疑心暗鬼提督のブラック鎮守府再建   作:ライadgj1248

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 皆さんお待ちかねの会見編です。ちょっと長くなりそうなので、前後半に分かれる予定です。もしかしたら中編とか入るかもですが・・・


162話(会見前編)

 コンコンコン

 

「葛原提督、会見の準備が整いました。」

 

「分かった。すぐに行こう。」

 

 しばらく悪雨の頭を撫でて落ち着かせていると、部屋の外から金子さんに声をかけられる。撫でるのを止めて悪雨に目線をやると、少し名残り惜しそうにしながらも素直に離れた。

 

「では行くぞ。」

 

「は、はい!!」

 

 控室を出てから金子さんの案内で第一会議室と書かれたところに連れていかれた。中からざわざわと声が聞こえるので、記者達が待っているのだろう。

 

「こちらです。」

 

「ああ。」

 

 金子さんがこちらに一声かけてから扉を開けて中に入る。その後に自分と春雨が入りさらに背後を憲兵が守っている。部屋に入った瞬間にバシャバシャバシャとカメラのシャッター音が鳴り響く。部屋の一番前に設置してある机の前まで歩いていき、一度敬礼をしてから用意された席につく。シャッター音が落ち着くまで待ちながら部屋を観察すると、最前列がカメラマンでその後ろが記者達だろう。そして後方で見ているのが見物に来た有力者のようだ。見覚えがあるのはさっき騒いでいた源さんに綾瀬さんと・・・チッ、海原弟がニコニコ笑顔で見てやがる。あいつ本当に来やがったな・・・

 

「まずは今回の深海棲艦の襲撃により犠牲となった方々へお悔やみ申し上げます。そして今回の一件でかなり混乱が生じてしまい、あらぬ噂が流れている事態を大本営側が憂慮しております。そのため今日は私が大本営の代理として、また当事者の1人として当時何が起こったかを説明する為に会見を開かせて頂きました。」

 

 一旦言葉を切ると会場がどよめく。散々大本営の奴らが自分を吊るし上げる為の謝罪会見だと吹聴していたのに、蓋を開けてみたら謝る気配が無いのだから仕方あるまい。ただ自分としては恥じるべき事は何も無いので、堂々とした雰囲気は崩さない。弱味を見せれば付け込まれるだけだ。

 

「まず事の発端は北九州鎮守府が付近の資材溜まりと呼ばれる、資材が自然と溜まる場所に巣食う深海棲艦を撃破した事です。深海棲艦撃破後に資材の回収作業を行いましたが、想定よりもかなり多い量の資材が発見されました。私はこの多過ぎる資材が、深海棲艦が侵略の為に用意した前線基地ではないかと考え、大本営と周辺の鎮守府に警告をしました。」

 

「質問宜しいでしょうか?」

 

 話を途中で遮るなと言いたいところだが・・・これくらいは仕方ないか・・・

 

「答えられる事であれば。」

 

「深海棲艦にはたいした知能は無く、本能的に襲いかかってくるものだと聞いております。前線基地を作るなどの行動をするものなのですか?」

 

「少々誤解をされているようですが、知能が低いのは下位の個体だけです。上位個体であればある程度知能が高く、配下の者に戦略的な行動をさせます。特に鬼級や姫級といった最上位の個体であれば、かなり高度な知能を持っていると考えられます。」

 

「あ、ありがとうございます。」

 

 ふむ、特に噛み付いてくる訳でもないか?まあ、このあたりは有力者なら多少は知っているくらいの知識だろう。記者の中でも驚いている者と、質問した奴の勉強不足を笑っている奴がいる。

 

「さて続きですが、翌日北九州鎮守府は周辺海域の哨戒だけ行っていましたが、長門鎮守府が威力偵察の部隊を編成し、集積地棲姫と呼ばれる個体の発見に成功しました。ですが大きな戦力差があった為に長門鎮守府の艦隊は壊滅してしまいました。」

 

 実際は偵察もせずに主力艦隊を送り込んだだけなのだが・・・この辺は大本営の意向だから、無闇に原田提督の無能さを公表出来ないんだよなぁ・・・

 

「噂では葛原提督が原田提督を陥れたという話を聞きましたが、どう弁明されるおつもりですか?」

 

 今度はまた別の記者が質問をしてきた。こいつは鶴野提督の派閥の奴か?

