補給途絶鎮守府   作:フユガスキ

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たった一日で

 前に叢雲に、嫌っていてもいいが仲良くしたほうが良い、的な内容を突き放した言い方で言われたことがある。

 その時はその後の会話がなかったため自分の意見を言う必要がなかったが、今回はそうともいかない。

 なぜなら、川内は俺が日本に帰るまでここで暮らす艦娘である。小さな島を共有して使っているとなると、白露との友好関係の結論を先延ばしにできない。

 

 でもね、怖いから関わらない、と結論が出ているんだよなぁ。

 

 例えば、艦娘が深海棲艦と仲良くすることは可能だろうか。無理である。

 出来るのであればすでにやっているだろう。むしろ、仲良くしない理由がない。

 だが、戦っている。そこには、根本的には仲良くできるとしても、嫌う理由がある。至って単純な話で、攻撃してくるからである。

 

 もちろん、どちらが先に攻撃したのかは知らないが、こちら側としては攻撃してくるから応戦する、という心理が働いている。

 まあ、つまりは俺と白露も似たようなものだ。

 勝手に俺が完全上位互換の白露を怖がり、そこに近づかないようにする。白露の方は俺に近づこうとしてくれてるのかもしれないし、そうじゃないかもしれない。そこを推測することは可能だが、傲慢である。

 

「嫌いではない」

 

 ただ、川内と喧嘩したいわけでもないので、自分に嘘をつかない程度に穏便に行く。

 こういう時の便利な言葉が方便である。飛躍した言い回しになるが嘘はついていないという、超便利な言葉。

 

「じゃあ何で、提督らしいことしてないの?」

 

 おっと、どういうことだ。

 予想の斜め上の質問に頭が混乱する。いやいやこの流れは、俺の白露に対する態度を例に挙げて、説明を求めるところだろう。

 

「そもそも、提督らしいこと、ってのを知らないからな。しゃーないだろう」

 

 今の俺にできるのは、反論ではなく逃げである。

 まあ、ただ逃げるのも味気ないので、そもそも、を用いることによって多少の反発の意思を表明する。

 

「ふーん……私は、提督がもっと頭の回る人だと、思っていたよ」

 

 は?(威圧)よし、落ち着け。

 何においても冷静なほど良いことはない。大丈夫、川内は俺の怒りを煽っているだけだ。

 川内よ、的確に俺のイラッとするポイントをついたことは褒めてやろう。だがしかぁし、半端な攻撃は追撃を喰らうだけだと思い知るがいい!

 

「会話の腰を折るなよ。だけどまぁ、俺より頭が回るなら、夜戦がどれだけ危険が分かるよな。もう夜戦はなしな」

 

 結構話を逸したが、長期的な目で見ればこちらのがより効果的である、という判断のもとである。

 ふっ、観念しな川内。お前の負け……おっとこれはフラグだな。セーフだよね?

 

「残念、提督。この世には多数決と呼ばれるものがあるんですよ」

 

 ん?こいつ何を言い出すんだ。

 というかなんか煽り口調だし、何を企んでいやがる。

 

「つまりぃ、夜戦の決定権は多数決で決めたほうがいいよね!」

 

 はっ、そんなもの提督権限で……あ!さっき、提督らしきことなど知らないって、自分で言って。

 

「そして、ここには夜戦したい私、こと川内と、夜戦したくない提督がいるから…言いたいこと、解るね?」

 

 つまり、白露が決定権を有し、どちらかが取り込むことによって、やりたい事ができる。

 俺は夜戦が危険ということを理由にしているため、止めなければならず、夜戦を禁止されている川内はノーリスク·ハイリターンになるということだ。

 そして、白露と仲良くしなきゃ、自分の意見を突き通せないということか。

 

 考えやがったな、完敗である。

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