「あ、あの、お話はもう宜しいでしょうか?」
叢雲との話が一段落したところで、大淀が恐る恐る声をかけてきた。叢雲の剣幕に気圧されてしまったか?
「ああ、大丈夫だ。」
「えっと、金剛さんから大まかな話は聞いたと思いますが、戦後の処理は順調に進んでいます。それとこちらが戦闘の報告書と資材の消費量をまとめたものです。次にこちらが呉鎮守府から届いた資材の一覧です。そして最後に提督がお休みされている間にかかってきた通信の一覧です。」
「助かる。」
資料に軽く目を通していくがなかなか綺麗にまとめてある。特に戦闘の報告書に関しては、今回はかなり大規模な戦いであったにも関わらず、詳細な内容が記載されているのが素晴らしい。
「かなり良い仕事をしてくれたようだ。この仕事を金剛姉妹でやったのか?」
「Yes 私が総指揮と通信の対応を少し、比叡は艦隊の出迎えや入渠施設で指示出しをしてくれたネ。榛名は通信の対応と報告書の作成で、霧島は艤装の整備で忙しい明石に代わって資材関連の管理をしてくれたネ。あとマミーヤが食事の手配をしてくれたデース。」
「あ、金剛お姉様、報告書の作成は霧島がやってくれたので榛名では無いですよ?榛名は通信の対応で手一杯でしたので・・・」
「ええ!?私は報告書の作成はしていません。榛名が忙しそうにしていたので手伝おうとしたのですが、私が確認した時には榛名の机に完成した報告書がありましたよ?」
「ええ!?じゃ、じゃあ比叡お姉様がこの報告書を!?」
「いやいや!?私も違いますよ!?」
「What!?ではいったい誰がこの報告書を作ったのですカ!?」
金剛姉妹の誰もが手を付けていないと言う報告書・・・
「・・・一応聞くが、大淀では無いよな?」
「ええ、私は提督が目を覚まされたら起こして欲しいと金剛さんにお願いしていましたので、つい先程までは休ませて頂きました。」
大淀がこっそりと無理をしたわけでは無いようだな。となるとあとは・・・
「・・・小森か?」
「あ・・・うん。」
部屋の隅の方に居た小森に尋ねるとすぐに肯定された。これだけ騒ぎになっているなら早く名乗り出て欲しい・・・というかそもそも報告書を作った時に金剛に声をかけておけよ・・・
「ひぇ~!?」
「だ、誰ですか!?」
「曲者!?」
「いつからそこに居たのよ!?」
お決まりのように比叡・榛名・霧島そして練度が高く索敵能力の高い叢雲まで驚いている。大淀と金剛は二回目だからか、比較的落ち着いているようだ。
「ひぃ!?」
そしてこれまたお決まりの如く、皆が驚いた声に小森が驚いて怯えている・・・
「待て待て落ち着け。こいつは小森、今日からこの鎮守府で実地研修をしている提督候補生で、私の士官学校時代の同期だ。大淀と金剛以外はまだ紹介していなかったな。」
そう伝えると、金剛姉妹はとりあえず落ち着いてくれたようだ・・・
「あ、私は金剛型高速戦艦二番艦比叡です。」
「同じく三番艦榛名です。」
「同じく四番艦の霧島です。」
「ひっ!!あ、はい、小森・・・です。」
「えっと、小森さんが榛名達の代わりに報告書の作成をして下さったのですか?」
そう優しく問いかける榛名に対して、小森は部屋の隅でコクコクと頷いている。別に責めている訳ではないのだから、そこまで怯えなくても良いと思うのだが・・・
「なあ小森、今日はどうしたんだ?避難勧告が出てるのに鎮守府へ来たり、こっそりと報告書の作成をしたり・・・ずいぶんとやる気があるようなのだが?提督にはなりたくないのではなかったのか?」
そう、この問題児である小森は、提督として艦隊を指揮する才能を持ち合わせておきながら、艦娘と関わるのが怖いという理由で提督になりたくないらしい。それでも提督の才能を見出だされたので、士官学校にほぼ強制的に通わされている。そんな状況でも逃げ出さずに授業を受けて、座学でも演習でもトップクラスの成績を修めている才女だ。彼女の逃げ隠れする力ならば脱走くらいは余裕だろうが、逃げ出さないくらいには根が真面目なのだろう。
「えっと・・・役にたたないと・・・追い出されたら・・・困る・・・」
「・・・どういう事だ?」
「葛原さん・・・無能な人は嫌うから・・・役に立たないと・・・追い出される・・・他の鎮守府に行くのは・・・怖い・・・だから頑張った。」
つまりあれか、自分の機嫌を損ねて追い出されるのが怖かったと・・・確かに人見知りの激しい小森が、自分の鎮守府以外でまともにやれるとは思わないが・・・提督候補生の指導は上からの命令だから、簡単に放棄出来るものではない。
「いや・・・追い出したりするつもりは無いのだが・・・」
それにしても小森の発言を聞いて大淀と金剛姉妹がかなり緊張しているようだ。おそらく自分達も無能だと判断されたら追い出されるか解体されると考えたのだろうか?ついでに叢雲からの視線がかなり冷たいものになったが、こちらのやり方に口出しはしないと言ったからか黙っている。
