疑心暗鬼提督のブラック鎮守府再建   作:ライadgj1248

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 ふぅ・・・それなりに長く話を書いていて、ようやく話を少し端折る事を覚えました。普段から詰め込み過ぎだとは思っていたので・・・


160話(久藤提督会見前対話)

 函館との通信のあと食堂で昼食を手早く済ませて執務室に戻ると、次から次へと通信が入ってくる。もちろんそのほとんどがプリンツ・オイゲンに関する事だ。昼前の一件以降横須賀の傘下から通信が入る事は無くなったものの、本当に面倒な奴らだ。

 舞鶴鎮守府の傘下の奴らは、希少な海外艦は4大鎮守府にこそ相応しく、貴様が所有するには格が足りない。さっさと鶴野提督に差し出せと言ってくる。こいつらは自分自身で所有するつもりは無いようだが、手に入れたプリンツ・オイゲンを鶴野提督に差し出して何かしら対価を要求したいのだろう。まともに相手をするのがバカらしくなるので、適当に断って通信を切っている。

 呉鎮守府の傘下の奴らは金や資材で売ってくれと交渉を持ちかけてくる。元々北九州鎮守府は艦娘を売る事で資金や資材を手に入れていたので、そういう取引が当たり前だと考えているように感じた。ただ意外だったのは断っても声を荒げる奴が少なかった事だろう。舞鶴鎮守府傘下の奴らのように、もっと高圧的な態度で怒鳴るものだと考えていたので、ちょっと気味が悪い・・・

 佐世保鎮守府の傘下の奴らは直接寄越せとか売ってくれとは言わないものの、お前に希少な海外艦を所持する資格があるのか試してやる。うちの艦隊と演習をしろと言う奴が多かった。海外艦を所持する資格うんぬんは知った事では無いが、演習に関しては少し興味がある。北九州鎮守府の当面の目的は既存の艦娘達を鍛える事なので、演習の申込みが多いのは悪く無い。とりあえず忙しいので全て保留にしてあるので、落ち着いたら情報を整理して順番に演習しようかと考えている。

 

「お疲れ様です。コーヒーでも淹れましょうか?」

 

「ああ、頼む。」

 

 通信の対応は本当にストレスが溜まる・・・新人提督が相手だと思ってこちらを見下してくる奴のなんと多い事か・・・

 

「ミルクと砂糖はどうされますか?」

 

「入れてくれ。」

 

「分かりました。」

 

 大淀が手早くコーヒーを入れてくれて、そのコーヒーを飲んで一息つく。頭をスッキリさせたい時はブラックが良いが、落ち着きたい時には甘めのコーヒーが良いものだ。

 

「ふぅ・・・美味いな。」

 

「そう言って頂けると嬉しいです。」

 

 正直コーヒーの良し悪しなどよく分からないので、美味いか不味いかくらいの基準しかない。だから大淀の技術がどれくらいのものかは理解出来ていない。まあ、どちらにせよ大淀が褒められて悪い気はしていないようなので、そこまで気にする事でも無いか。

 

「ふぅ・・・まだ時間に余裕はあるが、そろそろ会見に向かう準備をさせておくか。陸奥と春雨に外出の準備をさせてくれるか?」

 

「それは構いませんが・・・陸奥さんは予定通りなので良いのですが、春雨さんも連れて行くのですか?」

 

「ああ、陸奥にはあちらでもオークションの準備をしてもらう必要がある。だから緊急時の連絡要員に一人欲しいからな。」

 

 それに春雨ならばいざという時の護衛も出来る。護衛として憲兵達も居るが、信用出来るかと言われれば無理だ。利害が一致していれば協力してくれるだろうが、状況次第で簡単に裏切ると考えておくべきだ。

 

「・・・そうですか、分かりました。・・・・・・陸奥さんも春雨さんも了解しましたとの事です。」

 

「分かった。」

 

 大淀の反応が少し遅れたか?もしかして春雨を選んだ理由を誤魔化した事に疑問を持たれたか?確かに連絡要員ならば春雨でなくても問題は無いからな。

 

「・・・・・・提督、今度は呉鎮守府の久藤提督から通信が入りました。」

 

「・・・分かった、代わろう。」

 

