疑心暗鬼提督のブラック鎮守府再建   作:ライadgj1248

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 作者はたまにふと思うのですが、どうして主人公を始めとして人間側はなにかしら性格に問題があるのだろうかと・・・
 やはり作者の性格が歪んでるからか?


205話(コーヒーとプリンツオイゲン)

 狐塚提督との通話も終わり一息ついたタイミングで執務室のドアがノックされる。

 

「提督、コーヒーとお菓子をお持ちしました。」

 

「入れ。」

 

「失礼します。」

 

「しつれーしまーす。」

 

 間宮がお菓子を持って執務室に入って・・・間宮の後ろからプリンツオイゲンが入ってきただと!?なぜよりにもよって鹿児島鎮守府側が探りたがっている奴がコーヒー持ってくるのだ!?素早く陸奥に視線を向けるが、陸奥自身も驚いているようだ・・・これは陸奥にとっても想定外の話なのだろうか?

 

「Guten Abend Admiral 美味しいコーヒーを淹れてきましたよ♪」

 

「あ、ああ。」

 

 プリンツオイゲンはニコニコ笑顔で執務室へと入ってきたが、執務室内は混沌とした状況だ。自分は動揺しているし、大淀は指示を求めるようにこちらに視線を向けてくるし、陸奥は間宮に問うような視線を向けて、間宮は申し訳なさそうにしている。古鷹はそんなこちらの状況を察したのか、どこか気まずそうな顔をしている。

 

「Oh?皆さんどうかしましたか?」

 

「・・・・・・いや、なんでもない。大丈夫だ。それより何故プリンツオイゲンがコーヒーを持って来てくれたんだ?」

 

「Oh?Admiralはご存知無いのですか?ドイツと言えばビールとソーセージが有名だけど、ドイツはコーヒー大国なんですよ♪だからAdmiralにも本場ドイツの本格的なコーヒーを飲んで貰おうと思って、間宮さんにコーヒーを淹れる役目を代わって貰いました♪」

 

「そ、そうか・・・それは楽しみだな。」

 

 察するに陸奥は間宮にコーヒーとお菓子の依頼を出したが、それを聞きつけたプリンツオイゲンがコーヒーを淹れる役目を是非と言って、間宮が押し切られたのだろう。

 

「はい♪是非味わって下さいね♪陸奥さんと古鷹さんもどうぞ♪」

 

「え、ええ、頂くわ。ありがと。」

 

「あ、はい。頂きます。」

 

 ひとまずは気持ちを落ち着ける為に渡されたコーヒーに口をつける。

 

「・・・・・・美味いな。」

 

「あら?本当にとっても美味しいわ!!」

 

「はい、すごく美味しいですね!!」

 

「Hurra♪気に入って貰えて嬉しいです♪このコーヒーはドイツの伝統的なドリップ方法のペーパードリップ式で淹れたんです。ニッポンでもよく知られたドリップ方法だと思いますが、なんとこの方式を生み出したのはドイツ人なんですよ!!」

 

 プリンツオイゲンが嬉しそうにコーヒーの知識を披露し始めたところで、ようやく自分も落ち着いてくる。しかも陸奥がこちらにウィンクをすると、プリンツオイゲンにコーヒーについての質問を始める。どうやら私が今後の対応を考える為の時間稼ぎをしてくれているのだろう。

 ・・・・・・というか落ち着いて考えたらプリンツオイゲンの事を探られても問題ないのではないか?鹿児島鎮守府側としてはプリンツオイゲンがドロップした理由をなんとしても探りたいのだろうが、こちらとしては理由がさっぱり分からない上にやましい事は何もない。むしろ古鷹の目線をプリンツオイゲンに向けさせておく事で、隠しておきたい他の事から古鷹の目を逸らす事が出来る。

 

「古鷹さん。」

 

「は、はい!?なんでしょうか?」

 

「プリンツオイゲンは希少な海外艦ですし、なかなか話をする機会は無いでしょう。せっかくの機会ですしお話されたり質問してみてはいがかですか?」

 

