若干設定の解説のような話が出てきます。色々と矛盾がありそうなのですが・・・そこはまあ素人の書いてる作品という事でご容赦頂けると幸いです・・・
「クソ!!クソ!!クソォ!!」
北九州鎮守府との通信が途絶えた通信機を叩きつける。どうしてこうも想定外の事ばかり起こるのだ!?どうして提督という奴らは想定外の動きばかりするのだ!?
「中井さん、少し落ち着いたらどうですか?」
「黒川さん!!葛原の野郎が!!使い捨ての火種の分際でなめた態度を!!」
「まあまあ、そう怒らずに。葛原の態度が悪い事なんて既にご存知でしょう?だからなんの躊躇いも無く捨て石として使えるのですから。」
「それはそうですが!!」
「それに葛原を煽って焚き付ける計画に関しては問題なく進んでいるでしょう?なにやら会見で何かをやらかす準備を進めているようですし。」
「それは・・・」
確かに葛原の野郎は会見の準備は順調に進んでいると言っていた。だから何かしら問題を起こすはずなのだが・・・
「ですが会見は鶴野提督から圧力をかけられてしまったではないですか!!それを強引に進めればこちらが睨まれます!!」
「そうですね・・・」
今私と黒川さんの頭を悩ませている一番の原因は鶴野提督が葛原の謝罪会見に反対している事なのだ。今回の謝罪会見の内容は鶴野提督が広めている内容とほとんど同じで、原田提督の失態を葛原に擦り付けるものだ。散々各地で同じ内容を広めているくせに、葛原に直接謝らせるのはダメだと言うなど誰が予測出来ると言うのだ!?
「それに久藤提督に動きが無い!!これでは当初の計画通りには進まないです!!」
「それも誤算でしたね・・・」
本来の計画では鶴野提督が葛原の謝罪会見に協力してくれて、それに対抗する為に久藤提督が動いてくるはずだった。表向きでは葛原と久藤提督に繋がりは無いと言っているが、裏で手を結んでいる事は確認している。原田提督が深海棲艦の砲撃で殺された時に、久藤提督の派閥がいち早く原田提督が敵前逃亡した証拠を押さえた。そして呉鎮守府からの輸送船が北九州鎮守府に入港したのも確認された。この事から葛原から久藤提督に情報提供があり、久藤提督が謝礼として資材を送ったと考えられる。
それに北九州鎮守府の汚職調査の件もある。こちらの計画としては、葛原の野郎がどちらの陣営にも加担せずに、泥沼の争いになるはずだったにも関わらず、結果として久藤提督側に多少の損失はあったものの久藤提督の思惑通りの状態で早期に解決してしまった・・・これも葛原が久藤提督に尻尾を振った証拠だから、葛原は久藤提督の下に付いたと考えて間違いない。あのクソ野郎は誰の下にも付かないみたいな態度を取っていたくせに、ちょっと追い込まれたくらいですぐに態度を変えやがって!!あいつのせいで計画が大きく狂ったのだ!!
「元々鶴野提督と久藤提督を争わせて、二人の力を少しずつ削っていく計画だった!!その為の火種として葛原を着任させたと言うのに、どうして我々が追い詰められなくてはならんのだ!!」
「そうですねぇ・・・葛原に関しては思っていたよりも使えなかったと割り切りましょう。問題は鶴野提督の方です。なぜ今回の話に鶴野提督が乗って来なかったかの方が問題でしょう。」
今回の一件は大本営が主体となって強引に進めた話だ。本当ならば鶴野提督へのご機嫌取りとして誤魔化せる話だったのに、その鶴野提督から圧力をかけられてはどうしようもない。かと言って久藤提督が鶴野提督の邪魔をするように動く気配も無いので、久藤提督の妨害があったと言い訳する事も出来ない。だからと言って葛原の責任で中止をさせようとしても、あいつは責任をこちらに押し付けようとするはずだ。それにあれだけ告知をして人を集めたからには、納得のいく理由がなければ中止は出来ない。強引に中止させれば勘の良い者達なら大本営からの命令だと気付く。それは大本営への不満を抱かせてしまう。
「くそぉ!!どうして提督という奴らはどいつもこいつも好き勝手に動くのだ!?そもそも妖精だかなんだかが見えるだけのド素人が、ここまで権力を持つ事がおかしいのだ!!なぜ国防に関する事をド素人に任せねばならんのだ!!国を守るのは我々軍人の仕事だ!!そして軍事力は国が管理すべきものだ!!」
「はぁ・・・お気持ちは痛い程分かりますが、今さらそれを嘆いても仕方ないでしょう。深海棲艦出現当初に提督達を上手く制御出来なかったのは我々の失態です・・・」
今思い出しても腹立たしい。深海棲艦の出現により日本は大打撃を受けた。街は焼かれ交通網や通信網は寸断されて、自衛隊による防衛線も軽々と食い破られた。深海棲艦と我々では戦力に大きな差があった。人間とそう変わらない大きさであっても奴らは一隻の船なのだ。奴らを沈める為には一隻の軍艦を沈めるだけの火力を、人間くらいの大きさの相手に叩き込む必要がある。そして奴らの放つ砲弾は戦艦の主砲であっても拳大くらいの大きさだが、命中すると戦艦の主砲の威力を発揮するのだ。これで次から次へと攻めて来るのだから、通常兵器での迎撃なんて不可能だ。
