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執務室に戻ると中には大淀と金剛姉妹と叢雲が居た。大淀は金剛姉妹から話を聞いて引き継ぎをしているようだな。そしてこちらに気が付いた叢雲が話しかけてくる。無事に敵艦隊を撃破したからか、少し上機嫌な雰囲気だな。
「あら?もう起きたのね?」
「ああ、まだ集積地棲姫を撃破した訳ではないからな。」
「そうね。でも体調管理も提督の仕事よ。うちの提督みたいに頑張り過ぎて倒れたら、本当に大変な事になるんだから・・・休める時にはちゃんと休みなさいよ。」
「そう言って貰えたら助かる。それで、金剛から少しだけ聞いたが、昼から集積地棲姫の討伐に向かうらしいな?」
「ええ、あれだけの部隊を送り込んで来たって事は、敵の本拠地は手薄なはずよ。あんた達が食事とか寝るとことか用意してくれたから、うちの艦隊もちゃんと休憩が出来たわ。なら今度は私達が戦闘で恩に報いる番よ。」
恩に報いるなんて大袈裟な・・・横須賀の艦隊が姫級討伐の主戦力なのだから、万全の状態にして送り出すのがこちらの仕事なのだが?
「それで、作戦は考えているのか?」
「細かい作戦を考えるには情報不足よ。だから私が現場で指揮をするの。状況次第では今日は偵察だけで撤退するかもしれないし、一気に殲滅するかもしれないわね。」
「・・・一応確認なのだが、海原提督が作戦の立案をするのではないのか?」
「ええ、私が現場で判断するわ。もし私の手に負えない状況なら、一度この鎮守府に戻ってうちの提督に連絡するわ。」
「・・・それが横須賀のやり方ならば口を挟むべきではないか。」
「そうして貰えると助かるわ。お礼に一つ大事な事を教えてあげる。」
そう言って少し上機嫌だった叢雲の表情が引き締まる。
「もし今後姫級とかの上位種と戦う気があるのなら、いつでも艦娘と通信が出来るなんて考えは捨てなさい。」
「・・・どういう事だ?」
「簡単な話よ。深海棲艦が通信妨害とか通信傍受をするのよ。」
「なんだと!?そんな重要な話は士官学校でも聞いた事が無いぞ!?」
「仕方ないわ。これは私達の経験から判断してるだけで、はっきりとした証拠は無いもの。通信妨害の方は距離や天候の問題かもしれないし、通信傍受の方は敵艦隊の動きから推測しただけで、はっきりとした証拠は無いのよ。でも私達は深海棲艦がそういうことをしている前提で行動してるのよ。だから私達は戦場に出たら無闇に通信をしないわ。」
叢雲が嘘をついているとは思えないし、経験則からの判断とは言っているが、信憑性は高いと考えるべきだ。うちの鎮守府でも春雨が深海棲艦の通信を傍受した事もあったので、逆が無いと考えるのは甘いだろう。
「そうか・・・貴重な情報に感謝する。しかしこの情報はきちんと共有しておいたほうが良いのではないか?」
「さあ?上の方の連中は知っていると思うのだけど、あんた達が聞いてないなら伝える必要が無いって判断したんじゃないの?」
「ふむ・・・確かに一般的な提督ならば、近海の防衛と遠征による資材回収くらいしかやらないからな・・・そもそも上位種と遭遇する事が無いって事か?」
「それもあるけど、この情報を馬鹿が知ったらどうすると思うかしら?」
馬鹿がこの情報を知ったら?もし仮に織田がこの情報を知ったらどう考えるだろうか・・・
「・・・通信が危険だと考えて、出撃させた艦娘と連絡しなくなる?」
「ええ、そんな馬鹿がいるかもしれないわね。私達は歴戦の艦娘だから、提督の指示がなくてもある程度の判断が出来るけど、あまり戦闘経験の無い艦娘を指示無しで出撃させるなんて、沈んで来いと言ってるのと同じね。通常の深海棲艦が相手ならそこまで心配する必要無いのに、通信で指揮せずに艦隊を沈めるなんて愚の極みね。でもそんなことをする奴が居ないとは言えないでしょ?」
「そうだな・・・ちなみに経験からしてどのレベルから危ないとかあるか?」
「そうねぇ。flagship級くらいなら気にしなくて良いと思うわ。改flagship級とか鬼級からは気を付けたほうが良いわね。」
「分かった。心しておこう。」
おそらくこの情報は横須賀鎮守府が何度も苦しめられたからこそ得られた情報だろう。こういう知識が先人の知恵と言う奴だから、大事にしなくてはな。
「では話を戻すが、昼からの姫級討伐だが、我々に何かして欲しい事はあるか?」
「無いわね。姫級の相手は私達だけでやるわ。むしろ一緒に来られたら足手纏いよ。」
「やはりそうなるか・・・」
「あ、でも一つあったわ。戦闘後の話だけど、大規模な輸送艦隊が欲しいわね。集積地棲姫が溜め込んだ資材を回収しないと、また深海棲艦の溜まり場になってしまうわ。周囲の掃討と護衛は私達がやるから、出来れば輸送船を出して欲しいのだけど・・・」
輸送船を敵の本拠地に送るのか・・・確かに輸送船の積載量はかなり多い。しかし速力はともかく小回りが効かず、サイズも大きいので深海棲艦からすれば良い的だ。だが横須賀の艦隊が護衛をするのであれば問題無いか。
「分かった。輸送船と駆逐艦の輸送艦隊の両方を準備しておこう。」
「助かるわ。・・・それにしても仕事が物凄くしやすくて調子狂うわね。」
「仕事がしやすいのであれば何が問題なのだ?」
「いえ、こっちに来る前にあんたの事調べさせて貰ったけど、あんたってあんまり評判が良くなかったのよ。教官潰しなんて渾名をつけられて、とっても反抗的な人物だって・・・」
