川内を送り出して数時間。聞こえてくるのはガールズトークと戦闘の話。
ほわほわと平和な雰囲気を醸し出していると思えば、急にピリッとした緊張が張り巡らされる。彼女らの切り替えの良さは凄まじいな。
そんな会話を聞きながら時間は過ぎていく。まあ、うん。すごい暇だ。
そして、暇だと思い、空を見上げてみれば雲行きが怪しいことに気づく。
「これは、第二次妖精台風が再来かッ」
『そんな、大層な名前つけなくても…』
青妖精に呆れられてしまった。というか、俺がここに来る前から妖精台風していたらしいし、第二次ではないのか。
雨となると屋根が必要になりそうだ。だが、材料はあるものの、屋根をつけることが出来ない。理由は背が低いから。
そもそも、風も結構あったので、屋根だけではあまり役に立たない。こういうときに万能なのはブルーシートである。そろそろブルーシート教が出来てもおかしく無いと思います。
また、運のいいことに壁は平行ではなく、垂直に作ってあるので、掛けるだけでいい。平行だと水の重さで、真ん中がどんどんと沈んでしまうからな。
そんなこんなで太陽もそれなりに上がり、川内達はおそらく、海軍の基地と思われる場所にいる。
それというのも、α中尉とβ大佐と思われる声が時々入るためだ。
あれ?ちょっと待てよ。海軍が集まっているということは、θ中将もいるのだろうか。さすれば、俺が日本に帰ることもできるはずだ。ただし、艤装があれば…。
「妖精、本当に艤装作れねぇの?」
『そうだよ』
はあぁぁ…。ホント、間が悪い。白露、帰ってこないかなぁ。
《あー、あー、提督、聞こえる?聞こえたら、夜戦をさせます。いえ、してください、と答えてね》
《ハイハイ、聞こえる聞こえる。どうした?》
《つれないなぁ。取り敢えず、作戦内容を説明して進ぜよう》
川内が言うには、α中尉の艦隊に一時的に加わり、空母機動部隊の護衛をする、とのことだった。
空母らの作戦行動は明日の早朝より開始するらしいので、夜間に目的地まで向かうらしい。その間、三部隊が護衛する為、その一部隊としてα中尉が抜擢されたそうだ。
ふむ、護衛か。空母というのは艦載機を飛ばす船ということは知っているが、護衛が必要なものなのだろうか。ゼロ戦で無双しているイメージが強い。
「どう思うよ、妖精」
『まあ、水雷戦隊らしい任務だと思うよ。ただ、轟沈をしないように言って欲しい』
《轟沈さえしなければそれで構わない》
《ふふっ、心配症だなぁ。よーし、待ちに待った、夜戦だー!》