疑心暗鬼提督のブラック鎮守府再建   作:ライadgj1248

173 / 240
 今回は久し振りのゆっくりした食事回。安心安全のほのぼの設計です。


171話(ドロップ組と食事)

 大淀経由で夜間哨戒の話は伝わったので、そろそろ自分も食事をしようと食堂に向かう。先程横須賀の艦隊も帰還したとの報告があったが、まだ横須賀の艦娘達は食堂に来ていないな。おそらく入渠等を済ませてから食事にするつもりだろう。

 

「提督さん、お疲れ様です。少し宜しいでしょうか?」

 

「ん?鹿島か。どうした?」

 

「本日の夕食ですが、もし宜しければ私達とご一緒して頂けないでしょうか?新たに着任した娘達で集まっていまして、提督さんがどのような方なのか知る為に交流の場を設けて頂ければと思いまして。」

 

 そう言われれば色々と立て込んでいたので、直接話をする機会がなかったな。

 

「分かった。案内してくれ。」

 

「ありがとうございます♪ではこちらに。」

 

 鹿島に案内されたテーブルにはプリンツ・オイゲン、秋月、山風、村雨が居た。村雨とは一度話をしているのだが、先日ドロップ艦として着任したばかりだから来たのだろう。なにはともあれ手早く食事の準備を整えたのだが・・・

 

「・・・ちょっと待て。」

 

「なんでしょう?」

 

「なぜ秋月の食事だけ質素なんだ?」

 

 今日の夕食は鶏の唐揚げにサラダと味噌汁なのだが、秋月の食事は白ごはんと味噌汁と漬物になっている。どうして着任したばかりの秋月が冷遇されなければならないのだろうか?なにかの罰だとしても自分になんの話も無いのは問題だ。

 

「す、すみません・・・その・・・豪勢な食事に慣れていないものでして・・・」

 

 ん?豪勢な食事に慣れていない?どういう事だ?

 

「ん?唐揚げくらいなら一般的な料理だと思うが?」

 

「と、と、とんでもないです!!あまりの豪華さに少しクラクラしてしまうくらいです!!」

 

「提督さん、秋月さんなんですけど、今朝の食事の時に昨晩の残り物を見て卒倒してしまいまして・・・」

 

 鹿島がフォローに入って来たのだが、食事を見て卒倒するとはにわかには信じ難い。

 

「まあ、確かに昨晩の食事は北条が高級な食材を持ち込んでいたから、物凄く豪勢なものだったが・・・卒倒する程のものなのか?」

 

「えっとですね・・・秋月さんは軍艦時代の記憶の影響もありまして、かなり倹約家なんですよ。」

 

「はい、ただでさえ銀シャリを頂ける贅沢をしているというのに、その上豪華なおかずまで頂けるとなると落ち着かなくてですね・・・間宮さんにお願いしてこの食事にして頂きました。」

 

「そうだったのか・・・」

 

 そう言われれば昨晩の祝勝会では、横須賀の秋月型姉妹が急に倒れて運ばれた事件があったな。叢雲からはこっちで対処するから気にしなくて良いと言われて、何が原因で倒れたのか分からなかったが、もしかして横須賀の秋月型姉妹も食事の豪華さに驚いていたのか?

 

「はい。本当は毎食銀シャリとお漬物だけで充分満足ですと言ったのですが、間宮さんから『せっかく艦娘として現代の食事を食べる事が出来るのですよ?うちは提督の方針で食事はきちんと食べる事になっています。ですからおかずを少しずつでも食べて慣れて下さい。』と言われてしまいまして・・・ですから今日はお味噌汁を頂いております。」

 

 これはかなり重症だな・・・まさか希少な秋月型姉妹にこんな欠点があったとは・・・一人だけ食事の質を落とすというのは、公平性の観点からあまり褒められた事では無いと思うのだが、命令で無理矢理食事をさせるのもまた違う気がする。横須賀の秋月型姉妹の事を考えてみても、これは秋月型の個性として受け入れるべきか?

 

「そういう事情があるならば仕方ない。ただこれでは私が秋月を冷遇しているように見えてしまうから、出来れば少しずつ改善して貰いたいところだな。」

 

「りょ、了解しました。」

 

「では皆も待たせたな。食事にしよう。」

 

「Hurra マーミヤのお料理楽しみです!!」

 

「それはなによりだ。プリンツ・オイゲンは海外の出身だから、食事が合うかどうかは少し気になっていた。」

 

「DankeDanke!」

 

 プリンツ・オイゲンはさっそく日本に馴染んで来ているようだな。食事前に全員で手を合わせていただきますと挨拶すると、見様見真似でいただきますと言う。

 

「Aha アツアツのカラーゲ!!これもとっても美味しいです!!」

 

「やはり唐揚げは揚げたてが美味いな。」

 

「流石はニッポンのキューリョー艦だね♪うんうん、お金の管理だけじゃなくて料理も出来るなんて、マーミヤは凄い人だよ!!」

 

「・・・ん?お金の管理?食材の仕入れに関しては間宮も関わっているが、基本的にお金の管理は秘書艦の大淀の仕事だと思うが?」

 

「Achso!?皆のお給料を出すからキューリョー艦じゃないんですか!?」

 

「給糧の給は供給するの給、糧は食料という意味だ。つまりは食料を供給する艦という事だ。だからここでは食事の管理を任せている。」

 