「そう・・・なの?」
「ああ、実地研修とはいえ私の指揮下に入ったのだ。ならば上手く使うのが指揮官の仕事だ。」
「でも・・・教官達の事・・・私が上の人間ならあんな無能はすぐに叩き出す・・・っていつも言ってたよ?」
「・・・そう・・・だったな。」
まずい・・・その話を持ち出されると否定が出来ない・・・実際にあんな無能なのに威張り散らしているクズが自分の指揮下に居たら、即座に叩き出す自信がある。だがなにか言わなければ、大淀と金剛姉妹、さらには他の艦娘達に伝わってしまい、自分は恐怖で艦娘達を支配する提督になってしまう。鎮守府のトップとしてある程度畏敬されるのは好ましいが、過度な恐怖は悪影響を与えかねない・・・
「あれだ、こちらの指示をきちんと聞いてくれる事と、向上心を持ってくれれば問題無い。その条件を満たしてくれるならば、無闇に追い出したりはしない。指揮する者としてきちんと扱う事を約束しよう。」
なんだかもうこれは小森にというよりは、大淀達に言っているようなものだな・・・だがそのお陰で大淀達は少し安心してくれたようだ。
「うん・・・やっぱり頑張って正解だった。」
「・・・そう・・・だな。」
ああ、そうだ。小森が頑張った結果として、すごく精度の高い報告書が完成したのだ。何一つ間違っていないはずだ・・・
「小森も金剛達も良く頑張ってくれた。今後もよろしく頼む。」
「Thanks 今後も私達金剛姉妹を頼りにして欲しいデース。では私達はそろそろ休ませて貰いマース。」
「ああ、ゆっくり休んでくれ。」
あれ?この提督・・・コミュ障に論破された?
もうすぐ一周年と言う事で久しぶりにアンケートをしたいと思います。この作品のキャラでの人気投票的なやつです。是非ご参加下さい。
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主人公葛原提督率いる問題児四天王
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大淀
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長門・陸奥
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第七駆逐隊
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川内・神通
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明石・夕張・間宮・鳳翔
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第六駆逐隊
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北上&大井
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青葉&衣笠
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金剛姉妹
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伊19・伊168
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赤城&加賀
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翔鶴&瑞鶴
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白露型姉妹
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島風&雪風
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天龍&龍田
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龍驤・五十鈴・球磨・摩耶・高雄
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朝潮・木曾・陽炎・不知火
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叢雲ちゃん率いる横須賀艦隊
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俺の嫁が出てねぇぞ!!早よ出せや!!