疑心暗鬼提督のブラック鎮守府再建   作:ライadgj1248

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 まさか艦これ本家で北九州の名を見る事になるとは思っていませんでした。歴戦の甲提督の皆様、北九州防空戦を頑張って下さい。自分は二次創作専門ですので、陰ながら応援だけしています。


164話(会見後編)

「長門鎮守府が壊滅した翌朝ですが、北九州鎮守府にも大規模な侵攻がありました。北九州市にお住まいの皆さんは避難勧告を発令したのをご存知かと思います。正直なところ我々北九州鎮守府の独力では、その侵攻を止められなかった可能性が高いです。ですが横須賀鎮守府からの増援の駆逐艦達が間に合い、無事に撃退する事に成功しております。」

 

「横須賀からの増援は駆逐艦だけだったのですか?」

 

「横須賀鎮守府から派遣された増援艦隊の先行部隊として、駆逐艦6名がその戦闘に間に合いました。もちろんその後戦艦や空母を含む主力部隊も到着してます。」

 

「先程葛原提督は北九州鎮守府の独力では侵攻を止められなかったと仰りましたが、いくらあの横須賀鎮守府の艦隊であっても、駆逐艦だけではそこまでの戦力では無いでしょう?避難勧告を発令するほどの事態では無かったのではないですか?」

 

 まさかこんな公の場で横須賀鎮守府の強さを疑うような発言をするとはな・・・自分が避難勧告を発令したのに街に一切被害がなかった件を責めたいようだが、あまり良い手とは思えないな。

 

「駆逐艦は弱いと誤解をしているみたいですね。確かに砲撃の火力は低いですし、装甲が貧弱で撃たれ弱いのは事実です。しかしその速力と敏捷性による回避力は他の艦種には無い強みですし、雷撃による一撃は戦艦の装甲相手でも大ダメージを与えます。しかも今回横須賀鎮守府が派遣した駆逐艦6名の内3名は、防空駆逐艦という対空戦に特化した駆逐艦です。彼女達が敵空母の艦載機をほとんど叩き落としたと言っても過言ではないです。もし彼女達の活躍が無ければ、艦隊に多大な被害が出ただけではなく、艦載機が北九州の街に迫っていた可能性が高いです。もちろん残りの3名の駆逐艦達も獅子奮迅の活躍を見せてくれました。」

 

「まあ、横須賀鎮守府の駆逐艦達が凄いのは分かりましたが、北九州鎮守府にも前任者の大森提督が残して下さった精強な艦隊が居るでしょう?そんな艦隊を保有しておきながら弱気な発言ばかりされると、我々としては葛原提督の提督としての能力を疑ってしまいます。」

 

「北九州鎮守府の艦隊が精強ですって?冗談ですか?なら何故4大鎮守府に名を連ねて無いのですか?実力に大きな隔たりがあるからでしょう?特に国内最強の横須賀鎮守府の艦隊と比べたら雲泥の差です。今回の迎撃戦で北九州鎮守府から30名の艦娘が出撃していますが、それでも横須賀鎮守府の駆逐艦6名の方がより貢献したと言っても過言ではありません。」

 

「い、いや、それこそ冗談でしょう?いくら横須賀の艦娘が強いからと言っても・・・」

 

「残念ですがそれが現実です。もしここまで言っても理解して貰えないのであれば・・・運が良い事にこの場には私より横須賀の事に詳しい奴がいますよ?」

 

 そう言って視線を後ろの有力者達の方に向けると、記者達も一斉に後ろを向く。視線の先に居るのは当然横須賀鎮守府の海原提督の弟である海原朔真だ。ついさっきまで爽やかな笑顔で会見を見ていたが、その笑顔が若干引き攣っている。ざまぁみろ。

 

「彼は横須賀鎮守府の海原提督の弟です。私よりも遥かに横須賀鎮守府について詳しいでしょう。この場で少し語って貰いますか?」

 

 朔真が目線でこっちを巻き込むなと主張してくるが知った事では無い。高みの見物に来たつもりならば、見物料を取り立てても文句は無いだろう。

 

「んんっ!!兄さんの事について語りたいところではありますが、会見の本題から話が逸れてしまいます。もし気になる方がいらっしゃるならば、会見が終わった後で聞きに来て下さい。ただ僕から一つだけお伝えしておきたい事は、先程葛原提督が言った内容は誇張表現ではなく事実です。横須賀鎮守府と他の鎮守府ではそれくらいの差はあります。」

 

 朔真はかなり困っていますという雰囲気を出しながらも、横須賀鎮守府の実力についてだけは断言した。会場もその言葉にどよめいている。これで横須賀の実力について難癖をつける奴はもう居ないだろう。

 

「皆さんにも横須賀鎮守府の実力が少しだけ伝わったようですね。それでは話を戻しますが、北九州鎮守府への襲撃を撃退した後、横須賀の増援艦隊の本隊が到着。少し休憩を挟んで集積地棲姫の討伐に向かい、これを見事に討伐しました。ここまでが集積地棲姫討伐までの流れとなります。」

 

 流石にこの話には疑問を持つ者は居ないな。横須賀の主力部隊が姫級の討伐に成功した事を疑う馬鹿は居ないだろう。

 

