疑心暗鬼提督のブラック鎮守府再建   作:ライadgj1248

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 人間相手のドロドロ展開で疲れてきたので、一旦艦娘のお話で一息入れたいところです。バランスは大事ですからね。


211話(龍田会話)

コンコンコン

 

 久藤提督との通信を終えて一息ついていると、執務室の扉が叩かれる。もう夜遅いというのに誰だ?

 

「龍田です。報告書を持って来ましたぁ。」

 

「入れ。」

 

 そう言えば鳳翔が率いる哨戒部隊と龍田率いる遠征部隊がとっくに帰還している時間か。夜戦やその後の対応で後回しになっていたな。

 

「失礼しますねぇ。はい、これが今回の戦闘報告です。鳳翔さんの分も一緒に預かってますからねぇ。」

 

「ああ、助かる。それにしても鳳翔ではなく龍田が持って来たのは意外だったな。」

 

「大淀さんに連絡したら提督はお忙しいみたいで、全員集まっての報告は難しそうでしたし、私が提督に少しお話がありましたからついでにねぇ。」

 

「なるほどな。それで話とはなんだ?この場で話せる事か?」

 

「二人きりでお話がしたいかなぁ。」

 

「・・・大淀、陸奥、少し離れても大丈夫か?」

 

「はい、川内さん達も問題無いですし、今のところ他の通信も入っていません。それと先程綾瀬さんに記者会見を開く為に場所を提供して貰う話をしましたが、前回と同じ場所を提供して下さるそうです。記者の方々への告知も引き続き継続します。なにか問題が起こればすぐに報告しますのでご安心下さい。」

 

「わかった。では応接室で話そう。ついて来い。」

 

「はぁい。ありがとうございます。」

 

 それにしても龍田からの話か・・・自分からの龍田の印象は姉の天龍を守る為に必死だったくらいだ。今日は天龍とも話をしたが、特別気になった事はないはずなのだが・・・となると今日の出撃の件で何か思うところがあったのか?いや、情報も無いのに考えても無駄か。話があると言うならまずは聞かないと始まらないか。応接室に入ってソファに座るが、龍田はテーブルの横に立ったままこちらを見ている。

 

「まあ、座れ。」

 

「はぁい、失礼しますねぇ。」

 

「では話を聞こうか。」

 

「そうね〜とりあえず今回の戦闘に関しては報告書見て貰った方が早いかなぁ?皆頑張ってたから後でちゃんと褒めてあげてねぇ。」

 

「そうだな。確かにきっちりと仕事をしてくれたのだから、こちらもきちんと評価をするべきだな。あとで目を通させて貰おう。とりあえずは敵を全滅させてこちらは全員生きて帰ったのだ。龍田も旗艦として良くやってくれた。」

 

「ありがとうございます。」

 

「それで、本題はなんだ?」

 

「まずは天龍ちゃんの件かなぁ?天龍ちゃんが提督も案外話せば分かる奴だったって言ってたから、ちょっと気になったのよねぇ。今回の件は私のイメージする提督から考えると、ちょっと甘い判断かなぁって思ったから気になってしまって。」

 

 ふむ、やはり天龍の話か。龍田は笑顔で話をしているが、どうにもこの笑顔は胡散臭い。といっても怒りを隠しているというよりは、愛想笑いと言った方が近いか?なんにせよこういうこちらに感情を読まれないようにする奴らには、どうしても警戒してしまう。

 

「駆逐艦達への指導を天龍に任せた件か?」

 

「ええ、その件です。どうして天龍ちゃんに任せたんですかぁ?」

 

「であれば天龍の成長を期待しての事だな。天龍が自身が今回の戦いを省みて、その上で駆逐艦達の指導を任せて欲しいと言ってきたからな。今後も天龍には駆逐艦達を率いて貰う事も多いだろう。ならば天龍が現場の指揮官として成長しようとしているなら、私としては後押ししたい。」

 

「・・・私達艦娘に指揮官としての力をつけさせたいって事かしら?」

 

「ああ、提督の仕事はお前達艦娘を管理することだ。だがそれはお前達に1から10まで全て命令を下すという意味ではないと考えている。お前達艦娘は意志を持ち自分で考える事が出来る。ならば艦娘達を成長させてより良い戦力として使えるようにする事も私の仕事の一つだ。」

 

「・・・わかったわぁ。噓は無いみたいだし、これは私が提督の事を誤解していたみたいですねぇ。」

 

 こころなしか龍田の笑顔が和らいだ気がする。少なくとも龍田が満足出来るだけの回答はしたと言う事か?

 

「まだ一週間程度の付き合いだ。お互いに知らない事などいくらでもある。」

 

「そうねぇ。提督の噂は色々聞きますけれど、わからない事だらけですからねぇ。」

 

「どんな噂かは知らないが、噂だけで人を理解するのは難しいだろうな。本当にいろんな噂が艦娘達の間で飛び交っているようだしな・・・」

 

「それは当然だと思いますよぉ?私達の今後や命にも関わる事ですから、必死に情報を集める娘も多いですからねぇ。」

 

「・・・・・・なるほどな。」

 

 前任者の大森提督から仲間が使い潰されたり酷い虐待や凌辱に果ては解体とやりたい放題されていたのだ。新しい提督の情報はそれこそ生死を左右しかねない。噂話も物凄い勢いで飛び交うわけだ。龍田だってこうして話をするのも危険な橋を渡っているようなものなのかもしれない。

 

「それでもう一つ聞きたい事があるんですけど良いですかぁ?」

 

「ああ、なんだ?」

 

「・・・・・・春雨ちゃんの件、何か心当たりはありませんか?」

 

 それまで少し穏やかな雰囲気すら感じていた龍田の笑顔から、急に冷淡な笑顔へと変化する。今日の出撃から龍田は何を読み取った?どこまで春雨の事情を突き止めたのだろうか?

