疑心暗鬼提督のブラック鎮守府再建   作:ライadgj1248

150 / 240
 昨日も夜戦・・・今日も夜戦・・・こんな生活を続けてたら川内以外が疲弊してしまう・・・


148話(叢雲)

 まずい・・・ちょっと深入りし過ぎたかな?最初は単独行動している深海棲艦を撃破したり、小集団を一方的に狩る事が出来てたけど・・・敵は混乱するどころか迅速に指揮系統を回復させてる気がする。これだと迂闊に手を出すとすぐに敵の応援が来て数で潰されそう・・・それに遠くからも集まって来てる?

 

「川内?大丈夫?」

 

「ごめん、今余裕無いから黙ってて。」

 

 五十鈴が声をかけて来たけど今はそれどころじゃない。とにかく感覚を研ぎ澄ませて少しでも活路を探さないと・・・私だけなら敵艦隊の包囲網を潜り抜けて撤退する自信はあるけれど・・・今は艦隊行動中だ。それにさっき通信で応援を呼ぼうと思ったら、こんな時に限って調子が悪いみたいで繋がらない。強引に突破するのも一つの手だけど・・・

 

「・・・何か用?」

 

「なんでも無い。」

 

 つい先程深海棲艦を倒した後に山風ちゃんがドロップしたのだ。つまり練度1の演習すら経験していない娘がいる。さらに他のメンバーも練度が高いわけでもなく、朝潮・陽炎・不知火の3人は今日初めて組む娘達・・・このメンバーで強引に突破しようとすると・・・良くても3人抜けられるくらいだと思う・・・

 

『北東、撤退、着いてきて』

 

 ハンドサインで指示を出して敵の気配が薄い方へと撤退する。鎮守府からはより遠く離れてしまうけれど、今全員生き残る為にはこうするしかない。私が大好きな夜戦では絶対に誰も沈ませないんだから!!

 

――――――――――――――――――

 

 悪雨との話を終えて部屋を出ると、少し離れたところに居た漣が近寄って来る。なんだかニヤニヤしているがなんなのだろうか?

 

「ご主人様、部屋に近寄る不届き者は居なかったであります!!」

 

「ご苦労。では執務室に戻るぞ。」

 

「ほいさっさ~。それにしてもご主人様も隅に置けませんなぁ♪」

 

「何がだ?」

 

「惚けても無駄ですよ?出てきた時の春雨ちゃんの表情を見れば一目瞭然ですぞ?」

 

「・・・そうか?」

 

 ・・・漣は春雨の表情から何を読み取った?春雨が部屋を出る時には既に悪雨の気配はなかったはずだ。だがもし仮に深海棲艦化の事を知られてしまったのであれば非常にまずい。・・・秘密を守る為にもそれ相応の措置が必要か?

 

「ちょ!?ご主人様!?怖い怖い落ち着いて下さい!!だ、誰にも言いませんから!!ご主人様と春雨ちゃんの愛の密会の事は誰にも言いませんから!!」

 

「・・・・・・愛の密会?」

 

「いや、そんな怪訝そうな顔されても・・・違うんですか?春雨ちゃん一人を呼んで密室に誰も近付けるなって言いますし、部屋から出てきた春雨ちゃんはとっても幸せそうな顔・・・あれは完全に雌の顔をしていたのでそういう事かと?」

 

 はぁ・・・ただの色恋沙汰だと勘違いしているだけか・・・それならどうでも良いな。

 

「はぁ・・・馬鹿な事を言ってないでさっさと執務室に戻るぞ。」

 

「あ、さっきおぼろんが横須賀の叢雲さんを連れて執務室に行くって言ってましたよ。」

 

「分かった。ならすぐに向かおう。」

 

――――――――――――――――――

 

 執務室に戻ると既に叢雲が来ていたようだ。

 

「状況は朧と曙から聞いたわ。かなりまずい状況みたいね。」

 

「ああ、おそらく戦艦棲姫が川内の居る海域に近付いたのだろう。」

 

「これは私の予想だけど、佐世保から逃げた戦艦棲姫が集積地棲姫が居た場所を再利用しようとしたんじゃないかしら?そこなら残党やはぐれが集まって来るはずだから、戦力の補充が出来ると考えてもおかしくないわ。」

