疑心暗鬼提督のブラック鎮守府再建   作:ライadgj1248

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 うん、やはり会見編が前後半で収まりませんでした。なので会見編の中編スタートです。


163話(会見中編)

 原田提督の敵前逃亡問題の件で微妙な空気になっているが、構わず話を進めなくてはな。

 

「さて、それではここからは集積地棲姫と戦艦棲姫をどのように討伐したかになります。」

 

「いい加減にしろ!!」

 

 突然の怒鳴り声に会場が静まり返る。何事かと思えば後ろの方から源さんが立ち上がってズカズカと近づいて来る。いきなり派手に動いてきたな。となればこちらも源さんを陥れるつもりで動くとしよう。

 

「さっきから聞いていればなんだ貴様は!?貴様の無能さを棚に上げて言い訳ばかり!!貴様の判断ミスで長門市に大きな損害を出したと言うのに、謝罪の一つもせんのか貴様は!!」

 

「先程までの話を聞いていませんでしたか?素人の思い付きで難癖つけられても困るのですが?」

 

「黙れ!!そんな言い訳が通用するか!!我々を馬鹿にするのもたいがいにしろ!!さっきから素人は黙っていろと言っているが、貴様だって着任したてのひよっこではないか!!その貴様の能力の無さが今回の惨劇を招いたのだから、頭を地面に擦り付けて謝罪するのが当然だろうが!!」

 

 ずいぶんと好き勝手言ってくれるな。激昂している源さんはともかく、会場の雰囲気も少し変わってきた。源さんに同調して声をあげる者こそ居ないが、記者達は源さんと自分の写真を撮りながら、次に何が起こるか期待している雰囲気だ。ついでに隣で金子さんが動こうとする気配を感じたので、それとなく手で制しておく。まだ動くには早い。

 

「先程もお話しましたが、今回の一件で大本営は私に非は無いと判断しています。私個人の判断ではなく大本営の判断です。あなたの勝手な判断よりも余程信頼性があると思いますが?」

 

「貴様ぁ!!いくら積んだ!?大本営への賄賂をいくら積んだのだ!?」

 

「賄賂などいっさいしていません。勝手な妄想で騒ぎ立てるのは止めて下さい。」

 

「私の妄想だと!?貴様の悪事は既に私の耳に入っているのだ!!今更言い逃れが出来ると思うな!?」

 

 悪事ねぇ・・・どうせ鶴野提督がバラ撒いた悪評の事だろう。それをさっきまで散々潰してきたのが理解出来て無いのか?だがこいつは充分に冷静さを失っているみたいだし、そろそろ仕留めるとするか。

 

「はぁ・・・先程からずいぶんと私を敵視しているようですが、そんなに私を排除したいのですか?」

 

「当たり前だ!!貴様が私に対してした仕打ちを忘れたとは言わせんぞ!!」

 

「まさかとは思いますが・・・先日私が暗殺されかけたのもあなたの仕業ですか?」

 

 その一言に会場がざわめく。提督を暗殺なんてすれば鎮守府の機能が一時的に麻痺する。当然重罪に問われる大事件だ。

 

「は、はぁ!?な、なにを言っている!?」

 

「先日鎮守府に暗殺者が送り込まれた件、あなたが関与しているのではないかと聞いているのです。」

 

「ふざけるな!!そんなもの平川が勝手にやった事だろうが!!私は関係無い!!」

 

 ふっ、やはり知っていたか。平川元市長が市長をしていた時に源さんは副市長、つまりナンバー2の位置に居たのだ。当然この件も話くらいは知っていると予測していたが、簡単に自白してくれたな。

 

「ほう?何故たった今公表したばかりの暗殺未遂事件について、平川元市長が犯人だと知っているのですか?これはなにかしら関与していたと考えるべきですね。」

 

「は、はぁ!?何を言っている!?」

 

「そいつを捕らえろ!!」

 