 

「・・・・・・何かと言われても曖昧過ぎて良くわからないな。」

 

「ダメですよ〜提督。そんなに怖い顔してたら何か隠してる事があるって言ってるようなものですよぉ?」

 

「顔が怖いのはいつもの事もだろう?わりとよく言われる。龍田こそなんだか穏やかな雰囲気ではないぞ?」

 

「うふふ。そんな事はないと思いますよぉ?」

 

「そうか。」

 

「ええ、そうですねぇ。」

 

 そこからしばらく黙ってお互いに視線で探り合う。微かに龍田が震えているか?気丈に振る舞ってはいるようだが、龍田は前任者からの仕打ちで提督を怒らせる事がどういう結末を迎えるか充分に知っているはずだ。最悪の場合でも龍田への口止めは可能か・・・あまり使いたい手ではないが、春雨の深海棲艦化の件が広まるよりはマシか。

 

「それで?何が聞きたい?」

 

「私は今日の出撃でちょっと春雨ちゃんの調子が悪そうだったから、提督は何か知らないかなぁ?って思って聞いただけですよ?なんだかあんまり聞かれたくないお話だったみたいですけどねぇ?」

 

「であれば白露型の姉妹の方が春雨を近くで見ていると思うが?」

 

「もちろん白露ちゃん達にはそれとなく聞いてみましたよ?あの娘達も春雨ちゃんの事を心配してるみたいですけど、詳しい事は教えてくれなかったのよねぇ?」

 

「まあ、私が把握している件ならば春雨のプライベートに大きく関わるから、白露達も安易に吹聴したくはないのだろう。」

 

「ふーん?それはわかりますけど、あの娘は提督にすごく懐いているみたいですよねぇ?あれだけ提督からのトラウマを植え付けられていたにも関わらず、この短期間でずいぶんと好意的・・・なにか不自然だなぁ、提督が何か知ってるんじゃないかなぁって思うのが自然じゃないですか?」

 

 ふむ、とりあえず龍田は春雨の行動から不信感を抱いているわけだ。特に自分が春雨相手に何かをした、何かを強制している事を疑っているのだろう。流石に深海棲艦化にまでは辿り着いていないようだが、警戒は必要だな。

 

「そうだな・・・それで?龍田は春雨の秘密を探って何をしたい?」

 

「う〜ん?私はあくまでも提督の事を知りたくて質問したつもりですけどねぇ?提督が春雨ちゃんに何かしたのかなぁと思って。私、前に言いましたよね?私はまだ提督の事を信用してませんよって。それで探りを入れてみたら予想外に大きな反応があったからどうしようかなぁって。」

 

「それならば探るのはそれくらいにしておけ。さっきも言ったがこれは春雨のプライベートに大きく関わる問題だ。他人に心の傷を探られるのも迷惑だろう。提督としてお前達と面談をした私が言えた話ではないかもしれないがな。そこは仕事として割り切って貰えれば助かる。この件に関して私から言えるのは私や白露型姉妹は春雨の問題を把握していて、その対応で色々と動いているという事。春雨達に対しての命令で指揮官としての範疇を超えるものは無いと言う事。これくらいだろう。」

 

 しばらく龍田がじっと見つめてくるが、その目線から逸らすような真似はしない。今の言葉に嘘は無いが、それを信じるか信じないかは龍田次第だ。

 

「はぁ・・・これ以上詮索するのは危なそうだから辞めておくわぁ。天龍ちゃんになにかあったら私が悲しむみたいに、私になにかあったらきっと天龍ちゃんが悲しんじゃうもの。それに提督が私に対して誠実に対応しようとしてくれてるのは、なんとなく伝わってきたもの。」

 

「そう思ってくれると助かる。」

 

「まあ、それだけであなたの事を信頼出来るほど物分りの良い娘じゃないんだけどねぇ。」

 

「ああ、その警戒心は素直に評価出来るところだな。」

 

「そう・・・じゃあ私の話はここまでねぇ。あっ、最後に一つだけ伝えておくわ。」

 

「なんだ?」

 

「春雨ちゃんの問題にちゃんと対応するつもりなら、早いうちに会ってあげた方が良いと思うなぁ。春雨ちゃんったら帰還後に提督が忙しくて会えないって知らされた時に、すっごく不安そうな顔をしてたから。誑し込んだならその責任はちゃんと取るべきかなぁって。」

 

 ・・・また深海棲艦化の発作だろうか?戦闘のたびにケアが必要なのは厄介だが、それでも春雨と悪雨から得られるものは大きい。早めに対処しておくか。

 

「誑し込んだと言われるのは心外だが、春雨がなにか私に話があると言うなら聞いておきたい。ここに呼んで貰えるか?」

 

「分かったわ。・・・・・・すぐに来るみたいよ。じゃあ私はこれで失礼しますねぇ。」

 

「ああ、ゆっくり休め。」

 

 ふぅ・・・・・・なんとか事なきを得たが、なかなか難しい問題だな。今回は疑いだけで済んだが、今後も春雨だけを特別扱いするとどんな疑いをかけられるかわからない。そして的外れな疑いでも調べようとすれば偶然深海棲艦化の事に辿り着かないとも限らない。しかし悪雨の暴走を防ぐにはそれ相応の対応が求められる。どうしたものか・・・・・・




 あ・・・ありのまま今起こった事を話すぜ!艦娘を登場させてほのぼの展開を書いていると思ったら、いつのまにかドロドロ展開を書いていた!!何を言っているかわからねぇと思うが、おれも何をしたのか分からなかっ以下略
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