小森の扱いに少しだけ考えていると、大淀が突然立ち上がった。
「ッ!?提督!!鳳翔さんから通信です!!鳳翔さんの艦隊が敵艦載機に捕捉されてしまいました!!」
「代わろう・・・鳳翔、状況は?」
「現在3つ目の目的地に到着する少し手前です。私も哨戒機を飛ばしていたのですが、敵哨戒機から先に捕捉されてしまいました・・・申し訳ございません・・・現在敵哨戒機が撤退して行くのを、私の哨戒機が追いかけているところです。」
「なるほど・・・まだ敵戦力は不明か・・・」
敵艦隊には確実に空母がいるが、空母に対する備えならば鳳翔と摩耶が居る。普通の空母ヲ級一隻くらいなら航空戦で対抗する事が出来るはずだ。だがヲ級が居るような艦隊だと随伴艦もそれなりに整っているはずだ。こちらは遠征部隊も居るので数だけ見れば二艦隊だが、駆逐艦達にはドラム缶を装備させているので、戦闘能力はかなり落ちている。そんな相手に挑みたくは無い。相手がヌ級程度であれば問題無いのだが・・・敵の戦力が分からない以上、安全策を取って一度引くか・・・鳳翔の艦載機が情報を得られたら、再度対応しょう・・・
「全艦反転し、輪形陣にて敵の攻撃に備えよ。哨戒部隊は遠征部隊を護るように。鳳翔は敵艦隊を発見したらすぐに知らせろ。」
「承知しました。」
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こちらを警戒しつつフラフラと逃げる敵艦載機が憎たらしい!!自分達が哨戒任務に就いていたのに、先に捕捉されるなどなんという失態だ!!あいつらのせいで面目丸潰れだ!!
『クソ!!まだ敵艦隊が見えないのか!!』
『このままだと鳳翔さんに合わせる顔がないぞ!!』
『落ち着けお前ら、それでも鳳翔隊の一員か?久し振りの実戦で浮き足立ってるのか?』
『クッ・・・わかってる・・・わかってるさ!!』
『だが久し振りの実戦なんだぞ!!』
前の前の提督の時は空母の一人として前線で戦っていた鳳翔さんだが、前の提督の時には軽空母は空母ではないとふざけた理由で冷遇されていたのだ・・・当然我々鳳翔隊にもお呼びがかかる事もなく、戦果を上げる後輩達を尻目に使われる事のない艦載機を磨くだけの日々だった・・・それが今の提督になってやっと巡って来たチャンスなんだ!!なんとしても物にしなくては!!
『ッ!?見ろ!!敵艦載機が上がって来たぞ!!』
『なら敵艦隊は近いぞ!!各員散開!!敵艦載機を回避して敵艦隊へと近付くんだ!!意地でも鳳翔さんに情報を届けるぞ!!』
敵艦載機の多くは我々を無視して鳳翔さん達の方に向かったが、直掩部隊が迎撃に向かってくる。バラバラに散りながら強行突破を狙う自分達を執拗に狙ってきやがるが、多少の被弾は覚悟しつつ押し通る!!
