疑心暗鬼提督のブラック鎮守府再建   作:ライadgj1248

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 最近話が長くなったせいか、話を読み返すのが大変になってきた。いや、長く続けられたのはとても良い事なのですが・・・ついここすきがついてるとこだけとかの手抜きをしてしまう。


112話(防衛戦終)

 掃討戦も終わりボロボロになりながらも全員が生き残れた事に安堵する。総旗艦として提督の命令に応えられて本当に良かった。戦後の確認の為に皆が集まって来て、横須賀の者達も損傷の確認等をやっているのだが・・・

 

「なぁ、陸奥よ。あれは・・・どうするべきだろうか?」

 

「えっと・・・困ったわね・・・」

 

 今私達が困っているのは・・・ドロップ艦の村雨の件だ。今は白露達が感動の再会といった雰囲気で歓迎していて、こちらとしては邪魔をしたくはないのだが・・・

 

「陸奥は合同で敵艦隊を壊滅させた時、ドロップ艦の扱いがどうなっていたか覚えているか?」

 

「う~ん、細かい所までは覚えてないけど・・・その戦闘における貢献度が高い方が優先権を持っていたと思うわ・・・」

 

「やはりそうか・・・」

 

 はっきり言って北九州鎮守府の全部隊と横須賀の艦隊で貢献度を比べても横須賀の圧勝だ。つまり優先権としては横須賀にあると考えるのが当然なのだ。だが白露達に村雨は横須賀の所属になるからお別れだと告げるのは酷な話だ・・・

 

「やっぱり横須賀の人達と話をするしかないと思うわ。とりあえず旗艦同士で話をして、まとまらなかったら提督に交渉して貰いましょう。」

 

「それしかないか・・・」

 

 うぅ・・・助けて貰った横須賀の者達に、戦果であるドロップ艦を譲って欲しいと言うのは図々しくて気が引けるのだが・・・白露達の為に恥を忍んで頭を下げに行こう。意を決して陸奥と一緒に横須賀の者達に近づいていくと、向こうもこちらに気がついたようで、旗艦の叢雲が近づいて来て、キッとこちらを睨んでくる。なんだか少し目が赤くて・・・少し涙目なのだろうか?

 

「ぐす・・・あ、あんた達、誰も沈んで無いでしょうね?」

 

「あ、ああ。かなりの損害は出てしまったが轟沈した者はいない。これも横須賀の艦隊が敵艦隊の注意を引き付けてくれたおかげだ。感謝する。」

 

「そう。なら良いわ。こっちも無事だし掃討戦も終わったからさっさと帰るわよ。」

 

「そうだな。すぐに帰還したいのだが・・・その前に一つだな・・・」

 

「なによ?言いたい事があるならはっきり言いなさいよ。」

 

「いや、その・・・ドロップ艦の扱いについてなのだが・・・」

 

「・・・うちにはもう村雨が居るから、あんた達の所で保護してやりなさいよ。」

 

「ほ、本当に良いのか!?」

 

「ええ、用件がそれだけなら、私達は先に戻るわよ。」

 

「分かった。我々もすぐに帰還しよう。」

 

 ふぅ・・・案外話せばなんとかなるものだな。これで白露達を悲しませずに済んだ。そっけない態度だったが、横須賀の叢雲はやはり良い娘なのだな。

 

「ふ~ん、良かったじゃない。簡単に譲ってくれて。」

 

「ああ、本当にな。では我々も帰還する。各旗艦は被害報告をしろ。大破して航行が難しい者は他の者が曳航してくれ。」

 

――――――――――――――――――

 

「叢雲さん、本当に良かったのですか?」

 

「ぐす・・・なによ秋月?文句でもあるの?」

 

「い、いえ、その・・・提督に確認取らずに譲っちゃいましたけど・・・」

 

「司令官からこちらでの事は私に任されてるから問題無いわ。あんなの見せられて邪魔できるわけないでしょ。それにうちの司令官だったら、同じことをしてるはずよ。」

 

「・・・それもそうですね。うちの提督はとっても優しい方ですからね。」

 

――――――――――――――――――

 

「提督、長門さんから通信です。」

 

「分かった。代わってくれ。」

 

「提督、掃討戦が終了して今から鎮守府へと帰還する。かなりの損害が出てしまったが、轟沈した者は誰もいない。横須賀の艦隊も無事だ。」

 

 うちの艦隊の練度で誰も沈まずに済んだか。横須賀の力が大きかったとは言え、多大な戦果と言っても良いだろう。

 

「誰も沈まずに済んだならなによりだ、皆良く頑張ってくれた。では被害報告を聞かせてくれ。」

 

「空母機動部隊、翔鶴が大破、摩耶が中破、赤城・加賀・睦月が小破。次に打撃部隊は陸奥・大和・高雄中破、私・神通・如月小破。水雷戦隊は白露・夕立大破、天龍・龍田中破、時雨・春雨小破。遊撃部隊は島風の小破のみ。後方支援部隊は漣・朧・潮小破。潜水艦は被害無し。以上だ。」