「え!?良いんですか!?」

 

「ええ、もちろん構いませんよ。ああ、プリンツオイゲンが嫌がらなければですが。」

 

「Hurra♪もちろん良いですよ♪いっぱいお喋りしましょう♪」

 

 それに自分自身もプリンツオイゲンについてはほとんど知らないのだ。この機会にどんな艦だったのか聞いておきたいところだ。

 

―――――――――――――――――――――

 

 それからしばらくはプリンツオイゲンの名前の由来や戦歴等を語って貰った。自分は日本の軍艦については勉強していたのだが、海外艦についてはほとんど知らなかったので目新しい話ばかりだ。

 

「ライン演習作戦でイギリス海軍を破り、ツェルベルス作戦で白昼堂々とドーバー海峡を突破か・・・それに艦砲射撃で対地攻撃を行い、ソ連軍の戦車を蹴散らしたとはな・・・物凄い武勲艦だな。」

 

「それにハンニバル作戦で味方の救出に成功したお話も感動的でした。」

 

「・・・・・・私としては長門と一緒に原爆の実験に使われてしまった事が悲しいわ・・・それでも2発の原爆に耐えて生き残った強い娘なのね。」

 

「DankeDanke!!今日は私の事をたくさん知って貰えて嬉しいです♪」

 

「ドイツ海軍でもずば抜けた武勲を持つ艦であれば、艦娘としてもきっと活躍出来るだろう。今後の活躍に期待している。」

 

「そ、そんな!?私よりもビスマルク姉様の方が強くてカッコイイですから!?」

 

「ビスマルクというと・・・ライン演習作戦の時に出て来た戦艦だったか?」

 

「はい!!ビスマルク姉様イギリスの強い戦艦を相手に物凄い活躍を見せてくれたんですよ!!私も僚艦として一緒に戦えて光栄でした!!」

 

「なるほどな。だがここに居るのはビスマルクではなくてプリンツオイゲンだ。だから私はプリンツオイゲンの活躍に期待するぞ。」

 

「Hurra♪ありがとうございます♪期待に応えられるように頑張っちゃいますよぉ!!」

 

 しかしまあ、プリンツオイゲンについて探るという古鷹が島津提督からの受けているだろう任務を遂行させる為に話をさせてみたが、ついつい自分も聞き入ってしまったな。だが古鷹も満足そうだしひとまずは良しとするか。

 

「提督、川内さんから通信です。益田鎮守府の艦隊と合流したとの事です。」

 

「ああ、分かった。代わろう。・・・・・・葛原だ。」

 

「あっ、提督?益田鎮守府の艦隊と合流したよ。」

 

「ああ、とりあえず益田鎮守府の艦隊には予定通り後方で待機して貰う。それで敵はどんな感じだ?」

 

「う〜ん?けっこう多そうだけどやれない事はないと思うよ。でも敵もけっこう警戒してる感じがするし、上手くやらないと苦戦するかも?」

 

 ふむ・・・集積地棲姫も討伐され、長門鎮守府方面と益田鎮守府方面へ出した偵察部隊も壊滅しているのだ。当然警戒しているか。

 

「そうなると大型艦は奥に引っ込んでいて、水雷戦隊や潜水艦が周囲を警戒していると考えて良いな。」

 

「うん。それが基本だよね。」

 

「ならば狙うべきは大型艦ではなくて周囲の小型艦を狙うべきだな。深入りはせずに川内の艦隊と五十鈴の艦隊で的の小型艦を削ろう。」

 

「それは良いけど金剛達は?」

 

「最初は戦闘に参加させずに後方待機だ。敵にこちらの戦力を誤認させておきたい。こちらの攻撃に反応して敵小型艦が集まってくるなら一旦引いて、それでも追ってくるなら金剛と合流して返り討ちだ。」

 

「大型艦も一緒に来たら?」

 

