あらすじ、軽巡ホ級を倒し川内が出てきて白露は大破の状態で、船がやって来たところです。
無事に出会う
数隻の人間――おそらく艦娘に囲われてこちらに近づいてくるのは小型の船である。
とは言ったものの、ゴマのようなものが海の上に見えるだけだが、まあ海に浮いているものなどゴミと艦娘で十分である。
さて、近づいてみれば腕を振っているように見える。俺に面識――顔は見えない――がないため、おそらく叢雲に振っているのだろう。
そう思って叢雲を見れば、立ち上がり機械的な動きで腕を振った。怪我が酷いのだから無理するなよ。
数十秒程何かをしてから座る。
朝の淡い光の中、こうして無傷でいることに嬉しさが込み上げてくる。
一人だけ時間を早めてるように見えるぐらい肉が蠢いて再生をする叢雲や、全身血だらけで一部無くなって寝ている白露や、深海棲艦を倒したことで生まれた無傷の川内、を見ていると、まあ何だ、自分にも力が欲しいと思わなくはない。
だが、力を欲するという行為は、その環境に適応しようとする意思であり、日本に帰るという目標を達成する欲求を薄めることになる。
だから、俺は目線をずらし船の方を見た。
その小さな船から出てくるのは、身長の高い男である。迫力のある態度に鋭い目を持ち、俺と似た白い服を着ている。
ただ、俺のものは随分とヨレヨレしていてみすぼらしいが、彼のものはピシッとしている。
彼はその目を更に細め、微笑みながら手を振る。
「やあ、少尉くん。健在そうで何よりだよ」
は……?なんで俺のこと知ってるんだ?
……そうか、思っていたよりも早いがθ中将の船か。であるのならば、これで目標達成である。この船に乗れば日本に帰ることはできる。
もし断るのならば、鎮守府がないことや食糧問題を提示すれば上手くいけば帰れる。
だけども、この人怖いなぁ。
白露は艦娘であれ普通の女子と変わらなく、俺は男子の中では普通ぐらいであったので、背も低くなっている。そのため、元の体より高く見えていて、感覚的には2m台に届きそうな感じだ。
「叢雲ちゃんッ!」
そう言って海から陸に上がり叢雲に駆け寄るのは、どこか片田舎を彷彿とさせる黒髪とセーラー服を着る少女である。
「白露!」
先の娘に続いて来るのは、青髪を長く伸ばした娘である。勢いよく白露の方に駆け寄るが、途中で砂の上で転けて、額を抑えながら寝ている白露に寄る。
そして、それに遅れて3人が上陸し、こちらによってくる。
「少尉くん、僕がα中尉だ。あと、茶髪の娘がデンちゃんで、ピンク髪がサザなんとかさんだね」
「おはようなのです。電なのです。よろしくお願いします」
「ぶっ飛ばしますよ、ご主人様。……漣です。で、白露さんはぁ、なぜぇ、提督のコスプレを…?マジ、リスペクトだぜぃ」
口調が分かりやすい艦娘と口調のはっきりしない艦娘だった。
というか、中尉かよ。もっと上だと思ってたよ。