『見えたぞ!!ヌ級1リ級1ホ級1イ級3だ!!鳳翔さんに電文を送れ!!各自戦線を離脱して帰還せよ!!』
『りょうか・・・おい!?北東方向にいるのは敵艦隊じゃないか!?』
『なんだあれ!?別働隊か!?』
『別働隊だと!?クッ・・・』
強行突破したせいでこちらの部隊の大半は被弾していて、深海棲艦の迎撃で撃墜された奴もいる・・・ここで偵察を諦めて帰還すれば生きて帰れる可能性はまだ充分にある・・・・・・だが別動隊の情報がなければ、鳳翔さんが率いる艦隊が危機に陥るかもしれない・・・
『ふぅ・・・・・・お前ら、鳳翔さんは好きか?』
『はぁ!?こんな時にいきなりなんだよ!?』
『雑談してる暇なんかねぇぞ!!』
『こんな時だからだ!!』
『ッ!?当たり前だ!!鳳翔さんはすごく優しい人なのは知ってるだろ!?』
『あの人は俺達鳳翔隊の誇りだ!!』
ふっ・・・愚問だったな・・・
『じゃあ悪いがお前らの命をくれ。我々は偵察任務を続行する!!目標は敵別働隊!!命がけで鳳翔さんに情報を届けるぞ!!』
『おぅ!!』
『へっ、任せろ!!』
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「・・・・・・提督、敵艦隊の構成が判明しました。ヌ級1リ級1ホ級1イ級3。そして別働隊にホ級2ワ級4です。別働隊は戦場から離脱しようとしています。ッ!?敵艦載機を視認しました!!迎撃します!!」
「ああ、分かった。敵艦載機を迎撃後反撃しろ。」
・・・・・・あの子達がくれた情報・・・無駄にするわけにはいきません!!
「全艦載機発艦、九六式艦戦隊は敵艦載機の迎撃を開始して下さい。九九式艦爆隊は敵艦隊に向かって下さい。」
「鳳翔さんはあたしの後ろに隠れてな!!ここはあたしが通さねぇぜ!!」
九六式艦戦隊と摩耶さんのおかげで、こちらには大した被害はなく反撃に移れますね。
「提督、敵艦載機の迎撃完了しました。損害軽微です。」
「よし、ならば鳳翔達は敵艦隊の迎撃に出ろ。龍田達はドラム缶を放棄、撤退中の敵輸送艦隊を強襲せよ。」
遠征部隊の龍田さんの艦隊も戦闘に加わりますか。ドラム缶を放棄すれば速力は問題無いですが、戦闘を想定した装備では無いので火力は控えめなはず・・・ですが輸送艦隊相手に損害は与えられるでしょう。そうなると横槍を入れられないように、私達がしっかりと敵艦隊を抑え込む必要がありますね。
「皆さん、前に出ますよ。私達で敵艦隊を抑えます。」
「おっしゃあ!!摩耶様の力を見せ付けてやるぜ!!」
「衣笠さんにお任せってね♪」
「今度こそ私がいっちばんなんだから!!」
「夕立が活躍してまた甘いもの貰うっぽい!!」
「ふふっ、これは僕も頑張らないとね。」
艦隊の士気は充分、これなら充分やれます。
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敵艦隊に向けて急行している九九艦爆隊は、遠くに見える敵艦隊を見据えて静かに闘志を燃やしていた。
『おい、提督は敵艦隊を確実に沈めるつもりらしい。逃げてる輸送艦隊も遠征部隊がドラム缶を放棄してまで追撃するそうだ。』
『そうか・・・あいつらの無茶を無駄にせずに済む。ありがたい事だ。』
『ああ、ここまでは深海棲艦の奴らに良いようにされちまったんだ・・・派手に行くぞ!!』
『おう!!』
幸い敵からの抵抗は少ない。敵の直掩部隊をこちらの偵察部隊が敵輸送艦隊まで引っ張っていった事も影響しているはずだ。あいつらが作ってくれたこのチャンスを逃すわけには行かない!!
『突撃!!突撃!!一気に突っ込め!!』
『九九艦爆なめんなよ!!』
敵の抵抗を無視して九九艦爆で距離を詰める。敵艦隊の真上から一気に急降下して狙いを定める。九九艦爆から放たれた爆撃が敵艦隊を襲う!!
『よし!!離脱するぞ!!成果はどうだ!?』
『ヌ級中破、イ級小破。敵空母を使い物にならなくしてやったぜ!!』
『上出来だ!!胸を張って帰還するぞ!!』
鳳翔さん達、あとは任せました。
あれ?うちの妖精さん達の性格が男っぽい?妖精さんの見た目はだいたい女の子だったはず・・・うん、軍隊だから仕方ないよね・・・