疑心暗鬼提督のブラック鎮守府再建   作:ライadgj1248

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 前回がドロドロ全開だったので、今回はわりとギャグよりのお話です。息抜きも大事ですから。


115話(織田からの電話)

コンコンコン

 

「Ah・・・提督、起きてもらえますカ?」

 

 徹夜明けで疲れて寝ていたが、部屋の外から金剛が呼び掛けてきた。たしか金剛に秘書艦代行を任せて、小森に客室を使えと案内して、すぐに私室のベッドで眠ったはずだ。時計を見るともう昼前なので、それなりに眠れたようだな。

 

「・・・今起きた。入れ。」

 

「失礼しマース・・・」

 

 金剛が少し申し訳なさそうに私室に入って来たので、あまり良くない話なのだろうな・・・

 

「それで、何があった?」

 

「その・・・変な人から電話があって困ってマース・・・」

 

「変な人からの電話?そんなものわざわざ相手にする必要は無いのだがな・・・」

 

「Oh・・・ですが軍用の回線からかかっているので困ってマース・・・提督は軍からの電話は対応すると言ってましたネ・・・」

 

 軍からの電話なのに変な人か・・・嫌な心当たりがあるな・・・

 

「そいつはなんと言っていた?」

 

「Ah・・・May youがどうとか?なんたらノブナガがどうとか?難しい話ばかりで対応出来ないネ・・・」

 

「はぁ・・・私の知り合いだな。面倒だが相手をしよう。」

 

 ため息を吐きながら困り顔の金剛から通信機を受け取る。要件次第ではさっさと切ってやる。

 

「葛原だ。」

 

「おお!!待ちわびたぞ我が盟友よ!!なにやら秘書艦を変えたようだな?うむうむ、色々な艦娘を秘書艦にしたい気持ちは、我には深く理解出来るぞ。」

 

 やはり織田だったか・・・

 

「・・・用件はなんだ?」

 

「うむ、聞いて驚くが良い!!ついに!!ついに我の時代が来たのである!!」

 

「そうか、では切るぞ。」

 

「待て待て待て!!大事な話であるから、そう焦るでない!!まずは我の話を聞いて貰おう。」

 

「私も忙しい。話を聞いて欲しければ5秒で興味を持たせろ。」

 

「我、長門鎮守府に着任す。」

 

「・・・ほう?」

 

 まさか本当に重要な話だったとはな・・・それにしても原田提督は昨夜死んだばかりなのに、もう後任の提督が選出されたのか。大本営の奴等はこういうところは仕事が早いのだな。

 

「ふむふむ、流石の盟友でも驚いたようだな。つい先程命令を受けたばかりでな。大本営の奴等もついに我の実力を認めたという事だ。これで我の野望である艦娘ハーレムを作る事が可能となったのだ!!しかも長門鎮守府は盟友の鎮守府の隣であると聞く。ならば我等の勝利は約束されたも同然であるぞ!!」

 

「・・・そうか。」

 

 この馬鹿はずいぶんと喜んでいるようだが、つい先程長門鎮守府が壊滅したのを理解しているのだろうか?崩壊した施設の再建が必要だし、艦娘達は誰一人居ない、そして街の被害が甚大ならば生活に必要な物資の供給も滞るはずだ。ずいぶんと呑気な奴だな・・・

 

「ふっふっふっ。しかもだ!!今回は特例として士官学校所属の艦娘を一人連れて行く事が可能なのである!!大本営の連中は気に食わぬがここまで厚待遇ならば、我も寛大な心で受け入れようと言うものだ。」

 

 施設が崩壊して艦娘が一人も居なければ、鎮守府として何も出来ないだろうからな・・・大本営側からのせめてもの情けなのだろう。本当に可哀想だな・・・連れて行かれる艦娘が。

 

「まあ、頑張れ。それで?誰を連れて行くのかもう決めたのか?」

 

「よくぞ聞いてくれた!!この第六天魔王織田信長の子孫にして、いずれはこの世界の覇権を握る漢、織田信雄の右腕となる者を紹介しよう!!」

 

「はぁ・・・葛原かしら?霞よ。」

 

「あぁ・・・霞か・・・」

 

 織田に紹介された霞は通信機越しでもわかるくらい疲れているようだな・・・これからさらなる困難に立ち向かわなくてはならない事を思うと、あまりにも不憫に感じてしまう。

 

