突然現れた小森に動揺している大淀と曙であったが、自分が危険は無いと言った事で少しは落ち着いたようだ。まあ、誰だっていきなり部屋の中に知らない人が居れば驚く。自分も士官学校の寮で初めて小森を見つけた時は驚いたものだ。
「ちょっと!!いきなり脅かさないでよね!!」
「ひぃ!!」
「やめておけ曙。」
「で、でも!!何も言わずに執務室に侵入するなんて非常識だわ!!」
「まあ、それが正論なのだが・・・あんまり怒ると小森が逃げてしまう。こいつが逃げて隠れてしまったら見付けるのはほぼ不可能だ。」
「なんなのよそれ・・・」
冗談だと思うかもしれないが、小森の逃走と潜伏能力は異常だ。ただでさえ駆逐艦並みに小柄な体格で影が薄く、特徴と言えば腰のあたりまで伸ばした黒髪くらいの地味な少女で、吹雪型に混ざれば全く違和感を覚えないだろう。実際に吹雪型に紛れ込んで教官の目から逃れたのも見たことがある。そしてただでさえ気配が薄い彼女が本気で隠れようと思ったら、普通の人間どころかスペックの高い艦娘達でも難しいのだから、非常に厄介な事になる。
「逃げ隠れする以外に悪い事はしない臆病な奴だから、そこは諦めてそういうものだと割り切ってやってくれ。」
あ、お菓子のつまみ食いくらいはしていたか。まあ、その程度なら気にする必要もないか。
「・・・提督がそこまで言うなら分かったわ。」
曙はまだ不満そうな表情だが、とりあえず引いてくれるようだな。大淀も何も言わないが似たような感じか。
「では大淀は引き続き前線との通信を担当してくれ。曙は・・・そう言えば夜戦から戻った部隊にきちんと指示を出していなかったな・・・今どうなっている?」
「えっと・・・重傷者から順番に修理用の入渠施設を使ってるはずよ。うちも長門鎮守府の生き残りも練度が高い人は居ないから、あまり時間はかからないと思うわ。今戦闘に出てる人達が戻るまでには使い終わると思うけど?それと損傷が無い娘達は通常の入渠施設を利用してもう休んでるはずよ。」
ふむ、それならば高速修復材を使う必要はないか。消費資材に関しても夜戦組はそこまで問題無いだろう。
「旗艦の金剛と球磨はどうしている?」
「ちょっと確認するわ・・・金剛さんは今修理用の入渠をしてるところで、球磨さんは入渠を終えて報告書を書いてるみたいね。」
「なるほど、なら報告は金剛の入渠が終わってからで構わない。長門鎮守府の生き残りは?」
「えっと・・・重傷者が多かったから先に入渠を終えているみたいね。木曾さんが時間が取れるのであれば揃って挨拶がしたいって言ってるわ。」
「分かった、すぐに執務室に来るように伝えてくれ。あとは・・・そうだ、横須賀鎮守府の援軍の本隊がいつ頃到着するか確認しておいてくれ。」
姫級討伐の話は横須賀の本隊が到着して、叢雲が戻って来てからで良いだろう。もうすぐ長門達の方も終わるだろう。
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かなりの激戦を乗り越えて僕達は深海凄艦に勝利し、今は掃討戦に移行している。こっちもかなりの損害を受けてしまったけど、なんとか皆沈まずに生き残れたみたいだね。
「オラオラオラ!!この天龍様から逃げ切れると思ってんのか!?」
「うふふ・・・私のお洋服ボロボロにされちゃったからねぇ~逃がす訳にはいかないわねぇ~」
天龍さんも龍田さんもかなり損傷を受けてるけどまだまだやる気みたいだね。でも姉さんも夕立もボロボロだし僕と春雨で援護に行こう。
「くっ・・・あと二隻沈めないと・・・また夕立にいっちばんを持っていかれる!!」
「夕立だって・・・まだやれるっぽい!!」
「ちょっと姉さん!!夕立!!ボロボロなんだから無理しないでよ!?掃討戦は僕と春雨で行くから下がってて!!」
「で、でも~」
「でもじゃない!!沈んだらどうするのさ!?それじゃあ春雨行くよ。」
「が、頑張ります、はい。」
全く・・・姉さんの一番への執着は困ったものだよ・・・夕立も無茶な戦い方するから目を離せないし・・・これは提督から注意して貰ったほうが良いのかな?でも二人共凄く頑張ってるから、やる気に水を差すのもどうかと思うし・・・やっぱり僕と春雨でちゃんとフォローするのが一番なのかなぁ?
