私は緊張した面持ちで執務室の前で深呼吸をする。今から初めて会う提督は姉妹達からの話だとよく分からない人だけど、怒らせなければ良い人みたいだし、せっかく着任した鎮守府の提督なんだから、出来れば仲良くしたいなぁ。
コンコンコン
「失礼しま~す。村雨で~す。」
「入れ。」
短い返答の雰囲気は少し威圧感を覚えてしまうけれど、まずは笑顔笑顔っと。やっぱり初対面なんだから元気に笑顔で挨拶しないとね。執務室の扉を開けて中に入ると、執務室の机に座る提督の姿があったのだけれど・・・
顔がすっごく怖いんですけど!?なにあの鋭い目付き!?絶対何人か殺してる目だよね!?夕立はあの人をすっごく優しい人って言ってたの!?と、とりあえずまずは挨拶よね?あ、明るく元気に挨拶よね!?
「は、はいは~い、白露型駆逐艦村雨だよ♪宜しくね♪」
「北九州鎮守府所属の葛原だ。鎮守府への着任を歓迎する。とりあえず椅子に座ると良い。」
うっ・・・これ本当に歓迎されてるよね?大丈夫よね?
「あ、ありがとうございま~す♪」
「既に会っていると思うが、うちには白露型姉妹が4人いる。しばらくは行動を共にするはずだから、分からない事は姉妹達に聞くと良いだろう。それと艦娘達の取り纏めを長門に頼んでいるし、大淀が秘書艦を務めている。何か相談があればそちらを頼ると良い。」
「わ、分かりました。」
「それと村雨はどんな戦いが得意だろうか?」
「え、えっと、対艦・対潜・対空となんだってやったげる!!もちろん輸送任務も行けるわよ。」
「ふむ、駆逐艦として苦手な事も無く、癖がなくて扱い易いか。悪くない。今後の活躍に期待している。」
う~ん、顔や口調は怖いけど、なんか普通に歓迎されてる感じ?ただ真面目な人なのかな?
「任せて♪提督に村雨のちょっと良いとこ見せてあげる♪」
「ああ、村雨からは何か質問はあるか?」
質問・・・質問かぁ・・・なんだか良い人みたいだし、春雨がベタ惚れしてる人がどんな人なのか気になるなぁ♪
「ねぇねぇ、提督はどんな艦娘が好みなの?村雨は提督さん好みかな?」
表情も男の人が喜びそうな笑顔で、自慢の胸をさりげなく強調しながら聞いてみる。どんな反応をしてくれるかな?
「そうだな・・・冷静で的確な判断の出来る奴が一番だろうか?戦闘能力の高さも重要な要素ではあるが、状況が変化する戦場で冷静に艦隊の指揮が出来る艦娘が理想的だな。そういう意味ではうちの鎮守府では赤城と加賀、それと北上も良い素質を持っていると思う。長門も経験を積めばもっと良い旗艦となれるだろう。村雨も経験を積んでより良い艦娘として成長して欲しい。」
「な、なるほどね~」
そ、そうじゃなくて!!女の子としての好みが知りたかったんだけど!?せっかく村雨がちょっと誘惑してみたのに無反応なんだけど・・・これは気がついて無いだけなの?それとも話を逸らして誤魔化された?
