それに白露型妖精さん達も可愛いし、白露型の絆を感じました。
あと青葉はマジでワレアオバでしたね。
熊井提督と島津提督が退室すると、すぐに憲兵隊の金子さんが入室してきた。
「葛原提督、お話は終えられたようですが、これからどうなさいますか?一応面会の申し込みがかなり来ていますが?」
「事前に予約も無いのに一々相手に出来ません。とりあえずリストだけ鎮守府に持ち帰って、今後の対応はまた後で考えます。すぐに北九州鎮守府へ戻りますから、車の手配をお願いします。」
「そちらはいつでも出せますのでご安心を。」
「では行きましょう。」
控室から出て隣の控室で待機している艦娘達に声をかけると、即座に不知火が出て来た。扉の前で待機していたのか?
「司令、お怪我はありませんか?」
「ああ、大丈夫だ。それよりさっさと鎮守府に帰るぞ。」
「あら?もう帰るの?せっかくオイゲンがコーヒーを淹れたのだから、Admiralも飲んで行けば良いのに。」
ビスマルクがそんな事を言うので控室の中を覗いてみると、中で海外艦の三人が机で寛いで優雅にコーヒーを飲んでいた。おそらく控室に用意されていたインスタントコーヒーを使ったのだろう。呑気にコーヒータイムとは・・・緊張感がなくなったか・・・
「はぁ・・・お前達はなんでコーヒーなんて飲んでいるんだ?」
「え?私はお茶よりもコーヒー派よ?まあ使った豆が悪いみたいだけど、オイゲンの腕のおかげで及第点ってところかしら?」
「ありがとうございますビスマルク姉さま。もっと美味しく淹れられるように頑張りますね♪」
「いや・・・そんな話は聞いてない・・・」
「Ah・・・提督さん?案内の人から自由に使って構わないって言われたんだけど・・・まずかったかな?」
正直に言って気が緩んでいると言いたいが、この控室には北九州鎮守府の艦娘達だけしか入れない状態だったし、この施設の職員が準備して使用して良いと言ったにも関わらず、それを使用して怒るのもな・・・私は部屋の備品を使うななんて命令は出していないしな・・・
「・・・・・・まあ、許可を貰っているなら良い。とりあえずさっさと・・・」
「葛原提督、少し宜しいですか?」
「金子さん・・・なんでしょう?」
「今新しく面会の申し込みに来た記者がいるそうなのですが、少し気になる事を言われたそうでして。」
「気になる事・・・ですか?」
「はい、なんでも葛原提督から依頼された仕事が終わったので、葛原提督とお話がしたいとか。ここ数日で何度か鎮守府の方にも足を運んだそうですが、来客を断られていたのでお会い出来なかったとか。何か心当たりはありますか?」
記者に依頼?・・・・・・そう言えば綾瀬さんの調査を頼んだ記者が居たな。名前は確か仙崎さんだったか?
「その方の特徴とかは覚えていますか?」
そう尋ねると金子さんは報告に来ていた若い憲兵に視線を向ける。
「ええ、女性の方でその・・・足を怪我されているようでした。お名前は仙崎情報社の仙崎さんです。」
ならば仙崎さんで間違いなさそうだな。だが何故直接持って来た?資料の事はすっかり忘れていたが、資料が完成したら入り口の憲兵隊に渡して貰えば良いと伝えたはずだが・・・・・・万が一にでも憲兵隊に見られたら困ると言う事か?それに何度か来ていると言う事は面会の申し込みをしている可能性も高い。他にも面会の申し込みは多数あったから、紛れて見落としてしまったかもしれないな。
「その記者の方は今どちらに?」
「面会希望者の皆さんは待機していますのですぐにお呼び出来ます。」
すぐ呼べる状態か。正直ここに長居するのは本意では無いが、自分から仕事を依頼しておいてほったらかしというのも不義理だ。作戦行動中ならともかく今は時間がとれるしな。
「では仙崎さんだけ対応しますので、連れて来て頂けますか?」
「はっ!!」
「プリンツオイゲン、コーヒーの準備を頼む。」
「Ja!!」
「不知火はついてこい。ビスマルクとアトランタはここで待機していろ。」
「はっ!!」「わかったわ。」「OK」
艦娘達の控室を出て、元いた控室の方にまた戻ってくる。先程まで座っていた椅子に座ると、不知火は自分の斜め後ろに立って、直立不動の姿勢で待機している。やはり気の抜けていた海外艦達と違って、不知火は緊張感を持って仕事をしてくれているようだ。
コンコンコン
「葛原提督。お客様をお連れしました。」
「どうぞ。」
「失礼します。仙崎情報社の仙崎まどかです。本日は急なお話にも関わらず、貴重なお時間を頂きありがとうございます。」
「いえ、こちらこそ何度かお伺いして頂いたにも関わらず、対応が出来ずに申し訳ない。立ち話もなんですからどうぞお掛け下さい。」
