「提督、呉鎮守府の輸送艦隊から通信が入っています。」
「分かった、代わってくれ。・・・こちら北九州鎮守府の葛原です。」
「こちら呉鎮守府輸送艦隊旗艦の多摩ニャ。対姫級作戦用の支援物資を持って来たニャ。もうすぐ到着するから輸送船の入港許可が欲しいニャ。」
ほう?輸送船を使うってことはかなりの量が期待出来そうだな。ずいぶんと気前が良いな。それに思っていたよりも早い到着だな。
「許可する。支援物資に感謝する。まさか輸送船を使うほどの支援物資を送ってくれるとは思っていなかった。」
「北九州鎮守府が抜かれたら瀬戸内海に敵が入って来ちゃうニャ。うちの提督は瀬戸内海に敵が入るのをとっても嫌がるからニャ。」
なるほど。瀬戸内海は久藤提督の傘下で入口を封鎖して、安全な海となっていたはずだ。もし仮に北九州鎮守府が抜かれても、別の鎮守府から艦隊を出して押さえ込めるはずだが、それよりも資材を与えて、北九州鎮守府を生かしておいたほうがコストが安いと言うわけか。
「ああ、それとうちの提督から伝言ニャ。『大当たりだからボーナスだ。』って言ってたニャ。よくわかんないけど賭け事でもしてたのかニャ?」
大当たりって事は・・・久藤提督は自分が渡した情報から、長門鎮守府の原田提督が敵前逃亡した証拠を発見したのだな。これは朗報だ。
「賭け事などはしていないから気にするな。久藤提督にはありがとうございますとだけ伝えておいてくれ。」
「よくわかんないけど分かったニャ。あと挨拶とか面倒な手続きとかは省いて良いかニャ?多摩はそういう堅苦しいの苦手なのニャ。さっさとやること終わらせてゴロゴロしたいニャ。」
・・・ずいぶんと自由な雰囲気だな。だが元々資材の受け渡しを秘密裏にしていたのであれば、手続き等を省く習慣が出来ているのかもしれないな。そして多摩のこの性格も余計な事をせずに仕事だけをやると考えれば、よく後ろ暗い事をしている久藤提督からしたら便利なのではないだろうか?とりあえず手がかからないのはこちらとしても助かる。
「ああ、了承した。資材管理担当の明石に言っておく。」
「話が早くて助かるニャ。では失礼するニャ。」
これで呉鎮守府とのやり取りは大丈夫だ。あとは明石に任せるとしよう。
「大淀、明石にもうすぐ呉鎮守府の輸送船が到着するから、資材の受け取りをするように伝えてくれ。それと呉の艦隊は資材を降ろしたらすぐに帰るそうだ。」
「分かりました。そう伝えておきます。先程連絡がありましたが、金剛さんの入渠が終わったそうなので、もうすぐ報告に来るそうです。」
「分かった。」
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コンコンコン
「Hey 提督、金剛とクマーデース。」
「入れ。」
報告の為に執務室へとやってきた金剛と球磨だが、なんだか微妙な雰囲気だな。二人の敬礼に答礼する。
「Sorry 提督、長門鎮守府を助ける事が出来なかったネ。」
「球磨達も頑張ったクマ・・・でも4人しか助けられなかったクマ・・・」
「いや、お前達は充分に働いてくれた。むしろお前達の戦果だけを見れば快勝だからな。だから今回の件は私と長門鎮守府の責任だ。お前達が気に病む必要は無い。」
とは言ってもそんなにすぐに気持ちの切り替えが出来るものではないか。
「・・・OK キソー達を助けられただけでも良かったと思う事にするネ・・・私達の艦隊も轟沈はいませんし、損害も軽微だったデース。入渠も終えて皆休んでマース。」
「むぅ・・・次こそは大活躍するクマ・・・それとこれが今回の報告書クマ、金剛さんの分も球磨が代わりに書いておいたクマ。」
「分かった。夜戦明けで大変だっただろう。お前達もゆっくり休んでくれ。」
「分かったクマ。それじゃクマ達はこれで失礼するクマ。・・・金剛さん?どうしたクマ?」
報告を終えて球磨が退室しようとしていたが、金剛はその場に留まっている。まだ何か用件があるのだろうか?