そんな絶望的な状況で突如艦娘達は現れた。本当に突然の出来事だったのだ。政府がその存在を認識した時には、既に鎮守府の原型とも言える施設がいくつか作られていたのだ。その施設で指揮をしていた提督に話を聞いて、我々の目に見えない妖精さんという特殊な存在を知った。提督となる為の最低条件はその妖精さんが見える事だと言う。馬鹿げた話ではあるが艦娘達に頼る他に勝ち目が無い以上、そちらのルールに合わせるしかなかった。
最初は軍人の中から提督の資質を持つ者を探して鎮守府を建設していたが、日本各地を守る為には人数が少なすぎた。それに当時は深海棲艦の情報も少なく、艦娘の運用も手探り状態だ。いくつもの鎮守府が潰されて、軍人出身の提督はその数を減らす一方だ。それ故に一般人からも広く提督の資質を持つ者を集めたのだが・・・
「全てはあの鶴野提督が提督の権利の保障をなどと言い出したからだ!!あそこからこの国は狂い出したのだ!!それを利用して勢力を伸ばした久藤提督もだ!!あいつらがこの国を食い物にしやがった!!」
「政府が提督達をきちんと管理する制度を整える前に動かれましたからね・・・」
「それに熊井提督もだ!!軍人出身であるにも関わらず、奴らの増長を放置しやがった!!何が自分は軍人だから政治には口出ししないだ!?そんな悠長な事を言う時ではなかった!!」
「中井さん・・・それは今さら言っても仕方ない事でしょう。本来軍人が政治に口出ししないのは正しい事です。彼は危険な九州地方をしっかりと抑えてくれている。それに海原提督と共に強力な個体を撃破している。軍人としては最高の働きと言っても良い。」
「しかし!?」
「私とて提督達の増長は腹立たしいです。ですが国を守る為には提督達の要求を飲むしかなかったのです・・・しかし現在はようやく戦線が安定してきたところです。だからこそ鶴野提督と久藤提督の勢力を少しずつ削り、国が管理している大本営の力を増大させて、国が軍事力をきちんと管理するというあるべき姿を取り戻す時です。」
「それは分かっています!!」
「ならば焦らない事です。鶴野提督も久藤提督も一筋縄ではいかない相手です。事を急ぎ過ぎればこちらが潰されます。」
「そう・・・ですね・・・」
腹立たしい事だが鶴野提督と久藤提督は確固たる地盤を持っている。それをいきなり壊せばその混乱は深海棲艦に付け入る隙を与えてしまう。だからこそ地道に削っていかねばならない。もちろん自分達の地盤を削られば二人も黙ってはいないはずだ。だからこそお互いに削りあって貰うのが一番だ。その為に我々は屈辱を感じながらも動いてきたのだ・・・
「ではそろそろ現実を見ましょう。今は今回の謝罪会見についてどう対応するかが重要です。」
「分かりました。問題はどのようにして我々大本営へのダメージを最小限にして、謝罪会見を中止するかですね・・・」
「いえ、必ずしも中止しなければならないとは限りません。」
「と言うと?」
「鶴野提督は敗戦の責任を提督に負わせてメディアの前で吊るし上げる事に反対しています。」
「それは・・・まあそうですね。」
鶴野提督自身が有力者達に今回の責任は葛原提督にあると情報を流しているくせに、メディアの前で提督を吊るし上げるなと言っている。
「鶴野提督は艦娘新教を裏で操っています。提督の敗北であれば今まで何度もあります。信者達を納得させる術も持ち合わせているでしょう。ですが提督の失態や怠慢による敗北ならばかなり印象が変わります。」
「我々としては提督の派閥争いによる連携不足を主張して、大本営による派閥の統一を主張したいところですね。」
「そうですが鶴野提督は提督の権威の失墜を嫌がっているのでしょう。今回の一件だけならば葛原提督に責任を負わせてしまえば良い。ですが敗北した提督をメディアで吊るし上げる前例を作ってしまえば、今後どこかの鎮守府が深海棲艦に潰された場合、メディアによって吊るし上げられるのを危惧しているのだと思います。」
「ではどうするのですか?」
「今回の長門鎮守府壊滅に関しての話を極力削ってしまい、姫級を2体も討伐した事を強調しましょう。もちろん手柄は横須賀鎮守府と佐世保鎮守府のものとしてです。」
「横須賀はともかく佐世保は大丈夫ですか?」
「確かに止めを刺したのは北九州鎮守府です。しかし戦艦棲姫を追い詰めたのは佐世保鎮守府ですから、そこを強調するだけです。熊井提督も事実を否定するような事はしないでしょう。」
「それもそうですね。では鶴野提督はそのような形で説得しましょう。後は・・・」
「葛原提督が我々の命令を破って暴れる事を期待しておきましょう。」
「精々頑張って暴れて欲しいものですね。」
ふぅ・・・
色々考えていた裏設定を少しだけ出せたので、ちょっとスッキリしました。
たまには何も考えずにおバカな話が書いてみたいです・・・