疑心暗鬼提督のブラック鎮守府再建   作:ライadgj1248

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 ふぅ・・・今回まではほのぼの回です。
 本当にほのぼの回が長過ぎて、ブラック成分が枯渇してしまいました。次回からはやっとブラック成分が復活する予定です。ヒャホゥ!!


141話(祝勝会5)

 川内達を夜戦に出撃させた以上、こちらも指揮が出来る状況を作っておくべきだろう。今はまだ基地レーダーの範囲内だから深海棲艦との接触は無いだろうが、早めに執務室で準備をするべきだろう。ついでに後回しにしていた明日の会見の質問の確認も済ませておきたい。

 

「んんっ!!提督よ、少し良いだろうか?」

 

 今後の予定に関しての考え事をしていたら、長門が声をかけてきた。長門の後ろには陸奥と横須賀鎮守府所属の・・・たしか那智だったか?が居た。3人とも雰囲気からして少しお酒を飲んでいるようだ。

 

「どうかしたか?」

 

「そのだな・・・おそらく提督は執務室に戻るのではないかと思ってな。」

 

「そうだな。もうしばらくは敵に遭遇しないだろうが、早めに執務室へと戻ろうかと考えていたところだ。」

 

「そ、そうか・・・ならば仕方ないか・・・」

 

「何か私に用事があったのではないのか?」

 

「うむ・・・そのだな・・・」

 

 なんとも歯切れの悪い回答にしびれを切らしたのか、陸奥がやれやれといった雰囲気で前に出てくる。

 

「もう、長門は考え込み過ぎよ。提督、今お酒が飲める娘達で集まって、北九州と横須賀合同で飲んでいるんだけど、提督も少しだけ参加しないかしら?今ならまだ少しだけ時間あると思うんだけど?」

 

「私からも是非お願いしたい。勝利の宴としてここまで歓待されたのだ。横須賀の一員として北九州の提督と杯を交わしたい。交流の一環として一杯だけでも付き合って貰えないだろうか?」

 

 横須賀の那智も上機嫌な雰囲気で誘ってくる。そう言えば昔織田から聞いたが、那智はかなりの飲兵衛だと聞いている。演習で見る那智は凛々しく真面目な雰囲気だったので、意外だったのを覚えている。それにしても・・・

 

「はぁ・・・悪いがお酒には付き合えない。」

 

「むっ?もしかして下戸なのか?」

 

「いや、私はまだ未成年だぞ?」

 

「「「・・・・・・え!?」」」

 

「ん?言っていなかったか?私はまだ18歳だから酒は飲めんぞ?」

 

「そ、そうだったのか!?」

 

「ああ、そうだ。」

 

「若いなぁとは思ってたけど、まさか未成年とは思わなかったわ。」

 

「そ、そうか・・・それは悪い事をしたな。すまない。だがまさか未成年とは・・・」

 

 そんなに私は年上に見えるのだろうか?そこまで老けているつもりはなかったのだが・・・

 

「まあいい、お酒は飲めないが少しだけ顔を出そう。それで良いか?」

 

「ああ、ありがたい。ではこちらへ。」

 

 大喜びの那智に案内されて、合同で飲んでいると言っていた席へと向かったのだが・・・明らかに身長が低い者が二人も座っている・・・

 

「おい、まさかとは思うが駆逐艦に酒を飲ませているのか?」

 

 振り返って長門と陸奥を問い詰めると二人ともビクッと反応する。これはアウトだな。とりあえず隣り合って座っている二人に近づいて肩に手を置く。

 

「二人とも・・・駆逐艦なのにお酒を飲んでいるのか?」

 

 そう声をかけると二人は慌ててこちらを振り返る。そこに座っていたのは響と龍驤だった。

 

「やぁ、司令官、なんだい?」

 

「・・・え?ちょい待てや!!うちは駆逐艦やないわ!!こんななりでもれっきとした軽空母なんやで!!うちは大人なんやから酒飲んで文句言われる筋合いはないわ!!」

 

「む?龍驤だったか。すまない。私の勘違いだったようだ。」

 

