疑心暗鬼提督のブラック鎮守府再建   作:ライadgj1248

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 さあやって来ましたアンケート結果で選ばれたビスマルクとアトランタの登場です。これはきっと読者の皆様からの葛原提督には苦労して欲しいという期待のあらわれですね。そうとなれば作者も期待に応える為に頑張らないとですね。


208話(海外艦挨拶、島津提督との口論)

 それにしても海外艦が二人か・・・この海域は本当にどうなっているんだ?横須賀鎮守府が掃討をした範囲では、海外艦が出現したなどとは聞いていない。それに戦艦棲姫を討伐した時であれば、姫級という非常に強力な個体を倒したからだと納得も出来る。しかし今回倒した奴らは自分達にとって充分強敵ではあるが、姫級などと比べれば遥かに格下だ。それなのに希少な海外艦が二人も出てくるなんて明らかな異常だ。

 

「て、提督?聞こえてる?」

 

「ん、ああすまない。少し考え事をしていた。」

 

「あーだよねぇ・・・とりあえず二人共提督に挨拶したいって言ってるんだけど?」

 

「わかった、代わってくれ。」

 

 さて、どんな艦娘が来るのやら・・・せめて真面目で扱い易い艦娘が来てくれれば・・・

 

「Guten Tag 私はビスマルク型戦艦のネームシップ、ビスマルク。よおく覚えておくのよ。」

 

「ビスマルクだと!?ライン演習作戦でイギリス海軍を破ったという、ドイツの戦艦ビスマルクか!?」

 

「ええそうよ。ドイツの誇るビスマルク級超弩級戦艦のネームシップ、それがこの私よ。Admiralもよく勉強してるようね。でもこんな極東の地にまで名前が伝わっているなんて、流石は私ってとこかしら?」

 

「ああ、プリンツオイゲンから話を聞いていたのでな。」

 

「へー、あの娘が居るの?それは都合が良いわね。」

 

「ああ、同郷のものが居た方がプリンツオイゲンも喜ぶだろう。ビスマルクの事をかなり慕っていたしな。おっと、挨拶がまだだったな。北九州鎮守府所属の葛原だ。これからよろしく頼む。」

 

「ええ、この私が力を貸してあげるわ。じゃあもう一人に代わるわ。」

 

 ふむ、話した感じからはなんとなくプライドの高さを感じる。これは事前にプリンツオイゲンから話を聞いていてとても運が良かった。なんとなくだがもしビスマルクの名前を自分が知らなかったら、変な揉め事の原因になっていた気がする。

 

「How is everything?あたしは、Atlanta級防空巡洋艦、Atlanta。Brooklyn生まれ。貴方、提督さん?よろしくね。」

 

「ああ、北九州鎮守府所属の葛原だ。えっとアトランタで良いのか?」

 

「そうAtlanta、アメリカの巡洋艦だよ。」

 

「ああ、よろしく頼む。」

 

「Ah・・・それで悪いんだけど早く鎮守府に案内して貰えないかな?夜の海はなんか落ち着かなくてさ・・・近くに日本の駆逐艦居るし・・・」

 

「夜と日本の駆逐艦が苦手なのか?」

 

「Ah・・・艦の記憶ってやつかな・・・」

 

 軍艦時代の記憶か・・・ドイツは第二次世界大戦時に日本の同盟国だったが、アメリカは日本の敵国だった。となれば艦娘としてもそういう因縁に悩まされそうだ。個人的には戦力として使えて命令に従うならそれで充分なのだがな・・・

 

「そうか・・・では川内にすぐに帰還するように伝えてくれ。」

 

「All right 助かるよ。」

 

 そう言い残して通信は終わった。さて・・・ここからどうしたものか・・・

 

「あ、あのぉ・・・」

 

「古鷹さん、どうされましたか?」

 

「その・・・海外艦が二人ドロップしたと聞いてしまったのですが・・・」

 

 同じ部屋で自分の監視をしていたのだ。当然状況はある程度理解しているだろう。はぁ・・・どうせ大本営に報告はしなくてはならないし、古鷹には島津提督の命令が優先される以上口止めは無駄だ。ただでさえ島津提督からの印象は悪いが、下手に隠そうとすれば余計に怪しまれるか。