「Hm...日本語は難しいですね。Danke Admiral.」

 

 とは言いつつもプリンツ・オイゲンはかなり日本語が喋れている。ところどころドイツ語らしき言葉が出るものの、意思疎通にはあまり支障が出ない。おそらくダンケがありがとうで、アドミラールは提督という意味だと思われる。

 

「これから日本で過ごせば自然と覚えていくだろう。分からない事はまわりの艦娘達に聞けば良い。ちょうど同期に鹿島も居る。鹿島は練習巡洋艦という艦種で、ものを教えるのが上手だから頼ると良い。」

 

「はい♪鹿島で良ければ是非頼って下さい♪」

 

「DankeDanke!私ニッポンの事をもっともっと知りたいです!!」

 

 ふむ、これだけ熱心ならすぐに日本での暮らしに馴染めそうだな。

 

「はいは〜い!!村雨はもっともっと提督の事が知りたいで〜す♪」

 

「ふむ、確かにそれが今回の趣旨だな。何か質問があるのか?」

 

「じゃあ、提督のお気に入りの艦娘を教えて?」

 

「お気に入りか・・・あまり考えた事は無かったが、やはり大淀だろうか?」

 

 そう呟くとどこかでガタガタと音が聞こえた。誰か転んだか?

 

「大淀さんか〜どんなとこが良かったの?」

 

「仕事に対して凄く真面目で責任感が強いところだな。秘書艦として様々な業務を遂行してくれるおかげで、私もかなり仕事がしやすい。」

 

「あ、やっぱり仕事の話なんだ・・・」

 

「ん?他に何がある?」

 

「なんでもないで〜す。じゃあ他には誰か居る?」

 

「他か?間宮も安心して仕事を任せられるな。私は食堂の運営に関しては素人だ。だからその道のプロである間宮が居てくれて本当に助かった。それと明石も夕張と共に上手くやってくれている。あとは前にも話したと思うが、赤城や加賀などは現場で冷静な判断をしてくれるので評価が高いな。」

 

「うん、やっぱりこうなったかぁ・・・」

 

 ん?村雨の質問にきちんと答えたつもりだったが、あまり期待していた答えではなかったか?

 

「違うのね!!もっと提督は女の子に興味を持つべきなのね!!仕事にしか興味が無い男じゃダメなのね!!」

 

「イク!!邪魔しないの!!し、失礼しました!!」

 

「ああ!?イクはまだ言いたい事があるのねぇぇ!!」

 

 突然イクが会話に割り込んできたと思ったら、イムヤに引きずられて去っていく。あれはいったいなんだったのだろう?

 

「んんっ!!他に質問はあるか?」

 

「今のは無視するんだ・・・じゃあ春雨の事はどう思ってるの?」

 

 また遠くのテーブルでガタガタと音がした。食事中にも関わらず誰かが暴れているのか?それにしても春雨についてか・・・まさか悪雨の件に触れるわけにもいかないが、なにも無いでは外出先に連れている件で余計に怪しまれてしまうか・・・

 

「そうだな・・・戦闘面では白露型姉妹の一員として頑張ってくれている。真面目でおとなしい性格だから、外出先の連絡要員として重宝している。明るく社交的な艦娘を連れて行くと、他の人間達から情報を引き出されてしまう危険性があるからな。黙って後ろからついて来てくれるのは助かる。」

 

「あぁ・・・そういう理由で春雨を連れていたのね。なんかしっくりきたわ。でも今回は陸奥さんも一緒だったよね?陸奥さんは大人っぽいけど寡黙な人じゃないと思うんだけど?」

 

「陸奥にはオークション関連で業者の人間と関わって貰う必要があったからな。ある程度柔軟な対応が出来て人当たりが良く、さらに情報漏えいのリスクまで考えられる人材となると、陸奥が最適だと考えた。もちろん充分に警戒するように伝えていた。」

 

「提督って警戒心強いよねぇ・・・うちの山風とどっちが警戒心強いかな?」

 

「村雨姉・・・巻き込まないで・・・」

 

 山風にジト目で抗議された村雨だったが、大して気にしていないようにやれやれと首を振る。

 

「まったくこの娘は・・・そんなんじゃ皆とも提督とも仲良くなれないわよ?」

 

「・・・・・・別にいい。放っておいて。」

 

「はぁ・・・じゃあお姉ちゃんから一つだけ忠告しておくけど、そんな態度だと本当に構って貰えなくなるからね?この提督に心の機微を察して欲しいとか絶対に無理だからね?」

 

「・・・・・・そう。」

 

 山風は少し拗ねたようにそっぽを向く。なかなか気難しい性格なのだろうな。それよりも・・・

 

「おい、本人を目の前にしてそんな事言うのか?」

 

「じゃあ提督に乙女心が分かるの?」

 

「・・・・・・無理だな。」

 

「うん、知ってた。」

 

 生憎そんな事を考えられらような余裕のある人生を送っていないのでな・・・ただでさえ性別が違うのに、そんな曖昧なものが理解出来るわけが無い。損得や明確な悪意であればずいぶんとわかり易いのだがな・・・




 やはり艦娘達はどの娘も個性的ですね。この中で目立つとなると、やはり川内やイクみたいな強烈な個性が必要かも?
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。