええと、五航戦と同じく装甲空母だったか?確かそうだったはずだ。
「…装甲空母だと思う」
まあ、予想通りというか、大鳳も走って元の席に戻ってしまい、空母達が大鳳を囲って何かを話している。
遠目に見ても盛り上がっていることが分かり、明らかに僕のことをネタにしている。
別に嘲笑われる事はしてないはずなので、特に嫌な気はしないが、なかなかよくわからない状況である。
本当に一体何が起きているのだか分かったものじゃない。