 ようやく久藤提督が出てきたか・・・むしろなぜ今まで動かなかったのか疑問なくらいだ。希少な海外艦は久藤提督も当然欲しがると思っていたが・・・

 

「代わりました。北九州鎮守府の葛原です。」

 

「おう、久藤だ。話の内容は想像出来るよな?」

 

「はぁ・・・プリンツ・オイゲンの件ですか?」

 

「そうだ。もし売るつもりがあるなら俺に売れ。一番高く買い取ってやる。」

 

「売るつもりはありません。話は以上ですか?」

 

「いや、一応理由を聞いておきたい。ただでさえ周りから目をつけられてるお前が、希少な海外艦なんて所持したら余計に目をつけられるだけだろ?さっさと俺に売った方が楽だと思うが?」

 

 ふむ、久藤提督はかなり冷静だな。もう少し怒るなり圧をかけてくるなりすると思っていたが・・・

 

「北九州鎮守府は前任者が艦娘の売買をしていた件が表沙汰になっているのですよ?例え正規の取引で移籍させたとしても、難癖を付けられたり捜査の口実にされたりするのは目に見えています。それに艦娘達の士気にもかなりの悪影響を与えます。そんなデメリットを受け入れる理由がありません。」

 

「なるほどな。なら他の鎮守府にも絶対に売らねぇって事で良いんだな?」

 

「そうですね。他所に渡すつもりはありません。」

 

「なら良い。もし裏切って舞鶴にでも売ったら全力で潰しにかかるが、二言はねぇな?」

 

「ええ、問題無いです。」

 

「ならこの件は終わりだ。」

 

 ずいぶんあっさりと手を引くものだ・・・最初から自分がプリンツ・オイゲンを売らない事くらいは予測していたかもしれないが・・・舞鶴鎮守府が海外艦を手に入れるのを嫌がるのは当然だが、もっと強引に交渉してくるかと思っていただけに拍子抜けだ。

 

「この件はと言うと他にも何かご用件が?」

 

「ああ、会見の件だ。」

 

「会見の件ですか?私ももうそろそろ準備をしたいと考えていますので、手短にお願い出来ますか?」

 

「ああ、今回の件を見てるとどうにもきな臭くてな。当事者から少し話が聞きたいだけだ。なにか気になる話は無かったか?」

 

 きな臭いと言われてもそんなものは最初からだ。今回の敗戦の責任を自分に押し付ける為に始まった話だからな。とはいえ久藤提督にわざわざ情報を渡してやる義理も無いのだが、ここで機嫌を損ねて会見中に邪魔をされても面倒だな。

 

「そうですね・・・一番意外だったのは鶴野提督が今回の件に乗り気では無いみたいな事ですかね。」

 

「ほぅ?あのじじいが仕組んだ事じゃねぇと?」

 

「そこまでは分かりません。鶴野提督が仕組んでおきながら、想定通りに進まなかったから潰しにきた可能性もあります。ですが今回の件を潰そうとして大本営に圧力をかけたのは間違いなさそうですよ?」

 

「・・・・・・なるほどな。その情報は悪くねぇ。」

 

「そうですか。」 

 

 正直この程度の情報であれば、久藤提督ならばすぐに手に入れられそうな気がするのだが・・・

 

「だったら俺からの話はもうねぇな。まあ、会見頑張ってくれや。」

 

「分かりました。・・・憲兵の金子さん達が護衛をして下さるので、頼りにする事があるかもしれませんね。」

 

「ああ、いざとなったら頼れば良い。じゃあな。」

 

 久藤提督はそう言って通信を切った。これは金子さんが言っていた邪魔者を排除する件は、久藤提督の指示によるものだと考えても良さそうだ。後は噛み付いてくる邪魔者が誰かという事だけだな。だがそこに関してはこちらが何もしなくても、どうせ向こうから噛み付いてくるか。

 

「さて、そろそろ良い時間だ。私は会見に行ってくるから鎮守府の事は任せたぞ。緊急時にはすぐに連絡をしてくれ。」

 

「はい、お任せ下さい。ではお気を付けて。」

 

 大淀に鎮守府の事を任せて正門へと向かう。色々と考えてはいるが、上手く立ち回れれば良いのだが・・・




 ようやく次回から会見が始まる!!
 ここまで本当長かった・・・
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