 

「はい、物凄く驚く事に海外艦が二人もドロップしました。正直に言えばこういう事で目立つのは勘弁して欲しいのですがね・・・」

 

「あはは・・・葛原提督も苦労されてますね・・・それでその・・・島津提督への報告をしても良いですか?」

 

「ええ、それが古鷹さんのお仕事ですから。私としてはなに一つ隠すつもりはありません。」

 

「分かりました。それでは部屋の隅で通信をしても良いでしょうか?」

 

「ええ、ご自由に。」

 

 どうせ島津提督がどんな手を使ったなどと問い詰めて来るだろうが、こちらとしてはどうしょうもない。もちろん島津提督だけで済むなんて事はあり得ない。そして何故海外艦がドロップしたのか全く分からないので、交渉の材料にも使えない。そしてどこかの鎮守府へ移籍させるのもまた派閥争いを激化させるだけだ。派閥同士で勝手に争う分には知ったことでは無いが、巻き込まれるのは勘弁だ。

 

「提督、狐塚提督から通信です。」

 

「・・・ああ、代わろう。・・・・・・葛原です。」

 

「狐塚だ。戦闘が終わったようだな。」

 

「ええ、連絡が遅くなって申し訳ありません。敵の主力艦隊を含め、全ての敵を殲滅しました。これより北九州鎮守府の艦隊は帰還させます。」

 

「うむ、見事な手腕だった。流石は士官学校で優秀な成績を修めた葛原提督だ。」

 

「お褒めにあずかり光栄です。機会があればまたご助力頂ければ幸いです。ではこれで。」

 

「ああ、待ってくれ。ドロップ艦なのだが・・・海外艦が二人もドロップしたと言うのは本当か?」

 

 ちっ・・・流石にその話題に触れない訳にはいかないか・・・おそらく現場に居た益田鎮守府の艦娘達が嗅ぎつけたのだろう。戦闘中は距離をとって貰っていたが、戦闘が終わって海外艦で驚いている北九州鎮守府の艦隊へと近づいたとかだろうな。

 

「ええ、非常に珍しい事ですが、二人同時にドロップしました。この件はきちんと大本営に報告致しますので、すぐに皆さんの耳に入るかと。」

 

「そうか・・・・・・ダメもとで聞くが益田鎮守府も協力したので一人わけて貰う事は?」

 

「開戦前にはっきりとドロップ艦は北九州鎮守府が貰い受けると明言したはずです。軍用回線での通話ですから記録もきちんと残してあります。」

 

「ぐっ・・・・・・だが海外艦はトラブルの種にしかならないぞ?舞鶴鎮守府側に一人、呉鎮守府側に一人渡した方がバランスも取れると思うが?」

 

「そんな事をすれば佐世保側と横須賀側から抗議されるのが目に見えています。」

 

「熊井提督も海原提督もそんな真似はしないはずだ。」

 

「トップの二人はしないでしょうね。ですが傘下の者達は別です。プリンツオイゲンの時は佐世保も横須賀も傘下の者達が動いています。ただでさえ面倒な状況だというのに、さらに刺激するメリットがありません。」

 

 まあ、呉と舞鶴に一人ずつ渡せば呉と舞鶴からは文句が出なくなるはずだから、メリットが無いとは言えないのだが・・・艦娘を売り渡すのは印象が悪すぎる。艦娘の移籍は大本営が認めているが、ドロップした艦娘を厄介払いのように移籍させれば要らぬ誤解を生む。特に北九州鎮守府の艦娘達は大森提督によって売られた過去を持つのだ。艦娘の移籍に関して過剰に反応するのは目に見えている。

 

「ぐ・・・・・・分かった。最後に聞いておくが、お前は海外艦がドロップすると最初から知っていたのか?私の艦隊を遠ざけたのもドロップ艦を独り占めする為だったのではないのか?」

 

「もし知っていれば手は出さなかったですよ。誰が好き好んでこんな面倒な状況になるのと知って首を突っ込むものですか・・・それと益田鎮守府の艦隊を戦場から遠ざけたのは、狐塚提督が深海棲艦の討伐に消極的だと感じたからです。信用出来ない味方と共闘するよりは自分達だけでやった方が良いと判断しました。なにか反論でもありますか?」

