方針は決した。あとは行動にうつすのみである。
イメージとして建築に必要なものは、図と材料と経費と人員と道具である。
図は砂に書くのはあまりにも非現実的なので、頭をフル稼働させるとしよう。然程入り組んだものを作ろうとしているわけでもないので、多少不安は残るがその時はその時である。
材料は主に木材を使用する。というかその選択肢しかない。妖精さんパワーにより原木を綺麗にまっすぐな木材できる。数年かかるらしい手順を短縮できるのだから、妖精様々である。
人員は比較的か弱い俺と、百人力の川内を併せて端数切り捨てで百人である。ヨーシ、ガンバルゾー。泣きたい。
道具に関しては無い。無人島に持っていきたい道具はなんですか、と聞かれる暇さえなかったのだ。
というか、とても今更な話だが、なぜ家を建てようとしてるのだろうか。
俺はここに居座るつもりはなく、船が来たらさっさと帰りたいし、船が来なくても最前線であるここから抜け道を通って日本に帰りたい。
家というのは住まう場所である。歩みを止め、その社会に溶け込むことを決意するものである。
……もしや俺はこの生活を心のどこかで、好んでいるのだろうか。ちょっと探してみよう。……うん、無いな。
そもそも、そんなものがあるのはあり得ないのだ。この結果は必然と言える。
溶け込みたくなる理由。それは、また別のところにあるようだ。
白露を大事にするわけでもなく、川内は会ってまだ数時間しか経っていない。う〜ん、なんだろうなぁ。
「提督、そっち持ってー、あーもうちょい右、そこそこ
、じゃあキープしといて」
川内に指示を出され、そのとおりに動く。使えない指揮でゴメンな。
今はドアなんてものを作る必要もなければ、荷物置き場を用意する必要もない。そのため普通なら一人暮らしサイズを、雨風がしのげる程度の四角く作っている。
何というか、川内が予想以上にそういう造形を得意としていて、構想から建築まですべて任せている。
それに対し俺は指揮をするといったのに禄な活躍もできず、おまけに力もないとくる。だが、なぜだろうか、嫌な感じにはならない。
きっと、川内の仕事配分が上手いのだろう。俺にも適度に役割があり、川内だけを頑張らせるという状況ではない。また、川内は楽しげに作っているというのもあるのかもしれない。
そんなこんなで建築を初めて一日目。ささくれのせいで多少手に傷ができたが、海水に触れなければ大丈夫だろう。傷に塩を塗り込むのってまじ痛い。
進行状況は枠組みを造り終わり、明日からは壁を取り付けることにする。そして、家が滑り落ちないようにしないといけないのも、忘れてはならない。