疑心暗鬼提督のブラック鎮守府再建   作:ライadgj1248

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 想定していたより話が進まない件。後からどんどん書きたい話が出てくるから仕方ないね。


107話(防衛戦開始)

 葛原提督が着任してから慌ただしい日々が続いている。日本海側は深海棲艦の発生が少なく、危険な個体も滅多に確認されず、もし見つかったとしても佐世保の討伐部隊が殲滅していたらしい。なのでこれ程の数と質をあわせ持つ敵とは初めて対峙する。そんな大きな戦いで葛原提督は私に総旗艦という名誉ある大役を任せてくれた。作戦としては横須賀鎮守府の駆逐艦達に頼りきりになっているのが心苦しいが、圧倒的な練度と経験の差があるので彼女達を頼るしかないのが現状だ。だが我々が奮戦し敵艦隊の注意を少しでも多くこちらに向ければ、彼女達も動き易くなるだろう。私を信頼してくれた葛原提督に報いる為にも、恥ずかしい戦いは出来ないな。

 

「あらあら?今日はずいぶんと気合いが入っているわね。」

 

「当然だ。そういう陸奥こそ気合いが入っているように感じるが?」

 

「ふふっ、そうよね。せっかく北九州鎮守府が良い鎮守府になろうとしているのですもの。私達が守らないとって思うわよね。」

 

「ああ、駆逐艦達を盾として使い潰すなんて事はもうやりたくないからな。それに・・・」

 

「なにかしら?」

 

「葛原提督は我々が思っているよりも優しい方なのかもと思ってな。」

 

「う~ん、どうかしら?私達に対しては真面目な軍人さんって感じるけど、優しいからって話ではないと思うわ。それと目的の為には手段を選ばない印象かな?」

 

「むぅ・・・市長候補の奴を深海棲艦の所に連れて行った話か・・・」

 

「あれは流石に驚いたわね・・・それに売られていた娘達を取り戻す為に、平川市長以外の罪を追及しないなんて言い出したのも驚いたわ。」

 

「いや、だがあれは売られていた艦娘達の命を優先したわけであって、非難するような話ではないだろう?」

 

 どうにも私と陸奥では葛原提督の印象が大きく異なるようだ・・・

 

「別に非難なんてしてないわよ?真面目な軍人さんの印象がどんどん崩れていっただけで、むしろ私はすごく気に入ったわよ?」

 

「そ、そうか?なら良いのだが・・・」

 

「そういう長門はどうして提督が思ったより優しいなんて言い出したのかしら?」

 

「・・・先程の通信の最後に、沈むなよと言われたからだ。」

 

「確かに気遣ってくれるのは嬉しいけど?それっていつも口酸っぱく言ってないかしら?」

 

「今までの戦いは勝てる戦いだったからな。偵察や哨戒も情報を得たら逃げて問題ない。だが今回は違う。今回の相手は強大だ。それこそ北九州鎮守府存亡の危機と言っても過言では無い。それなのに提督は死力を尽くして防衛しろではなくて、沈むなよと言ったのだ。」

 

「そうね・・・前に私達が沈むと分かっていても必要ならば命令するって言ってたけど・・・そう言われてみれば違和感があるわね。」

 

「そうだろう?だから私はそこに軍人として正しい事をしようとしていても、捨てきれない優しさを感じた。甘さとも言えるかもしれないが、人間味があって私は好感が持てる。」

 

 私の考えを正直に伝えたが、陸奥は難しい顔で考え込んでいる。どこかおかしい所があったのだろうか?