「ええ、このクズに初期艦を頼まれてしまったのよ・・・本当にこのクズはあたしが居ないとなんにも出来ないんだから・・・とりあえず明日の朝には長門鎮守府に着任すると思うから、宜しく頼むわよ。」

 

「そうか・・・大変な仕事だとは思うが頑張ってくれ。何かあれば相談してくれて構わない。軍事的な話であれば私が協力出来るし、設備や財政面での問題ならば北条を頼ると良い。あいつも霞の頼みであれば聞いてくれるだろう。」

 

「そう言って貰えると助かるわ。申し訳ないけれど落ち着くまでは頼りにさせて貰うわ。」

 

「気にするな。霞には士官学校時代に世話になったからな。」

 

「あ、あの・・・盟友よ?なんか我の時と対応が違い過ぎではなかろうか?」

 

 織田は何を当たり前の事を言っているんだ?おかしな奴とまともな奴で対応を変えるだなんて当たり前ではないか?

 

「では霞、北九州鎮守府の提督として長門鎮守府への着任を歓迎する。今後は協力して深海棲艦の脅威へと立ち向かおう。」

 

「ええ、こちらこそ隣の鎮守府として良い関係を築けるように、努力させて貰うわ。」

 

「め、盟友よ!!我は!?我には何かかけるべき言葉は無いのか!?」

 

「そうだな・・・あまり霞に迷惑をかけないように頑張れ。ではこれで失礼する。」

 

「盟友ぅぅぅぅうう!!!!」

 

 通信を終えて一息吐く。よし、それでは頭を執務に切り替えるか。

 

「Ah・・・今の人は提督の友達ですカ?」

 

「いや、士官学校時代の知り合いだ。明日長門鎮守府に原田提督の後任として着任するそうだ。」

 

「Oh・・・あの人が提督になりますカ・・・大丈夫なのですか?」

 

「まあ、ヤバい奴だと感じるかも知れないが、あいつは艦娘ハーレムを作るとか寝言を言って、厨二病を患っているせいで言動がおかしく、座学は艦娘と深海棲艦の知識は豊富だがそれ以外はダメで、演習では想定外の事が起きたら混乱する頼りない奴だが、まあ、悪い奴ではない。」

 

「Oh・・・全く大丈夫な気がしないデス。」

 

 まあ、あれで基礎は押さえているし、こちらのアドバイスなどはきちんと聞く度量はあるから、まだマシだろう。しかも艦娘や深海棲艦の知識に関しては自分よりも遥かに上だ。あいつはどこで調べたのかは知らないが、教本に載っていないような情報も知っている。各艦の特性や能力の傾向を始めとし、容姿や性格にその艦娘達の軍艦時代のエピソードまで把握している。あいつの艦娘好きは筋金入りだ。

 

「それよりも私が寝ている間の事を聞かせて欲しい。」

 

「OK 出撃してた艦隊は無事に帰って休んでマース。横須賀の本隊も到着して一緒に休んでマース。ムラクモーはお昼から姫級討伐に出撃したいと言ってましたネ。呉からの輸送部隊は資材を置いて帰ったヨ。それから民間の方からいくつも通信ありましたガ、全てお断りしてマース。一応榛名がリストを作ってるネ。」

 

「分かった。では準備を整えたら執務室に行くから先に行ってくれ。」

 

「OK」

 

 さて、今日もまた忙しい1日になりそうだ。




 やはり問題児四天王はヤバい奴等だよ・・・

―追記―
 外伝「厨二病提督の崩壊鎮守府再建」を投稿しました。興味のある方は是非読んでみて下さい。

もうすぐ一周年と言う事で久しぶりにアンケートをしたいと思います。この作品のキャラでの人気投票的なやつです。是非ご参加下さい。

  • 主人公葛原提督率いる問題児四天王
  • 大淀
  • 長門・陸奥
  • 第七駆逐隊
  • 川内・神通
  • 明石・夕張・間宮・鳳翔
  • 第六駆逐隊
  • 北上&大井
  • 青葉&衣笠
  • 金剛姉妹
  • 伊19・伊168
  • 赤城&加賀
  • 翔鶴&瑞鶴
  • 白露型姉妹
  • 島風&雪風
  • 天龍&龍田
  • 龍驤・五十鈴・球磨・摩耶・高雄
  • 朝潮・木曾・陽炎・不知火
  • 叢雲ちゃん率いる横須賀艦隊
  • 俺の嫁が出てねぇぞ!!早よ出せや!!

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