 

「そこではぐれ狩りをしていた川内に近付いてしまったという事か・・・」

 

 非常に運の悪い話ではあるが、今の状況を考えるとそれが一番あり得そうだ。

 

「それで?少し聞いたけどここの川内さんは夜限定で非常に高い索敵能力を発揮するのよね?」

 

「ああ、それに危険を感じたら撤退しろと言ってある。姫級が近付いて来たのを察すればすぐに撤退するとは思うのだが・・・」

 

「通信が出来ない以上希望的観測で行動を決めるのはやめなさい。それと佐世保と戦艦棲姫が交戦した場所を考えたら、川内さん達に南西~南南西の方向から近付いているんじゃないかしら?それで撤退が出来ない状況に追い込まれていると思うわ。」

 

 なるほど、川内達が狩りをしている後から戦艦棲姫が近付いていったと考えられるのか。確かにもしも先に戦艦棲姫が現場に居たのであれば、川内はその気配を感じて撤退、もしくは通信をしようとして異常に気がつくはずだ。もし仮に南に撤退出来ていたならば、こちらの杞憂だったで済む話だ。

 

「なるほど、となると逃げるなら北から東の方向になるか。」

 

「そうね。それで私達横須賀の艦娘だけど、戦艦や巡洋艦のほとんどがお酒を飲んでるから、ほとんど使い物にならないわ。それに秋月型姉妹も対空に特化してるから、空母の居ない夜戦は苦手なのよ・・・」

 

「そうか・・・」

 

「だから今回は佐世保を頼りなさい。通信妨害の件を伝えれば、熊井提督なら動くはずよ。」

 

「分かった。曙、佐世保に連絡して通信妨害の件を伝えてくれ。」

 

「分かったわ。・・・・・・佐世保は討伐部隊を向かわせるそうよ。」

 

 それならば戦艦棲姫の討伐は佐世保に任せておけば問題無いはずだ。であれば今必要な事は川内達の安全を確保する事だ。金剛達の進路は集積地棲姫が居た場所から東の方に向かわせて・・・だが通信妨害の範囲に入って金剛達とも連絡が取れなくなるのも危険か・・・ならば通信妨害の範囲の外で派手に動いて敵を引き付けるか?

 

「じゃあ私はそろそろ出るわね。」

 

「ん?叢雲はどうするつもりだ?」

 

「天津風と時津風を連れて捜索に出るわ。この3人で戦艦棲姫の討伐は火力不足で難しいかもだけど、その辺の雑魚に遅れを取る事はないわ。もし仮に戦艦棲姫に遭遇しても速力の差で簡単に離脱出来るし。」

 

「そうか・・・すまない、助かる。」

 

「ふん!!前にも言ったけど私達が居るのにあんた達に沈まれると、横須賀の名誉に傷が付くから助けるだけよ。勘違いしないでよね。」

 

「それでも助けられるのは事実だ。」

 

「そう、じゃあ私はもう行くわ。」

 

 そう言い残して叢雲は執務室を去った。本当に横須賀の艦隊には大きな借りを作ってしまうのだが・・・今は使えるものは全て使おう。私に手段を選ぶ余裕などないのだから・・・

 

「ふぅ・・・横須賀の叢雲さんマジ格好いいっすわぁ・・・ぼのたんも同じツンデレキャラとして頑張らないといけませんなぁ。」

 

「私は別にツンデレなんかじゃない!!まぁ叢雲さんが格好いいのは同意だけど・・・」

 

「実力と経験に裏打ちされた自信があるからだろうな。それに戦況の判断と予測も出来る。私も提督として学ぶところが多い。」

 

 海原提督が現場を一任するだけの実力があるというわけか。これが日本で最強の鎮守府で最も海原提督の信頼を得ている初期艦の実力か。戦闘能力や現場での指揮能力だけではなく、提督として働けるくらいの作戦立案能力か・・・本当に優秀な存在だな。




 出来ればあと3話くらいでこの夜戦を終わらせたいなぁ(願望)
 でも話がなかなか進まない悪癖があるから、あまり期待出来ないかぁ・・・
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。