 金子さんの号令で憲兵隊が数人がかりで源さんを拘束する。会場は多少混乱したものの、すぐに源さんは取り押さえられる。こんな状況でもカメラマン達はシャッターチャンスとばかりに撮影している。

 

「よし、提督の暗殺未遂事件の重要参考人として、この男を拘束する!!すぐに連れていけ!!」

 

「「「ハッ!!」」」

 

「何をする!?離せ!!何故私を捕まえる!?捕まえるのはあいつだろうが!?離せ!!」

 

 源さんはかなり暴れたがしょせんはただの一般人、数人の軍人相手にどうこう出来る訳も無く、簡単に拘束されて連行された。これで邪魔者の排除も出来たし、久藤提督からの依頼も完了という事で良いだろう。

 

「さて、邪魔が入ってしまいましたが、話の続きをするとしましょう。」

 

「待って下さい!!葛原提督が暗殺されかけたと言うのは本当ですか!?」

 

 1人の記者が叫ぶように質問してきて、他の記者達も興味津々のようだ。流石に気になるか。

 

「ええ、大本営には報告していますが、4日前の深夜に暗殺者が鎮守府へと侵入し、私が襲撃を受けました。幸い怪我は銃弾が足を掠めただけで済みましたが、実行犯は暗殺に失敗すると自害してしまい、憲兵隊の調査でも証拠が掴めずに捜査が難航していました。まさかと思ってカマをかけてみたら、どうやら大当たりだったようですね。」

 

 背後で春雨がビクッと反応している気がする。本当は春雨が私を守ろうとして犯人を殺してしまったが、大本営への報告には犯人の自殺という事にしている。ちなみに犯人の処理をしてくれた憲兵隊には、私が犯人を殺してしまったので情報操作をして欲しいと伝えてある。嘘の報告で嘘の情報を隠す事で、艦娘に意識が向かないようにしている。

 

「我々憲兵隊が事実であると保証します。事件を未然に防げず申し訳ございません。この件に関しては徹底的に調査する事をお約束します。」

 

「ええ、宜しくお願いします。今回の一件は前任者の大森提督の不審死に繋がる可能性もあります。徹底的な調査をお願いします。」

 

「ええ、お任せ下さい。」

 

 ・・・また背後で春雨がビクビクしている気配がしている。ついでだからそっちの件も源さんに冤罪を擦り付けただけなのだが・・・まあ、春雨としては気になるところか。

 

「前任者の大森提督が暗殺されたという噂は本当だったのですか!?」

 

「申し訳ございませんが、こちらについては捜査が難航していて、はっきりとしたお答えが出来ません。何者かに殺害されたのは事実ですが、犯人は人の可能性だけでなく、未知の深海棲艦の襲撃の可能性まであります。捜査に進展があれば大本営から発表があるかとは思います。」

 

 記者達はかなり興奮しているみたいだな。源さんが引き起こした騒動で期待していたところに、提督暗殺未遂事件という爆弾を投げ込まれたのだ。先程まで源さんの言動でこちらを非難する材料を探していたのに、その意識をより大きな事件で消し飛ばす事に成功したか。

 だが興奮している者が多い中で、頭の良い冷静な人間も少しは居るようだ。特に後ろで見守っている有力者の中には、会見の邪魔をした人間を大本営側が強引に排除したと受け取った者も居るだろう。実際に暗殺者を送り込んだのは平川元市長であって、源さんはそれを知っていただけの可能性が高い。つまりは冤罪を擦り付けて強引に拘束したと言っても過言では無い。そろそろ印象の回復を試みるべきだろうか?

 

「さて、話がかなり逸れてしまいましたね。ここからは集積地棲姫と戦艦棲姫の討伐の経緯についてお話しましょう。」




 これが主人公のやることかぁ!?
 はい、これが本作の主人公です。
 とりあえずこれが主人公の悪巧みの一つ目でした。
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