何故だ、何故なんだ。
何故、α中尉の艦隊だけあんなにも軽微な損傷なのだ。何故、最も言うことを聞かせられている私の艦隊が、中尉程度の作戦指揮に負けるのだ。
やはり艦娘か。あの艦娘共が弱いから、私の作戦についてこられないのか。いや、今までの言うことを聞いてこなかったから、今勝てなかったのか。
奴ら艦娘は何度言っても、近海のはぐれ艦隊に敗北するし、大破することなんて珍しくない。資源は無限でないと言っても、何度でも大破してくる。本当に使えない。
挙げ句の果には、基地の目の前に深海棲艦が現れているではないか。しかも姫級。泊地棲姫である。
この緊急事態に我が艦隊のみ出撃できないと、私が恥をかいた。艦娘共には後で懲罰を与えなければ。
そして今、私は緊急脱出用ボートに乗り海に出ている。
「ハハハ、哀れだな深海棲艦よ。この基地内で最も優秀な私を取り逃がしてしまうとは!」
これは敵前撤退ではない。後に確実な勝利を掲げるための布石だ。ここから一番近いのはη鎮守府だろうか。派閥が違うため少し微妙だ。他には何処か良い場所はないものか。
――ゴンっ。
その音からほんの一瞬で体が爆風に煽られる。
何ということだ。運悪く外れ弾がボートに当たってしまった。
そして、海に落ちた私は爆風に流されて、気絶をしてしまった。
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なんの運命の因果か、目覚めた私は偶々小島についていた。確かここは…、そうあの少尉がいた場所だ。
あの少尉、忘れもしない。少尉のあの目は艦娘を道具として見ている眼だ。おそらく洗脳も受けていないだろう。純粋に、艦娘消去派に取り込める人材だ。
しかもあの姿は艦娘の姿だ。どういうことか分からないが、もしあれが量産でき、艦娘の能力を受継げるなら、艦娘は要らなくなる。
むしろ、戦艦の装甲に、空母の殲滅力、駆逐艦の機動力に、海防艦の対潜能力、潜水艦の潜水能力と、雷巡の雷撃能力のハイブリッドができるならば、万能の人造艦娘へとなれる。それが出来たならば、特化型でも良いだろう。
兎に角、彼女はこちら側へ引きずり込まねばなるまい。私の長年の勘がそう言っている。彼女こそ、艦娘という忌々しき侵略者を滅ぼすのに必要な鍵なのだ。
それにこれはほぼ全ての派閥を納得させられるだろう。完全勝利派はそのまま人造艦娘の運用をすればいい。戦争利益派は新たな兵器を作るために、どんどんと働いてくれるだろう。もしかすると先行投資されるかもしれない。世界平和派は数も少ないため無視で構わないだろう。
そうと決まれば早速説得、もとい強制送還だ。確か今、ここの艦娘はα中尉が運用していたはずだ。つまりここに艦娘はいない。
フハハ、ツキが回ってきた。良い、実に良い。