「ありがとうございます。」
仙崎さんがゆっくりと座ったので、さっそく話を切り出す。
「今回は先日依頼していた綾瀬さんの調査資料をお持ち頂けたと聞いておりますが?」
「ええ、こちらに。調べたらすぐに出てくるような簡単な資料ですが。」
「拝見します。」
手渡された封筒を開けて中の資料を確認する。北九州市で不動産会社社長の次男として生まれ、それなりに良い大学を卒業して実家の不動産会社に就職、深海棲艦襲来後は街の復興のために、街から再建部門の指揮者として雇われた事が書いてある。再建部門の仕事内容としては被害の把握と復興の計画案の作成。どの区画を優先的に復興するか、どの区画を放置したり瓦礫等の廃棄場所として利用するかなどを決めているそうだ。綾瀬さん自身についての評価は、仕事が出来る人間で人当たりも良いとの事だ。まあ、あの人は有能だと感じたし世渡り上手だとも思う。裏では色々やってるだろうが・・・
「・・・なるほど。やはり優秀な方なのですね。」
「そうですねぇ。再建部門の部下の方々や取り引き先の業者の方々からも評判は良かったです。ただ黒い噂もチラホラとありましたが・・・」
「でしょうね。」
「それと昨日綾瀬さんは正式に市長に任命されてましたよ。」
「ほう?随分と早いですね。」
「まあ、このご時世ですからねぇ。いつまでもトップ不在は困りますから。それに今回は東雲さんが辞退したので、信任投票になったのも大きいですね。」
副市長の源さんは憲兵隊に捕まり、明日への希望党の東雲さんは辞退か。自分が東雲さんを支持しなかったから、バックについてた政治家達も綾瀬さんの方に鞍替えしたのだろうか?どちらにせよ綾瀬さんが市長になったのならばやりやすい。
コンコンコン
「Admiral プリンツオイゲンです。」
「入れ。」
「失礼します。コーヒーをお持ちしました。」
「ああ、助かる。」
「おお!?コーヒーですか!?このご時世ですとなかなかお目にかかれないので嬉しいです♪」
「そうですね。こういう嗜好品を融通して貰えるのも提督の特権の一つですね。有難い事です。」
市販にはほとんど流通していない品物でも、提督をやっていれば何かと手に入る。それだけ提督達は優遇されていて、同時にその働きに期待されていると言う事でもある。
「それに噂の海外艦の方にコーヒーを淹れて頂けるなんて光栄です!!」
「Hurra♪喜んで貰えて嬉しいです♪不知火さんもいかがですか?」
「いえ、不知火は職務中ですので必要ありません。」
「そうですか・・・なら鎮守府に戻ってから是非ご馳走させて下さいね♪」
「・・・・・・ありがとうございます。」
不知火は相変わらずキリッとした表情を崩さないが、もしかするとコーヒーが苦手なのだろうか?コーヒーは苦味があるから苦手とする者もいるだろう。まぁ、このあたりは不知火とプリンツオイゲンの個人的な話なので口を出す必要はないな。とりあえずコーヒーを少し飲んで心を落ち着けてから話を再開する。
「さて、少しお聞きしたいのですが、綾瀬さんに関する調査結果を何故入り口の憲兵隊に預けなかったのでしょうか?」
「あー、その件ですか・・・なんと言いますか・・・綾瀬さんの事を調べていると、どうも監視されていたようでして・・・念の為に直接お渡しして、この件を葛原提督にもご報告しようかと思いまして。」
「やはりそうでしたか・・・直接なにかされたりは?」
「いえ、直接的な動きは無いですね。影からコソコソ見られてるくらいです。あ、でもうちが葛原提督に独占インタビューをした件でネチネチ絡んでくる奴らはいたみたいで、そちらは夫が対応してくれました。」
「それは・・・大変でしたね。」
「いえいえそんな!!葛原提督のおかげでうちの売上は過去最高でしたし、絡んで来た人達には夫が平和的に解決しましたから。いや〜お陰様でかなり儲けさせて頂いております。私としては街の皆さんが笑顔になるのが一番ですけど、やっぱり先立つものは必要ですからね。」
商魂逞しいな。小さな会社だとしても新聞社の端くれという事か。いや、小さいからこそ大手に潰されないように逞しくなったのかもな。うちも見習わなくてはな。
「そうですね。やはり資金は無いと活動出来ませんからね。それでは報酬の件ですが、あいにく出先なので今は手持ちがなくてですね。後で会社の方に届ける形で良いでしょうか?」
「あ!!その件ですが報酬は金銭ではなくて、噂の海外艦に直接インタビューする権利とかでお願い出来ませんか!?先程の会見で多少の情報は頂けましたが、まだまだ気になる事がいっぱいですから!!」
「ん・・・海外艦への直接インタビューですか・・・流石にそれは欲張り過ぎではないでしょうか?」
