疑心暗鬼提督のブラック鎮守府再建   作:ライadgj1248

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 書きたい話を目指して伏線を作っていく作業。なかなか難しいものです。


98話(救援要請)

 大淀を連れて執務室に戻ると、中で待っていた曙がかなり眠たそうにしていた。眠気に抗うように周辺海域の地図を睨んでいたが、時折こくりこくりといきそうになっている。昨夜は夜遅くまで勉強していたようなので無理もない。本当は先に大淀を休ませておこうかと思っていたが、曙を先に休ませるか。

 

「大淀、曙、今から交代で休憩を取る。大淀には悪いが先に私と曙から休憩させて貰う。私はここに布団を持って来て仮眠を取るから、何か動きがあればすぐに起こしてくれ。曙も少し仮眠を取っておけ。」

 

「了解しました。お任せ下さい。」

 

「ちょ、ちょっと提督!私はまだやれるわ!!」

 

 大淀は素直に聞き入れてくれたが、曙はまだやれると意地を張る。かなり疲労しているはずなのだが、それでも食い下がるのは責任感からだろうか?

 

「まだやれると思ううちに休んでおけ。まだそこまで無理をする状況ではない。いざという時に無理が効かなくなる。」

 

「そ、それなら先に大淀さんに休んで貰っても良いじゃない!!」

 

「はぁ・・・私の采配に従うのは不満か?」

 

「っ!!いえ・・・提督の補佐をするのが秘書艦の仕事なのに、邪魔したらダメね・・・私も部屋から布団を持って来るわ・・・」

 

 そう言って曙は少し落ち込みながらも、時間を無駄にするまいと走って自室へと戻っていった。曙は秘書艦の仕事についてかなりの責任感・・・と言うよりは強迫観念を抱いていると言うべきだろうか?一応こちらの指示には従ってくれるみたいだが、放っておくとどこまでも無理をしそうで困ったものだ。

 

――――――――――――――――――

 

 私室から布団を持って来て仮眠の準備が整った直後、急に大淀の表情が険しいものとなる。どうやら深海棲艦の連中は自分に仮眠を取らせてはくれないようだな。

 

「提督!!長門鎮守府より救援要請です!!」

 

「分かった、代わってくれ。それと金剛達に警戒を強めるように言ってくれ。」

 

「はい、分かりました。」

 

 喚き散らすクソ野郎の相手をする事に嫌悪感を感じるが、そうも言っていられない状況だ・・・少し嫌気を感じながらも大淀から通信機を受け取る。

 

「代わりました。北九州鎮守府の葛原です。」

 

「こちら長門鎮守府所属、秘書艦代行をしております朝潮です。原田提督に代わり救援の要請を致します。」

 

「・・・原田提督はどうしたのだ?」

 

「いえ、その・・・司令官には別にやるべき事があると・・・」

 

 原田提督が艦娘に通信を任せるのは少し意外だったが、無駄に騒ぎ立てる原田提督と話をするよりは、真面目な事で有名な朝潮のほうが話は早いか。

 

「分かった。状況は?」

 

「現在鎮守府のレーダーにて敵艦隊を確認、長門鎮守府へと進軍しております。規模は4艦隊、戦艦ル級elite1、戦艦ル級4、他護衛の巡洋艦と駆逐艦が進行中です。現在長門鎮守府では遅滞戦術を仕掛ける予定ですが、独力での防衛は困難であり、至急救援をお願いします。」

 

「救援要請を出したのはうちだけか?」

 

「いえ、益田鎮守府にも救援要請を出しておりまして、現在救援部隊を編成中との事です。」

 

 まあ妥当なところか。益田は長門鎮守府から見たらうちとは逆方向にある隣の鎮守府だ。距離もうちから長門鎮守府までとそう変わらない。規模は小さいが深海棲艦が目の前に迫っているので、舞鶴などからでは援軍は間に合わないだろう。

 

「了承した。現在夜間哨戒の為に長門鎮守府との境界付近に向かわせていた部隊がいるので、その部隊をそのまま救援に向かわせる。2艦隊で戦艦が4隻居るので火力は十分なはずだ。」

 

「迅速な対応ありがとうございます。情報は随時共有させて頂きますので、どうか宜しくお願い致します。」

 

 想定以上に話が早くまとまって助かるな。

 

「ちなみに長門鎮守府の戦力はどのくらいあるのだ?」

 

「そ、その、お昼の戦いでかなりの戦力を喪失しておりまして・・・戦艦は山城さんしか残っておらず・・・他は重巡4・軽巡6・駆逐14です。ですが朝潮は秘書艦代行の任を受けましたので、ちょうど24隻4艦隊となります。」

 

 なるほど、人数としては互角だが戦艦の数が圧倒的に足りないな。夜戦なので昼間よりも接近戦となるので、練度次第では戦力差をひっくり返す事も出来るのだが・・・期待するだけ無駄だな。こちらの艦隊が合流すれば互角、益田鎮守府の援軍も到着すれば優勢くらいに考えておこう。

 

「了解した。我々が到着するまで極力損害を出さないように時間を稼いでくれと、原田提督に伝えておいて欲しい。ではまた何かあればすぐに連絡してくれ。」

 

「・・・は!承知致しました。」

 

 長門鎮守府との通信を終えると、大淀は金剛と連絡を取っているのかぶつぶつと呟いていて、執務室に戻って来ていた曙は状況を紙にまとめていた。

 

「大淀、金剛達に繋いでくれ。」

 

「はい、少々お待ち下さい。」

 

 一旦通信機を大淀に渡して、すぐにまた受け取る。

 

「金剛か?」

 

「Yes 提督、命令は?」

 

「大淀から聞いたとは思うが、急いで長門鎮守府への救援に向かってくれ。五十鈴を先行させて対潜警戒も怠るなよ。」

 

「OK すぐに向かうネ。」

 

 金剛は話が早くて助かる。

 

「ねぇ、提督、ちょっと良いかしら?」

 

「・・・五十鈴か?どうした?」

 

「その・・・さっきは悪かったわね。本当に長門鎮守府への襲撃があって見直したわ。」

 

「そうか。」

 

「ええ、だから今度は五十鈴が実力を見せ付ける番よ!!だから五十鈴の活躍を期待して待ってなさい!!」

 

「ああ、戦果も期待しているが、まずは無事に戻って来るようにな。」

 

「ふふっ、五十鈴にお任せよ!!」

 

 どうやら五十鈴もかなりご機嫌なようだな。戦意が高いのは良い事だ。




 提督の眠れない夜はまだまだ続く・・・

もうすぐ一周年と言う事で久しぶりにアンケートをしたいと思います。この作品のキャラでの人気投票的なやつです。是非ご参加下さい。

  • 主人公葛原提督率いる問題児四天王
  • 大淀
  • 長門・陸奥
  • 第七駆逐隊
  • 川内・神通
  • 明石・夕張・間宮・鳳翔
  • 第六駆逐隊
  • 北上&大井
  • 青葉&衣笠
  • 金剛姉妹
  • 伊19・伊168
  • 赤城&加賀
  • 翔鶴&瑞鶴
  • 白露型姉妹
  • 島風&雪風
  • 天龍&龍田
  • 龍驤・五十鈴・球磨・摩耶・高雄
  • 朝潮・木曾・陽炎・不知火
  • 叢雲ちゃん率いる横須賀艦隊
  • 俺の嫁が出てねぇぞ!!早よ出せや!!

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