補給途絶鎮守府   作:フユガスキ

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すとれすふる

〚η鎮守府空母定例会議第121回目〛

 

 そんな看板が掲げられた私達翔鶴型の部屋で、初めての会議が開始する。

 瑞鶴が一人で何を作っているかと思えば、提督に迷惑のかかりそうなものを…。

 招待されたのは、一航戦の先輩方を覗いた全空母である。ただ、鳳翔さんと隼鷹さんは来ないらしい。

 

「あれぇ?私、まだ一回目なんだけどっ」

 

「安心せい瑞鳳。ウチも一回目や」

 

 そう、120回も開催したことはなく、一回目である。なぜ121回とするのか聞いたところ、気分なのだそうだ。

 

 司会の瑞鶴がマイクを片手にコホンと咳払いをし、今回の会議の議題を発表する。

 

「今回のテーマはこちらっ!デデン!あのロリコンの正体を暴け!です!」

 

 事前に用意していた紙を紙テープで壁に貼り付ける。そこには大きくあのロリコンの正体を暴け、と書いてある。

 その紙を見て皆さんは納得顔。……あのロリコンで誰かわかるんですね。前日に瑞鶴に注意していた私の努力はどこへやら。

 

「―――さて、では場も温まってきたところで」

 

「誰も喋ってないんやけどな」

 

「……温まってきたところでっ、そこのワイン開けようとしてる海外艦どもぉ、後で栓抜き持ってくるから意見言って」

 

 この空母の中でα提督に関わったことがあるのは、海外艦勢だけである。

 理由としては戦艦や重巡がいないこの鎮守府で、艦娘としての立場を保つ、つまり舐められないためにはどうすれば良いのか考えていたら、既に2週間程の時間が経ってしまったのだ。

 

「ンフー」

 

「おいそこのドイツ艦、それ言えば何とかなるとか思ってんじゃないわよ」

 

「そ、そういうの絶対、ムリだしぃ」

 

「おーけー、ベイ子。後で一緒に行くわよ」

 

「「「そ、そういうの絶対、無理だしぃ」」」

 

「アメリ艦隊、とりあえずベイちゃんに謝れ」

 

「よしよし。よしよし」

 

「パスタも対抗心燃やすな!」

 

「そうだな…彼は身長が高かったな、それと、よく駆逐艦と一緒にいるのを見かける」

 

「アークロイヤルッ、ちょっと違うけど、私は信じてたよ!」

 

 話が進まない…。

 そもそも、こちらは他力本願であるのだから、もっと瑞鶴には下手に出てほしいところではある。

 だけど、あの提督について知りたいのは私も同じである。艦娘にとって正式に関われる男の人というのは少なく、こういう経験は貴重である。

 

「ズィーカクよ、そのα Admiralとは私も然程関わったことがない。そもそも、Ark Royalの言うように、駆逐艦好きなのだから、二、三言話したことがあるというのが皆の現状だと思うが」

 

「むぅ」

 

 それぞれが一様に首を立てに振る。

 一度も話したことない日本艦からすれば、話しているだけいいことだと思う。

 そもそも、挨拶をしないという無礼を働いているのに、海外艦がそれを責めないのも日本艦の立場を知っているからだろう。

 ただ、それで力になれないからと言って暗い顔をされると心が痛む。

 

 自分たちのエゴでやっていることが、関係のない人にも影響を及ぼしている。

 結束力の高さに嬉しく思う反面、関わらせてしまった申し訳なさもある。

 

 しんみりとした空気が作られた。

 こういう空気を嫌う瑞鶴も、何も言えずに言い淀んでいる。

 

「なあ、瑞鳳。やっぱ、ウチらのようなおっぱいがない空母って空母とちゃうんかねぇ?」

 

「き、急に何言い出すの龍驤」

 

 りゅ、龍驤さん。今はそういうのを言える雰囲気じゃないと思いますよ。

 けれども、龍驤さんは注目を浴びつつ、口を止めない。

 

「いや、な?こういう雰囲気になったら、もう進むもんも進まへんやん?と、いうことで、瑞鶴。ここらでお開きにしようや」

 

「え、ええ。そうね」

 

 その後、すぐに全員が席を立ち帰り始める。

 私も壁に貼り付けられた紙テープを剥がし、丸めてゴミ箱に捨てる。

 人気も少なくなり、いつもの時間に戻った。

 

 と思っていた。

 

「よし、じゃあ、貧乳空母会議始めるで」

 

「ええ〜、可愛くない」

 

 残っているのは瑞鶴、瑞鳳さん、大鳳さん、龍驤さんそして、私の5人。

 

「やっぱ、ウチらの4人ってここで弄られるの多いらしいやん」

 

 親指で胸元を指し示す。言葉が違えばカッコいいと思える格好。

 確かに、演習相手の瑞鶴以外の3人は弄られているとこ、特に龍驤さんはよく目にする。瑞鶴を弄っている提督はあまり見かけない。おそらく、そういう提督には爆撃機が降るのだと思う。

 

「そうね。η提督はそういうことなさらないけど、そういう噂はよく耳にするわ」

 

 そう答えるのは大鳳さんである。

 大鳳さんには装甲空母になった際、助けてもらったのを覚えている。初めにあったとき軽空母と思っていたのは内緒である。

 

「だからな、そういうので調べてみるのはどうや。例えばウチをエグいぐらい弄ってきたら、ほんならそいつは加減を知らん奴なるし、いい感じにツッコミとボケが出来てたら、オモロイやつになるし、何も弄ってこんのなら、ノリの悪ぅやつか紳士なやつになるやろ」

 

「でも、η提督さんみたいな人かもよ」

 

「そんときはそんときや」

 

 いや、α提督はあまり下品な目で私共のことを見ていることはないし、その問題はないだろう。

 それに、α提督は基本的に執務をしていらっしゃるので、駆逐艦の娘たちと一緒なのは食堂だけである。つまり、身体的特徴で判断していることはないと思う。

 

 よって、あまり龍驤さんのしようとしていることは意味ないのだが、これによって関わることができるのならば御の字である。

 

「やから、発案者のウチが仕掛けてみようと思う」

 

「そんなことさせれないわよ。私達スレンダータイプの空母の仲はそんなものなの…ッ」

 

「そ、そうだよ、龍驤。一人でなんて行かせないよ」

 

「龍驤さん、頼ってください、私達のことも」

 

「君ら…」

 

 何この茶番。

 

――――――――――――

―――――――――

 

 じゃんけんにより、勝者の瑞鳳さん以外がみんなで艦種を聞くということになった。

 4人曰く、軽空母2人いたから丁度いいそうだ。

 

 まず、先陣を切って瑞鶴がα提督にアタックをした。もう本当に、ご迷惑をおかけします。

 気が気でなく、せめて印象を悪くしないように愛想笑いをする。

 

 早く瑞鶴を終わらせてほしいと、切に願っていると遂に終わった。

 はう、とりあえず一回目が終わり、休憩時間になる。ふと、α提督と目が合う。より一層愛想笑いが固まる。

 緊張で膝から崩れ落ちそうになるのを堪え、胃が痛くなる感覚を味わう。

 大鳳さんは思っていたよりも早く終わり、龍驤さんもようやく終わってくれた。

 

「う〜〜ゆ」

 

 後ろの二航戦の先輩方に支えられているのを感じながら、緊張の糸が切れて気絶した。

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