 

 これはまた派手にやられたな。特に翔鶴の大破と陸奥と大和の中破が痛い。うちの艦隊の中では正規空母と戦艦の練度が高めなので、修理に必要な資材も多くなる。と言っても全員練度20以下なので莫大なってほどではないが・・・それと艦載機もかなり落とされているはずだから、ボーキサイトも大量に消えるか・・・

 

「了解した。では警戒を怠らずに帰還しろ。」

 

「ハッ!!」

 

 ふぅ・・・とりあえず資材が枯渇する事は無いはずだが、横須賀が姫級の討伐に使う分を考慮すると、これ以上の大規模戦闘は避けたいところだな。呉鎮守府から資材がどれくらい送られて来るのかも分からない。不確定要素をあてにするのは避けておこう。

 

「提督、横須賀の本隊だけどあと一時間くらいで到着するそうよ。」

 

「了解した。今手隙の者は誰が居ただろうか?横須賀の艦隊が休憩出来る場所を準備させたい。夜通し航行してきたはずだから、寝られる場所を用意しておくべきだろう。」

 

「えっと・・・衣笠さんと羽黒さんね。あと出撃しないなら龍驤さんも空いてるわ。」

 

「ではその3人に部屋を用意させてくれ。」

 

「分かったわ。」

 

コンコンコン

 

「木曾だ。」

 

「入れ。」

 

 入室の許可を出すと木曾を先頭に朝潮・陽炎・不知火と続いて入って来て、横一列に並んで敬礼をしてきたので答礼する。

 

「まずは救助して頂き感謝する。元長門鎮守府所属の木曾以下4名、北九州鎮守府の指揮下へと入る。」

 

「了承した。私の方針としては、戦果を上げる事に重点を置いているが、艦娘の練度向上の為にも無闇に沈むような戦い方は避けるべきだと考えている。だから諸君も激戦であっても生き残るつもりでいてくれ。」

 

「ああ、了承した。ならどんな過酷な戦場でも生き抜けるように鍛えないといけないな。」

 

「そこに関しては容赦なく鍛えるつもりだ。それと私は信賞必罰が組織の基本だと思っている。軍人として規律ある行動を求めるし、功績をあげたならばそれ相応の報酬を渡すつもりだ。」

 

「ほう?報酬か・・・長門鎮守府ではそんなものは無かったな。いや、もちろん待遇が良いに越した事は無い。その恩にはきっちりと報いるつもりだから期待していてくれ。」

 

 やはりというべきか、長門鎮守府もブラックな鎮守府だったようだな。

 

「ああ、今後の諸君の活躍に期待している。では諸君も疲れているだろう。まずはゆっくりと休んでくれ。大淀、部屋の手配は出来ているか?」

 

「はい、部屋はまだ有り余っています。木曾さんは球磨型ですし、球磨さんと同室ですね。陽炎さんと不知火さんも同型ですので同じ部屋を用意しています。朝潮さんは・・・今のところ姉妹艦が居ないので一人になってしまうのですが・・・」

 

「大丈夫です!!問題ありません!!」

 

「では姉妹艦が来るまでは一人部屋でお願いします。」

 

 流石は秘書艦だな。しっかりと受け入れの事も考えてくれているようだな。

 

「では俺達は部屋で休ませて貰うが・・・だがお前も秘書艦の二人もかなり疲れているようだし、少し休んだほうが良いんじゃないか?」

 

「・・・やることを済ませたらちゃんと休む。心配するな。」

 

「・・・そうか。なら悪いが先に休ませて貰うとしよう。ではこれで失礼する。」

 

 木曾達の敬礼に答礼をして送り出す。一目見るだけでも疲労しているのが分かってしまうようだな・・・そろそろ本当に休みたいし二人も休ませたいのだが・・・いつの間にか机の上にあったコーヒーを飲んで、少し気分を切り替える。さて、次は何をするべきか・・・




 叢雲ちゃんはツンデレだけど優しい娘。異論は認めない。

もうすぐ一周年と言う事で久しぶりにアンケートをしたいと思います。この作品のキャラでの人気投票的なやつです。是非ご参加下さい。

  • 主人公葛原提督率いる問題児四天王
  • 大淀
  • 長門・陸奥
  • 第七駆逐隊
  • 川内・神通
  • 明石・夕張・間宮・鳳翔
  • 第六駆逐隊
  • 北上&大井
  • 青葉&衣笠
  • 金剛姉妹
  • 伊19・伊168
  • 赤城&加賀
  • 翔鶴&瑞鶴
  • 白露型姉妹
  • 島風&雪風
  • 天龍&龍田
  • 龍驤・五十鈴・球磨・摩耶・高雄
  • 朝潮・木曾・陽炎・不知火
  • 叢雲ちゃん率いる横須賀艦隊
  • 俺の嫁が出てねぇぞ!!早よ出せや!!

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