疑心暗鬼提督のブラック鎮守府再建   作:ライadgj1248

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 瑞鶴のお話がなかなか上手くまとまらなくて、書いたり消したりを繰り返していたら、ずいぶんと更新が遅れてしまった・・・


122話(瑞鶴対話・村雨回想)

 一航戦の二人が退室した後に瑞鶴が執務室へと入って来たが、本来の勝ち気な性格は完全に鳴りを潜め、ずいぶんと憔悴している雰囲気だ。戦闘中に恐慌状態に陥ってしまって、その件で呼び出されているのだから無理もない。

 

「その・・・足を引っ張ってしまい・・・申し訳ございません・・・」

 

 瑞鶴は私の前に立つとすぐに深々と頭を下げて謝罪をした。そのままじっと頭を下げた状態でこちらが声をかけるのを震えながら待っているようだ。

 

「とにかくまずは頭を上げて椅子に座れ。」

 

「は、はい・・・」

 

 とりあえず椅子には座ったが俯いたままで、顔を上げる気力はないようだな。

 

「察しているとは思うが、私が聞きたいのは翔鶴が被弾した後に瑞鶴が恐慌状態に陥って撤退した件だ。一応報告は受けているが、まずは本人から当時の状況を聞きたい。何があった?」

 

「その・・・敵艦載機の迎撃をしていて・・・敵機を撃墜する事だけに集中してしまって、敵艦攻からの雷撃に気がつかなくて・・・翔鶴姉が私を突き飛ばして代わりに被弾してしまって・・・本当は油断した私が被弾してたはずなのに・・・また翔鶴姉が・・・翔鶴姉が沈むのが怖くて頭が真っ白になって・・・加賀さんに怒られてから翔鶴姉と一緒に撤退しました・・・」

 

 瑞鶴は俯いたままで震えながらも、語るべき事は語ってくれたようだ。しかしこのような精神状態ならば、この問題が片付くまで出撃は出来そうに無いな。

 

「状況は把握した。緊急事態だったとは言え、精神的にまだ不安定だった瑞鶴を出撃させた私の采配ミスだ。悪かったな。」

 

 私が瑞鶴に謝罪をすると、瑞鶴は弾かれたように立ち上がる。

 

「そ、そんな!!悪いのは私よ!!一航戦には負けないなんて大見得を切ったくせに、翔鶴姉に庇われて一航戦や他の人達に迷惑をかけて・・・それで、私の処分はどうなるの?」

 

 最初は立ち上がった勢いで話していたが、最後にはまた俯いて不安そうに問い掛けてくる。

 

「とりあえずは私が大丈夫と判断するまでは出撃禁止だな。」

 

「・・・え?それだけ?」

 

「一応今回の件は命令違反や敵前逃亡ではないからな。旗艦の赤城の指示で翔鶴を連れて撤退したと聞いているが?」

 

「そ、それはそうだけど!?でも私のせいで翔鶴姉が被弾して、他の皆を危険に晒したのよ!!なにか罰があるべきよ!!」

 

 曙といい瑞鶴といいどうしてそんなに罰を受けたがるのだろうか?前任者のやり方の問題か?それとも艦娘の特性的な問題なのだろうか?

 

「確かに瑞鶴の油断があったから翔鶴が庇って被弾したと言うのは事実だろう。そして空母が二人行動不能になったのは大きな痛手だ。」

 

「だったら!?」

 

「だがそれは瑞鶴が弱かっただけだ。」

 

「ッツ!?」

 

「もちろん精神的に弱っていた事も原因だと思うが、実際に敵艦載機の攻撃に気がつかなくて翔鶴に庇われた。今回の件で瑞鶴がするべき事は、今回の教訓を生かして演習で経験を積み、次回の戦闘時に敵艦載機の接近に反応出来るようにする事だと思う。」

 

「だから次は頑張れって言うの?今回は一切責めないからって?」

 

 瑞鶴は何かに怯えるような雰囲気で、震えながら顔が真っ青だ・・・これは・・・もうダメかもしれんな・・・

 

「まあ、瑞鶴に戦う気概があればの話だな。私としては戦う気力が無いならば、瑞鶴には退役を勧めようと思っている。」

 

「退役・・・」

 

 その一言で瑞鶴はかなりのショックを受けたのか呆然としている。安堵するのではなくショックを受けたのか・・・もう戦うのが怖いって訳では無いのか?

 

「そうだ。戦えない者をいつまでも養う余裕は無いからな。退役を選べば前任者の時代に貰えるはずだった給与を渡して、瑞鶴は無所属の艦娘となる。消えるまで自由に過ごすか、新しい提督を探すかという形になるな。」

 

「そっか・・・私はもういらないんだね・・・」

 

「戦う気力が無いならばと言う話だがな。加賀には悪いがこの鎮守府のトップとしては、そういう判断をせざるをえない。」

 

「そう・・・ん?なんで加賀さん?」

 

「先程加賀から『瑞鶴は私が鍛え直すから、もう一度あの娘にチャンスを与えて下さい』と頼まれたのだ。」

 

「加賀さんがそんな事を・・・」

 

 先程まで絶望的な雰囲気だったが、少しだけ持ち直してきたか?やはり一航戦の事は意識しているようだな。

 

「それで、瑞鶴はどうしたい?残って戦うか?退役するか?」

 

「・・・強くなりたいわ。」

 

「ほう。なら加賀に鍛え直して貰うと?」

 

「ええ、今度は私が翔鶴姉を守れるくらい強くなりたい・・・です。」

 

「分かった。ならばそのように手配しよう。だが私が納得出来る状態になるまでは絶対に出撃はさせない。良いな?」

 

「ええ、分かったわ。」

 

 瑞鶴の表情は少しだけ良くはなったか?

