益田鎮守府の執務室で周辺海域の地図をずっと睨んでいるが、状況はあまりよくない・・・わたしが出した哨戒部隊からの情報と北九州鎮守府からの情報で、それなりの規模の艦隊が存在する可能性が高い事は分かった。そしておおよその位置は判明している。しかし敵主力艦隊の姿はまだ見えない・・・存在するはずの敵が見えないというのは恐ろしいものだ・・・
「ぐ・・・・・・まだ敵艦隊は見つからないのか?」
「はい・・・申し訳ございません・・・隼鷹さん達も飛鷹さん達も頑張っているのですが・・・」
「頑張っているかどうかは関係ない!!もうすぐ日が暮れてしまうのだぞ!!敵主力艦隊を発見出来なければ、葛原提督からの援軍が望めないのだぞ!?偵察は我々がするから討伐に協力してくれと頼んだのだ!!だからこのままでは・・・」
「申し訳ございません・・・」
ぐ・・・秘書艦の扶桑にあたってもどうにもならないのはわかっているのだが・・・隼鷹の部隊はいったいなにをやっているのだ!?あの部隊は鳥海以外は性格に難がある奴らを集めて入れている。だから大損害を受けても情報さえ得られれば良かったのだが・・・なかなか上手くいかないものだな・・・
「提督、北九州鎮守府の葛原提督から通信です。」
「ぐ・・・もう時間切れだと言うのか・・・・・・」
「・・・どうされますか?」
どうされるもなにも、葛原提督を説得するしかないだろう・・・そうしなければこの話は明日に持ち越しになってしまう。そして今日の夜に敵艦隊が益田鎮守府に攻め入らないとは限らない。今までの経験上深海棲艦達に手を出した鎮守府は狙われ易い。だから今までは長門鎮守府や出雲鎮守府に敵意が向けられていて、益田鎮守府はあまり狙われなかったのだと思う。だが今日はわたしの艦隊も深海棲艦の撃退に協力している。だから狙われる可能性は充分にある。だからこそ北九州鎮守府の戦力で敵主力艦隊を撃退して貰う必要がある。撃退出来なかったとしても、せめて敵意を北九州鎮守府に向けて貰わなければ困るのだ。
「代われ・・・・・・益田鎮守府の狐塚だ。」
「北九州鎮守府の葛原です。」
「も、もう少しだ!!もう少し待ってくれ!!日没までまだ少しある!!ギリギリまで待ってくれないか!?」
「は、はぁ?なんのお話ですか?」
「なんの話だと!?私が偵察をするから敵主力艦隊の討伐に協力してくれる話だっただろう!?もう少し!!もう少しで見つけられるはずなんだ!!」
「はぁ・・・少し落ち着いて下さい。敵主力艦隊の位置はかなり絞れたでしょう?私は夜戦を仕掛ける為に戦力を送るつもりですよ?」
「ほ、本当か!?」
「ええ、ですから狐塚提督にもご協力頂ければと思いまして通信をしたのですが?」
そ、そうだったのか・・・私も少々焦り過ぎていたようだが、そういう事なら話は早い。北九州鎮守府の艦隊を主力として、益田鎮守府の艦隊はあくまでも支援に徹する。そうすれば敵主力艦隊の敵意は北九州鎮守府の方に向けられるだろう。理想としては北九州鎮守府の艦隊が敵主力を撃破してしまう事だが、ある程度損害を与える程度でも問題無い。だが北九州鎮守府が敗北する可能性も視野に入れなければならない。最悪のパターンは北九州鎮守府が早々に撤退して、わたしが派遣した艦隊を深海棲艦が殲滅し、そのまま益田鎮守府へと流れ込んでくる事だ。
「な、なるほど・・・それで勝算の方は?」
「戦争ですから勝利を確約は出来ませんが、今回の戦闘で敵艦隊を殲滅もしくは大打撃を与えるつもりで戦力を送りますよ。具体的には主力となる水雷戦隊と高速戦艦四人による打撃部隊、そしてその護衛艦隊ですね。」
「ほほう?かなりの戦力を投入されるのだな。益田鎮守府は小さな鎮守府だから、それだけの戦力を投入出来るのは羨ましい限りだな。であれば北九州鎮守府が主攻を担って貰えると解釈しても良いだろうか?」
「ええ、そのつもりです。それで益田鎮守府からはどれだけ戦力を出して頂けますか?」
「こちらとしては主力の水雷戦隊を一艦隊。うちから出せるのはそれが限度だ。鎮守府の運営状況を考えれば出来るだけ損害も抑えたい。」
「・・・・・・なるほど。」
葛原提督が黙ってしまった・・・これは流石に消極的過ぎただろうか?ここで葛原提督に手をひかれてしまうのは避けたいところだが、出来る限りこちらに負担にならないように交渉したいところだ。
「悪いがこちらも資源に余裕が無いのだ。偵察部隊としてニ艦隊出したのでもなかなかキツイ状況なのだ。それでなんとかならないか?」
「仕方ないですね・・・そうなると我々が戦闘を始めた後に、横から攻撃を仕掛けるくらいですかね?それならば敵の位置も判明していますし、リスクも比較的少ないでしょう。」
「ありがたい。葛原提督には負担をかけてしまうな。」
「その代わり作戦中はこちらの指示に従って頂きます。我々は連携して動けるほどお互いの事を知らないので、あまり近くで動くとお互いを邪魔してしまうでしょう。ですから攻撃を仕掛けるタイミングと場所はこちらからの指示に従って貰いますが構いませんか?」
ぐ・・・・・・指揮の委任か・・・言ってる事は至極まともだが、葛原提督はわたしの艦隊を使い潰そうという腹積もりか?流石に使い潰されるのは避けたいところだ。
「攻撃のタイミングと場所はそちらに任せよう。だが私は私の艦隊に責任を持つ立場だ。指揮権の委任は承諾出来ない。」
「ええ、構いません。それとドロップ艦があった時は北九州鎮守府が貰いますが問題ありませんね?」
「ああ、主攻を担って貰うのだから当然だ。」
「ありがとうございます。ではこれで決まりですね。艦隊を編成したらまた連絡しますので、そちらも宜しくお願いします。情報共有は密にお願いしますね。」
「ああ、もちろんだ。宜しく頼む。」
ふう・・・これでなんとか北九州鎮守府に負担を押し付ける事が出来そうだ。原田や猿田みたいなバカ相手も疲れるが、葛原のように頭の回る奴の相手も疲れるものだな・・・
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「ふぅ・・・」
狐塚提督との通信を終えてため息を吐く。
「提督、益田鎮守府との共闘はどうなりましたか?」
「微妙なところだな・・・どうにも狐塚提督は今回の戦いに消極的なようだ。益田鎮守府の艦隊にはあまり期待は出来そうにない。」
「そうですか・・・」
「だが最低限こちらが動き易い条件は整った。少なくとも邪魔にはならないだろうな。」
「そうなると北九州鎮守府の艦隊だけで戦うつもりでいたほうが良さそうですね。」
「ああ、こちらも無理しない程度に戦おう。」
あとは実際に川内を派遣してから考えよう。川内の感覚頼りで行き当たりばったりな作戦だが、川内の索敵能力を考慮するとこれが一番効率が良い。むしろ昼よりも夜戦の方が安心感があるなどどう考えてもおかしいのだがなぁ・・・
「そうですね。」
「さて、そろそろ夕食を食べておこう。今夜は忙しいから余裕がある時に休んでおこう。」
「はい、お供します。」
かなり最近になってスマホで艦これが出来る事に気が付きました。現在大湊警備府に着任して地道に頑張ってるとこです。