 

「そのような事実はありません。原田提督に渡した情報は他の鎮守府や大本営に伝えたものと同一です。これに関しては通信記録も残っていますので、大本営側からも理解を得られています。」

 

 本来なら大本営側は認めずにこちらを責めるポイントだった。しかし鶴野提督からの圧力の影響からか、こちらを責めるような内容は無くなっていた。まあ、元々あいつらが流した嘘で迷惑を被っていたのが無くなっただけなので、一切恩は感じないが・・・

 

「その後戦力の低下を危惧した長門鎮守府が各地に増援を求めましたが、我々北九州鎮守府としては集積地棲姫の発見場所から最も近い場所だった為、安易に増援を送る事は出来ませんでした。」

 

「つまり長門鎮守府を見捨てたという事ですか!?」

 

「私が第一に考えるべきは北九州の防衛です。あなたは長門の人々を守る為ならば、北九州の人々が死んでも構わないと主張されるのですか?」

 

「そ、それは・・・それは流石に暴論だ!!どちらも守れば良いだろう!!」

 

「それが出来るような相手ではありません。軍事に関しては素人が考え無しにとやかく言うのは辞めて頂けますか?」

 

「な、なんだと!?」

 

「話を続けます。その日の夜に長門鎮守府から救援要請が再度届き、大艦隊が押し寄せているとの情報が入りました。我々も増援を送ったものの深海棲艦の別働隊による妨害を受け、長門鎮守府での防衛戦には間に合いませんでした。我々が到着した時点で長門鎮守府は崩壊しており、数名の生き残った艦娘を保護する事しか出来ませんでした。深海棲艦も撤退して我々もかなり損傷を負っていましたので、益田鎮守府からの増援が到着次第、周辺海域の警戒を引き継いで北九州鎮守府へと帰還させました。これが長門鎮守府崩壊の全容です。」

 

「つまりもし葛原提督がもっと早く行動を起こしていたならば、長門鎮守府を救えたかもしれないという事ですね?」

 

 さっきからかなりしつこく絡んでくる奴だな・・・

 

「ええ、その可能性は否定しません。」

 

「だったら!!」

 

「ただそれは結果が出た後で考えた話です。そんなものは素人でも簡単に言える事です。ですが現実はそんなに甘く無い。今回は偶然標的が長門鎮守府だったというだけで、北九州鎮守府が標的になる可能性も充分にありました。それでもあなたは北九州の人間を見殺しにしてでも長門鎮守府に増援を送るべきだったと主張されるのですか?」

 

「う・・・いや・・・しかし・・・」

 

「分かって頂けたのであれば、安易な発言は控えて頂きたい。」

 

 やっと黙り込んだか・・・流石に北九州の有力者が多く集まるこの場所で、北九州を見殺しにするべきだとは言えないからな。

 

「質問宜しいですかな?」

 

 今度は別の記者か・・・

 

「どうぞ。」

 

「これはあくまでも噂ではありますが、長門鎮守府を指揮していた原田提督が敵前逃亡をしたと聞きました。これは責任ある提督がするべき行動ではありません。この事について葛原提督はどう思われますか。」

 

 ・・・・・・そこに関しては本当に自分もそう思う。そう思うのだが・・・そこに関しては隠蔽するようにと命令されているのが悔やまれる。

 

「申し訳無いですが、その件に関しては私は情報を持っていません。大本営から聞いた話では、現在原田提督の行方を捜索中ですが、鎮守府の惨状から発見は困難だと思われるとの事です。」

 

「ですが旧阿武町付近で大破した軍用車両が見つかり、中から原田提督の遺品が見つかったという話も聞いております。これでもまだ原田提督が敵前逃亡していないと言うのですか?」

 

 噂と言うかほぼ真実を教えられているな・・・

 

「・・・・・・その情報は初めて聞きましたが、私はそれが真実かを確認したわけではありません。なのでコメントは控えさせて頂きます。いずれ大本営から正式な発表があると思いますので、それまでお待ち下さい。」

 

「・・・分かりました。」

 

 質問してきた男はニヤリと笑っている。こちらの反応からこの件が真実であると読み取ったのだろうか?それとも公の場でこの話をする事が目的だったか?とりあえず前半部分はこんなところか?後は後半部分の集積地棲姫討伐と戦艦棲姫討伐の件を広めて、大本営の株を上げろだったか?まあ、前半部分よりはマシか・・・




 会見って書くの難しいですね・・・
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