 

「うーん・・・やっぱりダメね。提督の人柄を知るには分からない事が多すぎるわ。だって提督が着任してから一週間も経ってないもの。でももっと深く知りたくなっちゃった。」

 

「それもそうだな。ならばまずはこの戦いに勝って生きて帰らなければな。そして提督の指示なのだ。誰も沈ませずに帰還しよう。」

 

「ええ、私もちゃんと補佐するから頑張ってね、総旗艦殿。」

 

「ああ、共に頑張ろう。」

 

――――――――――――――――――

 

「提督!!まもなく横須賀の艦隊が敵の交戦距離に入ります!!」

 

「分かった。こちらは?」

 

「こちらはもう少しかかりそうですね。」

 

 ふむ、こちらは空母や戦艦も居るし、練度の差もかなりあるので、横須賀の艦隊からは引き離されてしまったか。それでも躊躇無く攻め込むのだな・・・

 

「敵艦載機発艦しました!!物凄い数です!!」

 

「そうか・・・まずはお手並み拝見だな。」

 

――――――――――――――――――

 

 私達の姿を確認した敵艦隊から艦載機の群れが迫ってくる。ただ聞いていた空母の数にしては艦載機の数が少ないわね。

 

「来たわね。ここで輪形陣を組んで敵艦載機を迎え討つわよ!!秋月!!照月!!涼月!!対空迎撃開始!!相手はこっちが1艦隊だからって出し惜しみしてるわよ!!全部落として状況を理解させてやりなさい!!」

 

「「「はい!!」」」

 

 襲いくる敵艦載機を次々と落としていく。これくらいなら秋月一人でも対処可能だから、三人も防空駆逐艦が居れば撃ち漏らしなんて出ないで当然ね。そして敵艦隊は私達が脅威だと認識を改めたようで、次の艦載機の群れはさっきとは比べ物にならないくらいの数が来るわね。

 

「敵艦載機の第2波が来るわよ!!さっきよりも多いから気を付けなさい!!ここで艦載機の数を減らせば、後ろの北九州鎮守府の娘達が生き残れるようになるのよ!!しっかりと撃ち落としなさい!!」

 

「「「はい!!」」」

 

 艦載機だけじゃなくて巡洋艦や駆逐艦もこっちに来てるし、戦艦もこっちを狙おうとしてるみたいね。もう少し艦載機を減らしておきたいから、少し距離を取りつつ砲撃で数を減らそうかしら?魚雷は空母や戦艦の破壊に取っておきたいわね。

 

「距離を取りつつ応戦するわよ!!秋月達は対空迎撃に専念して。天津風と時津風は私と砲撃で敵の数を減らすわよ!!」

 

 本当に数だけは多いわね。でも質が悪いわ。それならいくらでもやり方はあるわ。・・・ん?敵の動きが変わった・・・北九州鎮守府の艦隊が到着したみたいね。思ったよりも早かったから、まだ予定よりも削れてないわね・・・

 

「敵艦隊に突っ込むわよ!!敵の砲撃と魚雷に気を付けなさい!!それと第一目標は敵の空母だから、それ以外を無視してでも魚雷を叩き込んでやりなさい!!」

 

 あとは北九州鎮守府の艦隊がどれだけもってくれるか次第かしら?でもあの提督・・・こっちの指示をえらく素直に受け入れていて戸惑ったわ。こっちで調べたら教官潰しなんて渾名を付けられて、物凄く反抗的な人物って話だったのにどういうことかしら?まあ、そんな事は後で話せば分かる事ね。今は当初の作戦通りに北九州鎮守府の艦隊が敵艦隊の足止めをしてくれるのを期待して、私達は私達の仕事をしましょう。

 

「海の底に消えろ!!」




 つ、次からはちゃんと戦闘するから・・・

―追記―
 鈴谷if更新しました。

もうすぐ一周年と言う事で久しぶりにアンケートをしたいと思います。この作品のキャラでの人気投票的なやつです。是非ご参加下さい。

  • 主人公葛原提督率いる問題児四天王
  • 大淀
  • 長門・陸奥
  • 第七駆逐隊
  • 川内・神通
  • 明石・夕張・間宮・鳳翔
  • 第六駆逐隊
  • 北上&大井
  • 青葉&衣笠
  • 金剛姉妹
  • 伊19・伊168
  • 赤城&加賀
  • 翔鶴&瑞鶴
  • 白露型姉妹
  • 島風&雪風
  • 天龍&龍田
  • 龍驤・五十鈴・球磨・摩耶・高雄
  • 朝潮・木曾・陽炎・不知火
  • 叢雲ちゃん率いる横須賀艦隊
  • 俺の嫁が出てねぇぞ!!早よ出せや!!

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