「その時は思いっきり引いて仕切り直しだな。それでもしつこく追って来るようならば、益田鎮守府の方に引き付けろ。無理矢理益田鎮守府から戦力を出させて戦わせる。」

 

「うわぁ・・・益田鎮守府を強引に巻き込むとか提督容赦ないねぇ・・・」

 

「ん?益田鎮守府に容赦する必要があるか?」

 

 少なくとも自分としては、北九州鎮守府の戦力が削られるくらいなら、益田鎮守府との関係悪化を選ぶ。だがまあこれは最後の手段だ。北九州鎮守府だけでやれるならそれに越したことはない。

 

「んー?無いかもだけど、そんな事しなくて良いように頑張るよ。なんて言ったって夜戦だからね♪私に任せてよ♪」

 

「ああ、期待している。速やかに作戦の準備を整えろ。そして攻撃準備が整うか何か異変があればすぐに連絡しろ。」

 

「うん任せて♪さぁ夜戦だぁ!!夜戦だぁああ!!」

 

 上機嫌な川内との通信を終えてふと回りを見渡すと、艦娘達の顔が引き攣っていた。例外として大淀だけはすまし顔で作戦指揮の用意をしてくれている。

 

「・・・どうかしたか?」

 

「Ups!?そろそろ作戦開始みたいですから私はそろそろお部屋に戻りますね〜あはは・・・」

 

 そそくさとプリンツオイゲンが執務室から出て行く。

 

「えっとその・・・この件も島津提督に報告しても良いのですか?共闘する相手を裏切るような発言をされてますが・・・」

 

「ああ、元々お互いに利用しあってるだけだからな。いざと言うときは遠慮なく使うつもりだ。これが信頼出来る相手であれば話が違うのだがな。」

 

「そ、そうですか・・・分かりました・・・」

 

「はぁ・・・ちょっと提督?」

 

「どうした陸奥?」

 

「あんまり性格の悪い事ばかりしてたら、古鷹さんが困るでしょ?さっき注意したのに分かってくれてなかったみたいね・・・」

 

「・・・・・・ん?何故だ?もし仮に今回の作戦を実施したからと言って、困るのは狐塚提督だけだろ?」

 

「はぁ・・・古鷹さんはなんとか提督と島津提督の仲を取り持とうと努力してくれてるのよ?こんな提督の人間性を疑われるような事は謹んだ方が良いと思うわ。」

 

「いや・・・・・・それはどう考えても無理だろ?」

 

 自分と島津提督の相性が最悪なのは実証済みだ。少なくとも自分としては仲良くする理由は無いし、島津提督としても監視役を送り込むからには、仲良くする気など微塵も無いはずだ。

 

「無理でもやらなきゃいけないの!!古鷹さんは提督と島津提督との板挟みになってるんだから・・・」

 

「そうか・・・それは気づかなくて悪かったな。だからと言って作戦を変える気はない。私は提督としてお前達の命を預かっている。ならば出来る限りお前達を沈めない方策を考えるべきだ。もちろんどんな作戦にもリスクは付き物だから、それを恐れてばかりいては何も出来ない。だからこそいざと言う時の事も考えておく必要があるし、手段を選ぶ程の余裕がなければ汚い手も使うべきだと考えている。」

 

「はぁ・・・・・・そう言われたらお姉さんもお手上げよ。私達の事をしっかりと考えてくれてる提督をこれ以上責められないわね。ごめんなさいね古鷹さん。」

 

「あ、いえそんな!?気にしないで下さい!!艦娘思いの素晴らしい提督でちょっと羨ましいくらいです。」

 

 艦娘思いの提督か・・・自分にそんな事を言われる資格があるのか?あくまでも私の考えは鎮守府の戦力を増強する為のものだ。そんな聖人君子みたいな理由でやっているわけではない。だがここでそんな話をしても無駄か・・・そんな事より作戦に集中しなくてはな・・・




 山城は航空戦艦だから空が飛べる。言われてみればごく当たり前の事だったな。
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