 

「では話は以上だ。今日はもう休め。」

 

「失礼します。」

 

 私に敬礼をして退室しようとしていたが、扉の前で瑞鶴の足が止まり、扉の方を向いたまま話し掛けてくる。

 

「ねぇ、提督・・・私、翔鶴姉を守れるくらい強くなれるかな?」

 

「はぁ・・・その調子では無理だろうな。」

 

「そっか・・・」

 

「それを私に聞いてくる時点でダメだ。強くなりたいなら他人任せにするな。なれるかななんて半端な意思では強くなれん。自分自身で強くなると決めて努力を続けろ。」

 

「そう・・・ありがと・・・」

 

――――――――――――――――――

 

「村雨さん、終わったわ。」

 

「は、はーい。」

 

 提督に呼ばれて執務室の近くで待っていたら、瑞鶴さんが険しい表情で帰って来た。なんというか鬼気迫る表情と言うのか・・・ちょ~と怖いかも・・・先に帰って来た長門さんも、一航戦のお二人も真剣な表情だったし、ここの提督ってやっぱり怖~い人なのかしら?部屋で姉妹から聞いていた話を思い出す・・・

 

――――――――――――――――――

 

「ねぇねぇ、ここの提督ってどんな人なの?」

 

 通信越しに声を聞いただけの提督の事が気になって、姉妹の皆に聞いてみる。

 

「そうだね~なんかクールでカッコいい感じ?」

 

「凄く真面目な軍人さんって雰囲気かな?」

 

「でもとっても優しいっぽい!!頑張ったらご褒美に甘いものくれるっぽい!!あとは頭撫でてくれるっぽい!!」

 

「あ、えっと・・・凄く良い人だと思います、はい。」

 

「へぇ~なんだか意見が割れてるけど、なんだか皆好印象って感じかな?」

 

「そだね。悪い人じゃないよ。」

 

「うん、僕達の事をちゃんと考えてくれる人だからね。」

 

「ちなみに春雨はベタ惚れっぽい!!」

 

「ちょ!?夕立姉さん!?べ、別にそういう訳では・・・」

 

 あらあら?なんだか面白そうな話ね♪あの春雨がベタ惚れねぇ♪

 

「誤魔化しても無駄っぽい。春雨が寝る前に青葉さんから貰った写真を眺めてニコニコしてるの皆知ってるっぽい。」

 

「ええ!?な、なんでそれを!?」

 

「え、あれで隠しているつもりだったのかい?春雨が提督から撫でて貰っている写真を、いつも布団の中で眺めてたよね?」

 

「し、時雨姉さんまで・・・」

 

 ふふっ、なんだか良い提督みたいで安心ね。今から会うのが楽しみ♪

 

「ふぅ~ん、とっても良い人みたいだし、ちょっと誘惑しちゃおうかなぁ♪」

 

「「「「それは絶対にやめたほうが良い(よ)(ね)(っぽい)(です)」」」」

 

「え、なになに!?なんで!?」

 

「提督って冗談通じないから営倉送りだね。」

 

「規律には厳しい人だからね・・・」

 

「提督を怒らせたらロープで繋いで海の上を引き摺り回されるっぽい・・・」

 

「え、えっと・・・たぶん『そうか』の一言で終わるかと思います・・・はい。」

 

「ちょっ、なにそれ!?さっきまでの話と違うじゃない!?」

 

『業務連絡です。長門さん、一航戦のお二人、瑞鶴さん、村雨さんの順番で提督からお話があります。至急執務室横の資料室まで来て下さい。長門さんはそのまま執務室へと向かって、終わったら資料室で次の人に伝えて下さい。以上です。』

 

 ええ!?このタイミングで!?まだ詳しい話を聞いて無いのに!!海の上を引き摺り回すってなんなの!?

 

「あ、ちょうど呼び出しかかったね。」

 

「悪い人じゃないからきっと大丈夫だよ。」

 

「怒らせなければ大丈夫っぽい。」

 

「い、良い人ですから・・・はい。」

 

「う・・・い、いってくるわ・・・」

 

 ほ、本当に大丈夫なのかしら?




 瑞鶴のお話が重かったので、ついコメディ成分を追加してしまった。反省はしてません。

―追記―
 陸奥if更新中

もうすぐ一周年と言う事で久しぶりにアンケートをしたいと思います。この作品のキャラでの人気投票的なやつです。是非ご参加下さい。

  • 主人公葛原提督率いる問題児四天王
  • 大淀
  • 長門・陸奥
  • 第七駆逐隊
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  • 叢雲ちゃん率いる横須賀艦隊
  • 俺の嫁が出てねぇぞ!!早よ出せや!!
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