「むむ・・・では私が色々と見聞きした噂話なんて如何でしょうか?きっと葛原提督のお役に立つものもあるかと思いますが?」
ふむ・・・噂話か・・・流石にこの状況で鎮守府と関係の無い話をするような馬鹿には見えないし、なにかしら有益な情報が得られるかもしれないか・・・
「噂話ですか?確たる証拠がなければ話半分に聞くしかないですが・・・」
「それはそうですが・・・頭の片隅に入れておく価値はあるかもしれませんよ?」
「流石に話を聞かなければ価値があるかは判断出来ませんね。」
「んー、では先にこちらがお話しますので、葛原提督がその噂話に価値があると思ったぶんだけ海外艦へのインタビュー時間を伸ばすとかどうでしょう?」
ふむ、噂話を先に話すのは最低条件だし、海外艦へのインタビューをする事が前提の提案だ。ただし噂話への評価はこちらに一任されているので、価値が無ければ一蹴してしまえば良いか。
「分かりました。一先ずお聞きしましょう。」
「ありがとうございます!!まあまずは葛原提督が久藤提督から気に入られたって噂ですかねぇ。なんでも久藤提督が北九州市の有力者の方々に『北九州鎮守府の邪魔をするな』って言ったらしいですよ。現に平川副市長と大森前提督のご遺族がそれに逆らって消されたとの話も聞きますし、信憑性は高い話かと。それで北九州の有力者の方々は葛原提督を怖がっているとか?」
ふむ、確かにそれは自分も感じていたところだ。久藤提督とは敵対関係ではあるが、きちんと交渉が出来る相手でもある。久藤提督としても北九州鎮守府に自分を置いておくメリットがあるから、現状維持しようとしているのだろうがな。
「なるほど。そのわりには今日は北九州の有力者の方々から面会の申し込みが多数来ているようでしたが?」
「それは葛原提督に取り入ろうとしているのではないでしょうか?ようは葛原提督の邪魔をしなければ久藤提督の怒りを買う事は無いのですから。」
はっきり言って擦り寄って来たり面会に時間を使わされる時点で邪魔なのだが、これを言うと仙崎さんを怖がらせてしまうか。今まさに時間を使っているわけだし。
「そうですか。他には何かありますか?」
「ではこういうのはどうでしょう。一部の記者達が葛原提督を新たな英雄として祭り上げようとしているとか。」
「・・・・・・は?」
「いやまあこれもわかる話ではありますよ?この着任してからこの短期間で姫級の討伐に海外艦を三人も獲得しているのですから。東の英雄海原提督と西の英雄熊井提督、その二人に続く新たな英雄の誕生だって騒いでも仕方ないですよ。」
「待て待て待て、北九州鎮守府は横須賀鎮守府と佐世保鎮守府と比べたら、その戦力差は歴然だ。それで英雄扱いなんて何かの冗談だろ?」
「う〜ん?そのあたりは一般人には理解が難しい話なんですよねぇ。一般的な感覚としては横須賀鎮守府が一番凄くて、佐世保鎮守府が次にすごい、呉鎮守府と舞鶴鎮守府がその次にすごい。これくらいの感覚ですから。それと新聞記事にするならインパクトのある内容の方が売れますから、そういう記事を書くところも出てもおかしく無いですよ?」
言われてみれば確かにそうだ。軍に関わりを持たない一般人が鎮守府の戦力差なんて理解出来る訳がない。それこそ四大鎮守府は凄いらしい程度の認識でもおかしくない。そして姫級討伐・海外艦獲得なんて大きなニュースならば注目も浴びるか・・・
「なるほど・・・確かに私も提督としての目線でしか物事を見れて居なかったようですね・・・」
「あはは。それは仕方ない事ですよ。それとこの件は先程の久藤提督の件とも絡んできますね。葛原提督を批判する記事を書けないなら、いっそ絶賛する記事を書いてしまえってな感じです。鶴野提督の派閥の記者さん達は相変わらず批判的な記事を書く気満々なようですが。」
「そこは変わらないでしょうね。」
「とりあえず葛原提督周辺の噂話で大きいところはこのくらいですがいかがですか?」
ふむ、鎮守府の人間からは見えない斬新な視線での話もなかなか興味深いな。今後も定期的に外の情報を集める為に役立って貰いたいし、ここはきちんと利益を提供しておくか。
「ええ、面白い話が聞けたと思います。プリンツオイゲン、隣の部屋からビスマルクとアトランタを呼んで来てくれ。」
「Ja!!」
「やったぁ!!葛原提督、ありがとうございます!!」
「いえ、こちらとしても今後も面白い話を聞きたいところですし、お互いに良い関係を築きましょう。」
「はい!!是非よろしくお願い致します!!」
お互いに笑顔で握手をする。情報収集の為にこの関係を今後も活用するとしよう。
批判される記事も面倒ですが、実力を遥かに超える評価の記事も面倒なものです。