疑心暗鬼提督のブラック鎮守府再建   作:ライadgj1248

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 お気に入りや評価が増えていく。感想も二つ貰えた。テンション上がって筆が進んでしまうな。


8話(面談 鈴谷&熊野)

 一連の流れで非常に重苦しい雰囲気の中、鈴谷と熊野を連れて食堂を出る。天龍に与えた罰は軽いものだが、艦娘達からはかなりの怯えを感じる。かと言って前言を撤回するような真似をすれば、以後艦娘達の行動に歯止めが効かなくなる。今は提督への恐怖で大人しくしているが、もしこちらが何もしないと感じたのなら、今まで虐げられてきた恨みをぶつけようとしてくるだろう。前任者達を恨むのは分かるが、それを自分に向けられるのはたまったものではない。それにそんな状態になれば自分は大本営から無能の烙印を押され、艦娘達は危険分子として解体処理されてしまうだろう。そんな未来は絶対に実現させる訳にはいかない。

 

 鈴谷と熊野を連れて会議室に戻ったが、大淀はまだ来ていないようだ。とりあえず先に二人から話を聞いておくとしよう。二人に椅子に座るように伝え話を始める。

 

「まず初めに確認しておきたいのだが、記録では二人ともまだ一度も出撃していないとのことだったが、これは本当か?」

 

「はい、間違いありません・・・」

 

「なぜ出撃させられなかったか前任者は言っていたか?」

 

「そ、それは・・・」

 

 鈴谷は暗い表情で言い淀み、熊野はずっと押し黙っている。

 

「別に責めている訳ではない。前任者のことを調査するのも私の仕事なのだ。辛い記憶だとは思うが協力して欲しい。」

 

 そう言って鈴谷を見つめると、鈴谷は目に涙を浮かべたが、覚悟を決めたように顔を上げた。

 

「その・・・私達が・・・重巡洋艦は・・・戦艦の出来損ないだから・・・です・・・。」

 

「は?」

 

――――――――――――――――――

 

 そこからの鈴谷の話をまとめると、前任者は見栄えの良い戦艦達を揃える為に建造を何度もしたが、建造では好きな艦娘を選べる訳ではない。その結果戦艦を手に入れる過程で「ハズレ」として重巡洋艦や軽巡洋艦が手に入る。軽巡洋艦であれば遠征時の旗艦や潜水艦対策に使えるが、重巡洋艦に出来ることは戦艦や正規空母の下位互換でしかない。雷撃戦であれば重雷装巡洋艦の独壇場だ。

 それならば建造後すぐに解体されそうなものだが、重巡洋艦には別の仕事があった。それは提督のストレス発散や訪問客などの接待だ。提督の気分次第で犯され、さらには不特定多数の人間の相手をさせられる。反抗すれば拷問されるので抵抗する気力も失ったとのことだった。広場で天龍が叫んでいたことを思い出すが、やはり前任者は最低のクソ野郎なのは確実のようだ。

 

「話してくれてありがとう。今後私がお前達の提督である限り、そんな真似はしないし他の奴らにも手出しさせないと誓おう。」

 

「そう・・・ですか・・・」

 

 まあ、こんな言葉一つで信じられるほど軽い話では無いだろう。誓ったからには約束は守り抜こう。行動によってしか信頼は得られないものだ。

 

「さて、今後のことだがお前達はどうしたい?」

 

「どうしたいって言われても?」

 

「ならこちらから道を提示しよう。まずはここの鎮守府で艦娘として戦う道。もう一つは退役してどこかで軍と関わらずに過ごす道だ。他に考えつくならそれでも構わない。」

 

「えっと・・・今選ばないとダメかな?」

 

「いや、ゆっくり考えてもらっても「私は戦いますわ!!」

 

「熊野?」

 

 今までずっと押し黙っていた熊野が叫んだ。

 

「私は艦娘で重巡洋艦の熊野ですの!戦艦の出来損ないじゃありませんわ!艦娘としての誇りを取り戻せるなら私は戦いますわ!鈴谷はどうですの?」

 

「私だって戦いたいよ・・・でも重巡洋艦じゃ役に立たないって前の提督が・・・」

 

「それは違うぞ鈴谷、重巡洋艦が使えないなんてことは全くない。重巡洋艦を上手く使えない無能な前任者の言い訳に過ぎない。戦う覚悟があるなら私はお前を存分に活躍させてやる。」

 

「うん、分かった。私戦うよ提督。これから宜しくね。」

 

「よく言いましたわ鈴谷!私達で重巡洋艦の凄さを見せ付けてやりますわ!」

 

 この調子ならなんとかなりそうだな。演習で戦いの感覚を思い出させれば、きっと活躍してくれるだろう。いや、活躍させてやると約束したのだから徹底的に鍛えてやろう。

 

「お前達の覚悟は伝わった、これからは艦娘として力を貸してくれ。話は以上だ、今日はゆっくり休め。」

 

「「ハッ!!」」

 

 会議室に来たときは全てを諦めた目をしていた二人が、目の光を取り戻したことに頼もしさを感じる。正直言うとこの二人が使い物にならなければ、重巡が青葉一人だけになるので絶望的だったので一安心だ。

 

コンコンコン

 

「失礼します。」

 

 お、大淀が戻ったか。調べたいことがまだまだ多いので助かるな。




 今回は重巡洋艦のお話でした。前任者のクズな部分はまだまだあるのだよ。

もうすぐ一周年と言う事で久しぶりにアンケートをしたいと思います。この作品のキャラでの人気投票的なやつです。是非ご参加下さい。

  • 主人公葛原提督率いる問題児四天王
  • 大淀
  • 長門・陸奥
  • 第七駆逐隊
  • 川内・神通
  • 明石・夕張・間宮・鳳翔
  • 第六駆逐隊
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  • 龍驤・五十鈴・球磨・摩耶・高雄
  • 朝潮・木曾・陽炎・不知火
  • 叢雲ちゃん率いる横須賀艦隊
  • 俺の嫁が出てねぇぞ!!早よ出せや!!

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