「少し提督にお話がありマース。クマーは先に休んでいて下サーイ。」
「ん?分かったクマ。」
球磨は特に気にした様子もなく退室した。そして金剛はこちらをじっと見つめたままだ。
「それで、話とはなんだ?」
「・・・提督もオーヨドもボーノもかなり疲れているように見えマース。少し休んだほうが良いのではないですカ?」
「そうだな。そろそろ落ち着いてきたし、交代で休憩を取るべきだな。それに関してはこちらで上手くやるから気にするな。」
私と曙は1時間半くらい仮眠は取ったが、大淀はずっと働かせてしまったからな・・・
「・・・提案デスが、秘書艦の業務を私達金剛型姉妹が代わりマース。だから提督達は全員休憩するべきデース。」
「なんだと?」
「戦後の処理くらいは私達でも出来マース。高速修復材を使うかどうかの判断だけすれば、問題ありまセーン。報告書等の書類は榛名と霧島が得意デス。比叡にサポートに動いて貰えば完璧ネ。」
「だがお前達は夜戦明けだろう?疲労が溜まっているのではないか?」
「私達は昨日の夕食後から呼ばれるまでは休んでマース。ずっと働いていた提督達よりはマシデース。それに戦艦は体力あるから問題Nothing」
ふむ・・・正直に言えば大淀も曙も休ませておきたいから魅力的な提案だな。自分自身も会う艦娘達が心配するくらいには疲労しているし、敵艦隊も大打撃を受けてしばらくは動きは無いと思われる。休める時に休んでおくべきか。
「分かった。では金剛に秘書艦代行を頼む。高速修復材は大破した者に使ってくれ。それと横須賀の本隊がもうすぐ到着するのと、呉鎮守府からの支援物資が到着する。話は通してあるから受け入れを頼む。それと横須賀の叢雲が何か言ってきたら、出来るだけ要望を叶えてやって欲しい。彼女達が姫級の討伐に集中出来る環境を提供するべきだ。それと他の所から通信があった場合だが、軍関係者以外の通信は時間が取れたらかけ直すとだけ伝えてくれ。あともし緊急の場合はすぐに起こしてくれ。良いか?」
「OK 任せて下さいネ。」
「では私は私室で寝てくる。大淀と曙も金剛に引き継いで休め。」
「・・・分かりました。金剛さん、何かあればすぐに起こして構いませんので。」
「私も秘書艦補佐だから、何かあったら起こしてよね。」
「OK 心配しないで休んで下サーイ。」
では時間を無駄にするのも悪いし、さっさと休むとするか・・・
「ああ、そう言えば・・・」
「What?まだ何かありますカ?」
「小森、ついでだからお前の部屋に案内しておこう。」
「あ、うん、分かった。」
部屋の隅に居た小森に声をかけておく。忙しくて部屋に案内する余裕がなかったからな。流石にずっと放置はまずいだろう。
「WOW!!だ、誰ですカ!?いつからこの部屋に居たのデスか!?」
「あー、士官候補生の小森だ。今日から北九州鎮守府で実地研修している。たぶん金剛が部屋に入る前からずっと居たはずだぞ?」
ついさっきまで存在を忘れていたから自信はないけれど・・・
「Oh!!これがニンジャですカ!?まったく気が付かなかったデース・・・Ah・・・失礼しましたネ。金剛型一番艦の金剛デース。宜しくお願いしマース。」
「ひっ!!あ、はい、小森・・・です。」
おお!?あの小森がちゃんと自己紹介をしただと!?小森も提督になる為に頑張っているのだろうか?何はともあれ良い傾向だな。
過労が金剛と提督の関係に良い影響を与えてくれた!!よし!!もっと提督を過労に追い込んでみよう!!
もうすぐ一周年と言う事で久しぶりにアンケートをしたいと思います。この作品のキャラでの人気投票的なやつです。是非ご参加下さい。
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主人公葛原提督率いる問題児四天王
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大淀
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長門・陸奥
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第七駆逐隊
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川内・神通
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明石・夕張・間宮・鳳翔
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第六駆逐隊
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北上&大井
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青葉&衣笠
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金剛姉妹
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伊19・伊168
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赤城&加賀
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翔鶴&瑞鶴
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白露型姉妹
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島風&雪風
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天龍&龍田
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龍驤・五十鈴・球磨・摩耶・高雄
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朝潮・木曾・陽炎・不知火
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叢雲ちゃん率いる横須賀艦隊
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俺の嫁が出てねぇぞ!!早よ出せや!!