朝日が眩しく顔を照らし、汗と雨でギトギトの肌が乾いているのがよくわかる。
そして、周りを見てみれば、未だに青妖精が近くにいないことがわかる。いい加減帰ってきていても良いと思ったのだが、どこでほっつき歩いているのだか分かったものじゃない。
「妖精ー、どこだー」
そう言って森の中に入ろうとすると、突然上から何かが上から降ってきた。
と思えば、それは頭の上で弾み、前の方に落ちてくる。慌てて手をお椀のようにして出し、その何かしらをキャッチする。
『や、やぁ、どうしたんだい』
そう言ってやや慌てながら話すのは青妖精である。青妖精が慌てるなんて珍しいこともあったものだ。
そんなこと思いつつ、妖精を探す目的を言った。
「なあ妖精、川内っていつ帰ってくるんだ?」
『さぁ、私には分からないな。ただ、あの様子を見るに、諦めることも念頭に入れたほうがいいよ』
それはいったい何を諦めるのだろうか。帰ってこないことを諦めろを言っているならば、いつ俺が嫌われたのかが気になる。
『いや、嫌われたのかは分からないけど、そういうことじゃあないよ。もっと単純で生々しい理由さ』
「…思いつかないな。答えは?」
『沈んだのかも、という話さ』
は?え?
急な妖精の発言に混乱する。
艦娘でいう沈む、というものは人間でいう、死ぬと同義だったはずだ。そして、この青妖精はそういうことを強要する人間が嫌いだったはずだ。それこそ、一つの軍事施設を壊滅させる並には。
その妖精が特段怒り狂うわけでもなく、こうも冷静であるのはおかしい。
『一つ、提督は重大なミスを犯している。それは、艦娘を死地に行くことを強要させる人間がきらいということだ』
「…つまり?」
『つまり、私は沈むことについては、悲しいとは思うが、致し方ないと思っている』
「へぇ…。え?」
『私は、死地に…要は無謀に、自暴自棄のように戦わせるのが嫌いだ。それに対し、突き詰めて作戦を立てて、それでも沈んでしまうことはあるだろうし、言い方が悪いが、尊い犠牲だと思う。もちろん、沈まないことが一番だよ』
尊い犠牲、ね。なんとも嫌な響きだ。
それはともかく、青妖精はそう考えるのか。川内が沈んだ、と聞けば俺はどう思うだろうか。きっと、悲しいな、と口では言うと思う。実際に心は痛める。
けれども、たった二日の付き合いだ。そんな短い付き合いで、泣き崩れて部屋に三日三晩引き籠れ、というほうが無理な話だろう。
ただ、やはり生きていたほうが嬉しいことに変わりはない。そうでなければ、俺はここにきてすぐにでも死んでやったさ。そうしないのはまだある程度、人間の感性が残っているからだろう。