 

「ぐ・・・・・・いや、ない・・・・・・」

 

「ではこれで失礼します。」

 

 一方的に通信を切ったが、狐塚提督もこれ以上話す事は無いだろう。これ以上は時間の無駄だ。

 

「あ、あの・・・」

 

「古鷹さん、どうしましたか?」

 

「島津提督が葛原提督と通信をさせろと・・・」

 

 はぁ・・・厄介事の始まりだ・・・

 

「・・・・・・仕方ない。・・・・・・北九州鎮守府の葛原です。どのようなご要件で?」

 

「海外艦の話に決まっているだろうが!?希少な海外艦が2隻もドロップしただと!?嘘ではないのか!?」

 

「確かに信じ難い事ですが事実のようです。先程二人と通信で話をしましたが、ドイツとアメリカの艦娘とのことです。」

 

「貴様!?いったいどんな手を使った!?この短期間で3隻もドロップするなど異常だぞ!?」

 

「異常事態なのは同感です私には全く心当たりが無いので、困惑しているところです。」

 

「とぼける気か貴様!?」

 

「状況からして疑われるのは百も承知です。ですが私としては心当たりが無いとしか言いようがありません。今から大本営へ詳しい報告をしますが、その報告以上の情報はありませんと言うしか無いのが現状です。」

 

 まあ、こう言ったところで信用されるとは露ほども思っていないがな。

 

「つまりわしに秘密を教える気はないのだな?」

 

「今回の件に関しては秘密など無いのですが、言うだけ無駄でしょうね。それともこの場で適当な話をでっち上げれば満足して貰えますか?」

 

「ふざけているのか貴様は!?」

 

「どうせ何を言っても信じないでしょうと言っているのです。であればこれ以上の会話は無駄です。それと監視として送られて来た古鷹さんですが、戦闘が終了しましたのでそちらに戻って頂きます。構いませんね?」

 

「馬鹿を言うな!?貴様が怪しい以上監視は必要に決まっているだろうが!?」

 

「島津提督の考えなどこちらには関係ありません。古鷹さんが監視に来たのは、北九州鎮守府が鹿児島鎮守府との演習を断る正当な理由がある事を証明するためです。だからこれ以上監視を受け続ける理由がありません。」

 

「だが貴様が不正をしている事は明らかだ!!ならばそれを追求する必要がある!!」

 

 こいつは何を思い上がっているのだ?

 

「島津提督、あなたになんの権限があってそんな発言をされるのですか?あなたは憲兵隊でも大本営の人間でもないただの提督ですよ?これ以上は鎮守府の自治権の侵害として、大本営と佐世保鎮守府に正式に抗議しますがよろしいですか?」

 

「貴様ぁぁああ!?いつか絶対に貴様の悪事を暴いてやるからな!!覚えておけ!!」

 

「記憶力は良い方です。島津提督が私に敵対的だと言う事は忘れませんよ。それでは失礼します。」

 

 通信を終えて顔を上げると古鷹が泣きそうな表情をしていて、その隣で陸奥が頭を抱えている。

 

「いや、この状況で良好な関係を築くのは無理があるだろう?私は海外艦をドロップさせる為の方法なんぞ知らないのだぞ?」

 

「そうね・・・島津提督にも問題があるから、これで提督だけを責めるのは酷な話よね・・・」

 

「島津提督がご迷惑をおかけしてしまい申し訳ございません・・・」

 

「別に古鷹さんが謝る事ではないですよ。とは言え監視の任務はこれで切り上げて頂きます。追い出すような形になるのは申し訳無いですがご理解下さい。」

 

「はい、分かりました。本日は作戦指揮の見学を受け入れて頂きありがとうございました。」

 

「いえ、古鷹さんもお仕事が大変でしょうが頑張って下さい。陸奥、案内してくれ。」

 

「分かったわ。古鷹さん、行きましょう。」

 

 これでひとまず鹿児島鎮守府との問題は片付いた。明日の演習がどうなるかはまた後で考えるとしよう。きっとそれどころではなくなるだろうがな・・・




 さあ待ちに待ったドロドロ祭りの開幕です!!
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