疑心暗鬼提督のブラック鎮守府再建   作:ライadgj1248

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 さあ、責任の擦り付けあいに備えて準備を始めよう!!


102話(久藤提督交渉)

 今回の戦いでうちの鎮守府としては戦闘に勝利しているが、全体で見れば完全な敗北だ。無能な長門鎮守府の原田提督が盛大に足を引っ張ったのが原因だが、大本営の奴等がこちらに責任を擦り付けてくる可能性がある。特に原田提督が所属していた鶴野提督の陣営は、原田提督に非がなかった事にしたがるのが目に見えている。ならば物凄く面倒ではあるが、対抗手段を用意しなくてはならない。

 私室に戻って呉鎮守府へと連絡をすると、呉の秘書艦が出たので久藤提督へと取り次いで貰う。

 

「おう、呉鎮守府の久藤だ。こんな朝早くに何のようだ?」

 

「朝早くにすみません。つい先程長門鎮守府が壊滅した件はご存知ですか?」

 

「ああ、当然だ。長門鎮守府から大本営の方に連絡をすれば、当然俺の耳にも入る。お前のところも救援に向かったが無駄足だったみたいだな。」

 

 4大鎮守府の長であればこれくらいの情報網があるのは当然だな。

 

「そうですね・・・長門鎮守府の原田提督の無能ぶりには辟易としますよ・・・私達は戦闘には勝利しましたが、全体で見れば大敗ですね。今回の作戦でこちらが得られたのは、長門鎮守府の生き残りを4人保護出来た事だけです。」

 

「はっはっは、それは本当に無駄足だったな。それで?俺に何のようだ?鎮守府の防衛に手を貸して欲しいのか?それとも資材が欲しいのか?」

 

「今回は資材を融通して頂けないかと思って連絡させて貰いました。今回想定外の消費がありましたし、横須賀の部隊がうちを補給基地として使う事を考えると心許ないのですよ。特に高速修復材が欲しいところです。」

 

「・・・どういうつもりだ?冗談のつもりで聞いたが、本当に資材が欲しいとはな。俺の事は嫌いだから傘下に入らないと言ってたくせに、資材は寄越せと言うつもりか?」

 

 本当はなんとかなるくらいの資材は確保しているが、資材はいくらあっても困る事は無い。それにしても久藤提督は自分が傘下に入らない事をそれなりに根に持っているのか?

 

「傘下に入るのはお断りしましたが、交渉の余地はあると言ったはずですが?なので今回の件もお願いではなくて交渉です。」

 

「ほう?では資材を求める見返りに、お前は何を出すんだ?」

 

「こちらが出せるのは情報です。」

 

「情報ねぇ?俺も情報網くらいは当然構築しているぞ?大本営からだけじゃなくて、全国各地に人をやって情報を集めている。その俺に情報を売るつもりか?」

 

「ええ、そうです。しかも鮮度が重要な情報ですよ?それこそ早くしないと鶴野提督が揉み消してしまいますから。」

 

「つまりあのじじいに都合の悪い情報ってわけだな。面白い、それで資材はいくら欲しいんだ?」

 

「いえ、それは私の情報を聞いてから判断して頂いて結構ですよ?久藤提督がどれくらいこの情報に価値を見出だすか分かりませんから。」

 

「・・・良いだろう。話せ。」

 

 電話越しだからはっきりとは分からないが、こちらの考えが読めずにかなり警戒しているようだな。

 

「まず、長門鎮守府の原田提督が敵前逃亡した件はご存知ですか?」

 

「ほう?興味深い話だな。証拠はあるのか?」

 

「証拠に関しては長門鎮守府の艦娘達の証言だけですね。」

 

「むぅ・・・それだけなら弱いな・・・」

 

「ええ、これで敵前逃亡した確証は得られましたが、これだけでは鶴野提督に言い逃れされてしまうでしょうね。」

 

「ふん、勿体振らずに先を言え。時間が無いのだろう?」

 

 さて、ここからが本番だな。

 

「今回深海棲艦は長門鎮守府を目指していたにも関わらず、一度進路を東に逸らして、旧阿武町付近に近づいて砲撃をしています。」

 

「そんな誰も住んで無いような場所にか?」

 

「ええ、そしてその砲撃の後に長門鎮守府と原田提督の通信が途絶えたらしいのです。これが偶然だと思われますか?」

 

 これはもちろん嘘だ。本当は長門鎮守府を去ってから一切連絡はなかったらしい。そして私は悪雨から聞いた情報のおかげで、原田提督を襲う為に進路を変えたのだと確信しているが、そんな情報を明かすわけにはいかない。

 

「ほう・・・つまりその砲撃跡を捜索すれば、原田提督の遺品が見付かるかもしれないという事だな。そんなところで遺品が見付かればあのじじいでも言い逃れが出来ないわけだ。」

 

「ええ、理解が早くて助かります。そして急がなければ先に鶴野提督の陣営が動いて、証拠隠滅してしまうかもしれないですし、そこで原田提督が死んだという確証もありません。それでも調べてみる価値があるのでは?」

 

「なるほど、なるほど。ようやくお前の考えが読めてきたぞ。今回の交渉の本命は俺に捜索をさせたいのだろう?そして原田提督の罪を糾弾する事でお前への追及を避ける狙いか?」

 

「はぁ・・・そこまで読まれたのであればお手上げですね。ですがせっかく鶴野提督の陣営を削るチャンスですから、当然調査して頂けるのでしょう?」

 

「ああ、もちろんだ。良い情報ありがとな。これなら謝礼もしっかりしてやらねぇとなぁ。すぐに輸送隊を送ってやる。」

 

「ありがとうございます。では失礼します。」

 

「おう、また面白い話があれば言ってこい。」

 

 通話を終えてため息を吐く。とりあえずこれで久藤提督が動いてくれるだろう。鶴野提督を相手にするには、久藤提督をぶつけるくらいしか方法が無いからなぁ・・・本当は頼りたく無いが、こればかりは仕方ない。あとは久藤提督が証拠を発見してくれるのを祈るだけだ。もしそれがダメならば、長門鎮守府との通信記録を使ってなんとかするしかないので、かなり厳しい事になってしまうからなぁ・・・

 さてと、とりあえずやることは済ませたから、執務室で仮眠を取るとするか。もううっすらと明るくなってしまったな・・・




 やはり人間どうしのやり取りはドロドロしてしまう。艦娘に癒されたい・・・

もうすぐ一周年と言う事で久しぶりにアンケートをしたいと思います。この作品のキャラでの人気投票的なやつです。是非ご参加下さい。

  • 主人公葛原提督率いる問題児四天王
  • 大淀
  • 長門・陸奥
  • 第七駆逐隊
  • 川内・神通
  • 明石・夕張・間宮・鳳翔
  • 第六駆逐隊
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  • 赤城&加賀
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  • 白露型姉妹
  • 島風&雪風
  • 天龍&龍田
  • 龍驤・五十鈴・球磨・摩耶・高雄
  • 朝潮・木曾・陽炎・不知火
  • 叢雲ちゃん率いる横須賀艦隊
  • 俺の嫁が出てねぇぞ!!早よ出せや!!

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