「おう、分かればええよ。まあキミのことやからわざとからかっとるわけやないやろ。次から気ぃ付けてや。」

 

 龍驤は激しいツッコミをしながらもどことなく物悲しい雰囲気を漂わせている。

 

「ああ、すまなかったな。だが響、お前は駆逐艦だろう?何を飲んでいる?」

 

「・・・水みたいなものさ。」

 

「ほう、水みたいなものか?」

 

 響のグラスを持つとかなり強めのアルコールの臭いがする。

 

「かなり強いアルコールの臭いがするぞ?」

 

「でも色は水だよ。」

 

「・・・長門。」

 

「な、なんだ?」

 

「間宮にマッチがあるか聞いてこい。」

 

「分かった。」

 

 長門が大急ぎで間宮からマッチを貰って戻ってくる。響のグラスをテーブルに置いて火を近づけると・・・案の定青白い炎が揺らめく。

 

「火がつくのだが?」

 

「可燃性の水とは珍しいね。」

 

「これでもまだ水だと言い張るのか?」

 

「ねぇ司令官?」

 

「なんだ?」

 

「ウォーターとウォッカって似ていると思わないかい?」

 

 こいつは少しどや顔で何を言っているんだ?そんな屁理屈で誤魔化せると思っているのか?というかこれはウォッカだったのか。火がつく時点でかなり度数の高い酒だとは思ったが・・・

 

「思わないな。」

 

「それは残念だ・・・」

 

「はぁ・・・とりあえずこれは没収だな。」

 

「ちょっと待って欲しい。司令官は私が子供だからお酒を飲んではダメだと言いたいのかい?」

 

「ああ、そうだ。」

 

「それなら何も問題はないと思うよ?だって私の誕生日は1933年3月31日だよ。だから二十歳なんてとっくの昔に過ぎてしまったよ。」

 

「それは軍艦として生まれた日付だろ?」

 

「ハラショー!!よく知っているね!!でも艦娘として生まれた日付だと、私達艦娘の全員が飲めない歳になってしまうよ?」

 

「まあ・・・それはそうだな。」

 

 確かに艦娘がこの世に現れてから20年は経っていない。艦娘達は生まれたその瞬間から今の姿であり、大規模な改装をしない限り姿は変わらないものだ。

 

「そもそも艦娘の飲酒を制限する法律や規則があるのかい?」

 

「ふむ・・・言われてみればなかったな。」

 

 艦娘に食事を与える為の規則はあるが、逆に艦娘の飲食を制限する規則はなかったはずだ。この辺は艦娘の存在に法や規則が追い付いていない感じだろうか?

 

「そうだな・・・那智、横須賀では駆逐艦の飲酒に関してはどうしている?」

 

「特に制限はしていないな。もちろん出撃や遠征前に飲む事は禁じられているが、それは他の艦娘達も同様だ。とは言っても駆逐艦でお酒を嗜む者はほとんど居ないがな。」

 

 ふむ、少ないとは言えお酒を飲む駆逐艦はいて、特に問題は起きていないと考えるべきか。

 

「分かった。では響の飲酒を許可しよう。」

 

「スパシーバ♪」

 

 飲酒の許可を得て良い笑顔を見せた響は、そのまま艦娘達の方へと向いてどや顔でガッツポーズをした。普段おとなしい響がそこまで喜ぶのだから、よっぽどお酒が好きなのだろうか?

 

「その代わり何か問題が起きるようであれば制限をかけるつもりだから、節度を持って楽しむようにな。」

 

「分かったよ司令官。」

 

「では待たせたな。私は未成年だから飲めないのだが、少しだけ付き合わせて貰おう。」

 

 そこからうちと横須賀のお酒を飲む者達が改めて乾杯をして交流を楽しんだ。横須賀の艦娘達も友好的な雰囲気で、叢雲の物凄く警戒していたのはなんだったのかと思った。ちなみにお酒を飲んでいるメンバーの中に大淀がいたので、大淀にはそのまま食堂に残ってまとめ役と北条達の対応を頼んで、自分は曙を連れて執務室へと戻った。




 響にはクールな表情が似合うけれど、たまにはどや顔しても良いと思う。むしろ可愛い。
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