「なら提督にとって艦娘ってどんな存在なの?」
「以前別の者にも答えたが、艦娘は人間でも兵器でもなく艦娘としてしか分類出来ないと考えているが、私個人としては軍人と言うのが一番近いと思っている。ただし艦娘は特殊過ぎるので、普通の軍人扱いも出来ないのが難しいところだな。」
う~ん、人間でも兵器でもないかぁ~私達は軍艦の記憶を持って、人間としての感情も持っているから、この辺の線引きは難しいのかも知れないよねぇ・・・
「軍人って扱いは私も分かるけど、普通の軍人扱いが出来ないってどういう事なの?」
「まず艦娘は軍人として個性が強すぎる。軍と言うものは国家の暴力装置だ。だからそこに所属する軍人は命令があれば人を殺せるように教育しなければならない。その為には各自の個性や主義主張は邪魔になるから、訓練で人格を磨り潰し国への忠誠心を刻み込むのが普通だ。」
「うっ・・・物騒な話ね・・・」
だけど言われてみればそうなのかも・・・私が軍艦だった頃に乗っていた軍人さん達は、国の為に、残してきた家族の為に、命がけで敵の軍艦と戦って・・・つまり敵を殺そうとしていた。私自身もそれが普通の事で誇りを持って敵と戦っていたけれど、そこに個性なんてものはあんまりなかった気がする。
「だが艦娘達は人類を深海棲艦の脅威から守るという目的は一致しているが、非常に個性豊かな性格をしている。真面目な軍人らしい性格から、明るく陽気な性格や、果ては不真面目でサボりがちな性格まで多種多様だ。これで普通の軍人扱いをすると言うのはなかなか難しいだろう。」
「言われてみればそうかも?つまり提督は私達の個性も尊重してくれるってこと?」
「仕事に影響が出ない範囲ではな。だから食事や寝る場所などの生活環境も私が着任してからは改善している。これには上層部の連中に付け入らせないという目的もあるがな。」
「ふ~ん、なんだか優しい人なのね♪」
「別にそうでもない。私はきちんと戦果を出す為に必要な事をしているに過ぎない。」
「でも夕立が頑張ったらご褒美くれるって言っていたわよ?甘いものくれたり撫でてくれたり。」
まあ、夕立はちょろいから上手く手懐けられてるだけなのかな?
「それは士気の向上に役に立つからだ。」
「士気の向上かぁ。確かにやる気があった方が戦果が上がるわよね♪」
「そこは艦娘の特殊な部分で助かっているところだな。」
「ふ~ん?女の子のご機嫌取りは得意なの?」
「そうじゃない。考えてみろ。軍艦だった頃は多くの軍人が乗っていただろう。彼等の士気を上げようと食事の質を上げたり居住環境を良くしようとすれば、莫大な金額が必要になる。それが一人分の食事や居住環境で済むのだぞ?ずいぶんと安上がりで効果が出るのだから、やらないなんて選択肢は無いだろ?」
「そ、そう言われてみればお得かも?」
空母や戦艦の人達がいっぱい食べるって言っても、何百人分も食べるわけないものね。それで軍艦一隻の士気を上げられるって考えたらお得なのかも?
「まあ、逆に言えば精神的に弱った場合、軍艦一隻分の性能が大きく下がる事になる。だから艦娘の扱いは非常に難しいし、普通の軍人のようには扱えないと言うことだ。」
「な、なんだか凄い話よね?」
ちょっとだけ村雨には難しかったかなぁ?でもとにかく私達を大事にしてくれるのよね?以前のここは所謂ブラック鎮守府ってやつで、私達の扱いが酷かったみたいだし、良い提督が来てくれて良かったのよね?心の中で絶対何人か殺してる目とか言ってごめんなさい・・・
「他に質問はあるか?」
「ううん、提督の考えが聞けて良かったわ。またお話を聞かせてね?」
「機会があればな。では大淀を呼んでから部屋に戻っていてくれ。今後の活躍に期待している。」
「はいは~い♪村雨のちょっと良いとこ見せてあげるからちゃんと見ててね♪」
笑顔で敬礼すると提督は相変わらず硬い表情で答礼してくる。ちょっと怖い人だけど、姉妹達が言ってたみたいに良い人みたいね♪
ふぅ・・・とりあえず村雨のお話が書けて満足です。
陸奥ifの続きは・・・きっとそのうち・・・厨二提督の方は諸事情によりもう少し先になりそうです。
もうすぐ一周年と言う事で久しぶりにアンケートをしたいと思います。この作品のキャラでの人気投票的なやつです。是非ご参加下さい。
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主人公葛原提督率いる問題児四天王
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大淀
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長門・陸奥
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第七駆逐隊
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川内・神通
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明石・夕張・間宮・鳳翔
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第六駆逐隊
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北上&大井
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青葉&衣笠
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金剛姉妹
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伊19・伊168
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赤城&加賀
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翔鶴&瑞鶴
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白露型姉妹
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島風&雪風
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天龍&龍田
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龍驤・五十鈴・球磨・摩耶・高雄
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朝潮・木曾・陽炎・不知火
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叢雲ちゃん率いる横須賀艦隊
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俺の嫁が出てねぇぞ!!早よ出せや!!