「そして戦艦棲姫ですが、こちらは集積地棲姫の討伐と同時に佐世保鎮守府が対応していました。佐世保の艦隊は戦艦棲姫をギリギリまで追い詰めましたが、あと一歩のところで逃亡を許してしまいました。そこで佐世保鎮守府は北九州鎮守府を含む周囲の鎮守府に、警告と捜索の協力を要請しました。連絡があった時に北九州鎮守府は集積地棲姫の残党狩りをしていて、追い込まれた戦艦棲姫が偶然その場に現れたので、我々が止めを刺す形になりました。」

 

「つまり北九州鎮守府が姫級の討伐を果たしたと言う事ですか!?先程は北九州鎮守府の艦娘の実力は低いと仰っていたのに!?」

 

「一応我々が止めを刺しはしましたが、我々が戦艦棲姫を発見した時には既に轟沈寸前でした。そんな状態にも関わらず我々はかなり苦戦しています。ですから戦艦棲姫を討伐した功績のほとんどは佐世保鎮守府のものと考えて下さい。」

 

「つまり佐世保鎮守府が苦労して追い詰めた相手を、北九州鎮守府が横取りした形ですか?」

 

「ええ、そうなります。ですがこれは佐世保鎮守府の熊井提督から許可を得ている事ですし、討伐後に熊井提督に報告をしましたが、この件を問題にするつもりは無いとのお言葉を頂きました。戦艦棲姫討伐後に出現したドロップ艦についても、北九州鎮守府で保護するようにと言われております。」

 

 やはり熊井提督の名前を出せば、記者達もそれ以上の追及はしてこないみたいだな。軍人気質の熊井提督が決定した事ならば、まず曲げる事は無いだろう。そこを突ついて熊井提督を怒らせるのは得策では無いというのが共通認識なのだろう。

 

「最後になりますが、戦艦棲姫討伐の時に保護したドロップ艦ですが、希少な海外艦でドイツの艦娘でした。名はプリンツ・オイゲンで重巡洋艦です。」

 

 その瞬間会場が大きなどよめきに包まれた。記者達はもちろんだが、後ろの有力者達もかなり興味を持っているようだ。

 

「海外艦ですか!?しかもロシアではなく西洋の海外艦ですか!?それは本当ですか!?」

 

「ええ、もちろんです。」

 

「西洋の海外艦なんて初めてですよ!!そのプリンツ・オイゲンさんは今どこに!?」

 

「鎮守府で待機させています。」

 

「なぜこの場に連れて来なかったのですか!?」

 

 記者達としてはビッグニュースを記事にしたいのに、写真撮影も直接取材も出来ないとなれば、当然不満を持つだろう。わざわざ応えてやる義理は無いが。

 

「現在この情報が各地の鎮守府へと伝わり、希少な海外艦を欲しがる者が大勢います。ただでさえ注目を集め過ぎているのに、こんな人の集まるところに連れて来るなんて事はしません。よからぬ事を考える人間が居ないとも限りませんし。」

 

「それは他の提督がプリンツ・オイゲンさんの強奪を企むと疑っているというおつもりですか!?」

 

「誤解を恐れずに言うならばまさにその通りです。今日だけでもかなりの数の鎮守府から連絡がありました。売って欲しいやら貴様には相応しくないから寄越せやら、無礼の詫びとして献上しろなんて話もありましたね。」

 

 ここに来ている記者達でもその様子が簡単に思い浮かぶだろう。

 

「失礼ですが葛原提督はどこかの鎮守府にプリンツ・オイゲンさんを譲渡する気は無いのですか?海外艦と言えば希少な存在で、現状では横須賀と佐世保しか保有していないと聞きます。言い換えれば強さの象徴とも言える存在です。4大鎮守府の提督こそ所有すべきで、一提督が所有すべきでは無いとの考えもありますが?」

 

 本当に失礼だな。大勢の前で面と向かってお前には資格が無いと言うか。まあ、散々言われた事だから今更どうとも思わないが。

 

「ありません。戦艦棲姫討伐の一番の功労者である佐世保鎮守府ならば、プリンツ・オイゲンを譲渡するべきだと考えていましたが、熊井提督には断られました。なので他の鎮守府に譲渡するつもりはありません。」

 

「ですが鎮守府の格に似合わない事をすれば、後々大きな問題になりかねないと思いますが?」

 

「それこそ譲渡しても問題になります。先程海外艦は強さの象徴だと言ってましたが、そんな大事なものを他所の鎮守府から譲り受ける方が恥でしょう。自分の力で勝ち取ってこそ価値があるものでは?実際に熊井提督からは他者の功績を奪うような卑劣な真似はしないと言われました。まさかとは思いますが、4大鎮守府の長ともあろう方が、卑劣な手段で他人の功績を奪いたいと考えているとでも言うおつもりですか?」

 

「い、いえ・・・そんな事は・・・」

 

 鶴野提督ならばそんな戯言は良いからとっとと寄越せと言いそうだがな。公の場で一人の記者がそんな事を言えるはずも無い。

 

「では私からの説明は以上となりますので、会見はここまでとさせて頂きます。引き続き別の会場にて大森前提督の遺品を販売するオークションを開催します。お時間のある方は是非ご参加下さい。それでは失礼します。」

 

 記者達が黙った隙を見て一気に話を終わらせて、すぐに会場から立ち去った。本当ならば記者達ももっと質問したかっただろうが、わざわざ付き合う義理はない。

 これで後はオークションだけだな。




 冬月ちゃんは若松港に埋設されていたのか・・・地元なのに全然知らなかった・・・
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