「その事か。それは叢雲が優秀で結果を残しているからだ。それならばきちんと支援をした方が私にとって都合が良いだけだ。早急に姫級の脅威から解放されたいのでな。」
「ふーん、まあ、悪く無い回答ね。じゃあ士官学校の教官ってそんなに酷かったのかしら?私はその辺は詳しくないのよね。」
「あいつらは基本的に無能な奴らだ。そもそも優秀な提督ならば、鎮守府の運営をさせている。だから教官なんてやってる連中は、なにかしら問題を起こした連中だ。そんな連中でも提督の才能は持っているから、一応確保しておきたいので教官をやらせているのだろう。・・・一人だけ例外が居たけどな。」
「ふーん、酷い話ね。」
叢雲は自分から聞いておいて、あまり興味が無さそうな反応だな。
「そう思うなら海原提督に動いて貰ったらどうなんだ?あの人なら上にもかなりの影響力があるだろう?」
そう言った途端に叢雲の纏う雰囲気が変わる。これは不味いことを言ってしまったか?
「うちの提督を人間同士の醜い争いに巻き込まないで貰えるかしら?あいつはとってもお人好しなの。だから放っておくと誰でも助けようとするから、良いように利用しようと悪い人間が集まって来るのよ!!そんな奴等にうちの提督が喰い潰されるのなんて絶対にお断りよ!!良い?覚えておきなさい。私達は深海棲艦が相手ならいくらでも手を貸してあげる。それが日本で最強の横須賀鎮守府の務めだからよ。けれど人間が相手なら一切手を貸すつもりは無いわ。それが守れないのであれば、私達は深海棲艦の襲撃に対しても手を貸さない。このルールを守っているからこそ、鶴野提督や久藤提督も私達には干渉しないの。分かったかしら?」
なるほど。海原提督の政治能力が低いのはこれが原因か。そもそも艦娘達が海原提督に情報が行かないようにしているのだろう。まあ、かなりのお人好しのようなので、元々の政治能力が低い可能性もあるが・・・
「ああ、了承した。元々本気で言ったつもりもない。ちなみにこの件は、お前達もこちらのやり方に干渉はしないって事で良いのか?」
「ええ、そうね。深海棲艦の討伐に関わる事以外には、一切干渉するつもりは無いわ。」
「なら問題無い。」
「そう。なら良いわ。」
とりあえずこれで横須賀鎮守府との関係が悪化する事はないようなので、お互いに不干渉としよう。
叢雲ちゃん・・・過保護?
もうすぐ一周年と言う事で久しぶりにアンケートをしたいと思います。この作品のキャラでの人気投票的なやつです。是非ご参加下さい。
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主人公葛原提督率いる問題児四天王
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大淀
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長門・陸奥
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第七駆逐隊
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川内・神通
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明石・夕張・間宮・鳳翔
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第六駆逐隊
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北上&大井
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青葉&衣笠
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金剛姉妹
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伊19・伊168
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赤城&加賀
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翔鶴&瑞鶴
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白露型姉妹
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島風&雪風
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天龍&龍田
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龍驤・五十鈴・球磨・摩耶・高雄
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朝潮・木曾・陽炎・不知火
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叢雲ちゃん率いる横須賀艦隊
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俺の嫁が出てねぇぞ!!早よ出せや!!