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掃討戦は空母を沈めた横須賀の人達が反転してきてほとんどやっちゃったね。これだと姉さん達が無理して来ていても、ほとんどやることがなかったんじゃないかな?
「ん?し、時雨姉さん!?海が光ってる!?」
「わぁ!?本当だ!!ドロップ艦を見るなんて久し振りだね。誰が来るんだろ?」
深海凄艦を倒すとたまに海が光って、艦娘が生まれる事がある。通称ドロップ艦ってやつだね。ここ最近は前線に出る事が多かったけど、なかなかドロップ艦には会えなかったんだよね。誰が来るのかちょっと楽しみだね。しばらく柔らかい光を眺めていると、だんだんと光がおさまってそこに居たのは・・・
「はいはーい!!白露型駆逐艦村雨だよ。みんな宜しくね♪」
「村雨!?」
「む、村雨姉さん!?・・・村雨姉さん!?」
僕の姉妹艦が来てくれたんだ!!本当に・・・本当に嬉しいよ・・・
「村雨姉さん!!村雨姉さん!!」
「ちょ、ちょっとどうしたのよ春雨!?」
普段おとなしい春雨も感極まって村雨に抱き付いて大泣きしてる・・・前の村雨が春雨を庇って沈んだから気持ちはよくわかるけど、生まれたばかりの村雨はちょっと困ってるみたいだね。
「やあ、村雨。会えて嬉しいよ。」
「ちょっと時雨姉さん?見てないで助けてよ?」
「あはは・・・ごめんね?でももうちょっとだけ春雨の好きにさせてあげてくれないかな?」
「はぁ・・・訳ありってことねぇ・・・なんとなく理解したわぁ・・・」
そう言って村雨は泣きじゃくる春雨を抱き締めてくれた。やっぱりなんだかんだ言っても姉妹艦だから妹が可愛いんだろうね。最初は困惑していた村雨も、今では優しい表情をしているよ。やっぱり僕の自慢の妹だ。
「ああ!?村雨じゃん!?なになに!?ドロップ艦!?」
「しかも春雨が抱き付いてるっぽい!?夕立も歓迎するっぽい!!」
「ちょ!?白露姉さんと夕立まで!?」
騒ぎを聞き付けたのか、姉さんと夕立もやってきて、ボロボロの状態なのも構わずに村雨へと抱き付いていく。
「あはは、ここは僕も歓迎しておこうかな?」
「ちょっとぉ!?もぉ~なんなのよぉ~」
姉妹艦全員で村雨を歓迎して、服も髪もぐちゃぐちゃになった村雨がため息を吐いてるけど、その表情はちょっと嬉しそうだ。今度はずっと一緒に戦いたいな。
新キャラ回と思いきやまさかの村雨登場回でした。ここまで苦しい戦いを潜り抜けたご褒美ですかね?
もうすぐ一周年と言う事で久しぶりにアンケートをしたいと思います。この作品のキャラでの人気投票的なやつです。是非ご参加下さい。
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主人公葛原提督率いる問題児四天王
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大淀
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長門・陸奥
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第七駆逐隊
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川内・神通
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明石・夕張・間宮・鳳翔
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第六駆逐隊
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北上&大井
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青葉&衣笠
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金剛姉妹
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伊19・伊168
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赤城&加賀
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翔鶴&瑞鶴
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白露型姉妹
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島風&雪風
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天龍&龍田
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龍驤・五十鈴・球磨・摩耶・高雄
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朝潮・木曾・陽炎・不知火
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叢雲ちゃん率いる横須賀艦隊
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俺の嫁が出てねぇぞ!!早よ出せや!!