疑心暗鬼提督のブラック鎮守府再建   作:ライadgj1248

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 今回は珍しくほのぼの成分増し増しですね。
 という事は・・・


225話(間宮アイス)

 昼食を食べながら長門と鹿島から午前中の演習の様子を聞いて、午後からの指示も出せた。午後からは着任したばかりの海外艦達の能力測定もしておきたい。他の仕事は後回しでも構わないだろう。食事自体も相変わらず美味かったし、有意義で満足出来る昼食だった。

 

「では曙、私は部屋で少し休ませて貰う。」

 

「ええ、ゆっくり休みなさい。」

 

「必要であれば手の空いてる奴に執務を手伝わせても構わない。それと何かあればすぐに起こしてくれ。」

 

「分かったわ。」

 

「ぼのたんのサポートであれば、我々第七駆逐隊にお任せあれですぞ。ご主人様♪」

 

「ぼのたん言うな!!てか漣、あんたどこから出てきたのよ!?」

 

「いや、ここは皆が集まる食堂ですぜぼのたん?そりゃ漣の一人や二人出でくるって〜」

 

「二人も出てくるわけないでしょうが!!」

 

「流石ぼのたん今日もツッコミ業務お疲れ様です!!」

 

「秘書艦補佐よ!!秘書艦補佐!!誰がツッコミ業務よクソピンク!!」

 

 ふむ・・・これが漣や村雨の言うところの雑談か。漣が意味のわからない事、つまり意味の無い事を言って曙が反応する。意味の無い会話とはこういう事か。だがあの変な発言は理解に苦しむ上に、突拍子も無い事を言うには創造性が必要だ。これは雑談というのもなかなか難しいものだな。

 

「あっ、それとご主人様ぁ〜約束の甘味をまだ頂いてないですぞ?夕食のデザートでとお考えでしたらそれはそれで構いませんが?」

 

「甘味の件か。そうだな。間宮、居るか?」

 

「はぁ〜い、ちょっとお待ち下さ〜い。」

 

 食堂の奥に声をかけると、間宮がパタパタと小走りでやって来た。

 

「提督、何かご用事でしょうか?」

 

「昨日出撃した者達に褒美としてなにか甘味を出してやれ。あと大淀・陸奥・長門・明石・夕張の5名にも出してやれ。」

 

 出現した者達が評価されるのは当然だが、後方で支えた者達もきちんと評価されるべきだ。

 

「はい、分かりました。なら時期的には少し早いかもですが、試しにアイスクリームを作ってみたのでそれを出しましょうか?」

 

「ほう?噂の間宮アイスか?」

 

「うぉぉおお!?マジスカ間宮さん!!まさかあの間宮アイスが食べられる日が来るとは!!キタコレ!!」

 

 やはり間宮アイスの名は艦娘達にとっては特別なのだろうか?だがしかし・・・

 

「うふふ♪そんなに喜んで貰えるなら作ってみたかいがありますね♪提督もお一ついかがですか?」

 

「・・・だが5月にアイスクリームは、時期的に少し早くないだろうか?何か他の物は出せないのか?」

 

 間宮自身も時期的に少し早いかもしれないと言っているしな。すると隣ではしゃいでいた漣の動きが止まる。

 

「・・・・・・は?ご主人様それマジで言ってます?」

 

「アイスは夏に食べる物だろう?」

 

「・・・・・・ご主人様、落ち着いて聞いて下さい。アイスを食べたいという気持ちに時期なんて関係ありません。」

 

「いや、冬でも食べるつもりか?」

 

「寒い冬に暖かい部屋でアイス食べるとか最高の贅沢ですよ?漣はやった事ありませんけど。」

 

「そ、そうか・・・」

 

 普段は軽いノリの漣が今回はやけに真剣だな。口調もいつもと少し違っているし。漣といえば軽いノリのイメージがあるが、こんなにも真剣な目をするのだな。ここは戦場では無いのだがな・・・

 

「良いですかご主人様?確かに先日漣達は祝勝会でアイスクリームというものを初めて頂きました。北条様が持って来て下さった他の甘味も味あわせて頂き、至福の時間を経験しております。で・す・が!!間宮アイスは漣達艦娘にとっては特別な存在なのです!!全艦娘が憧れる間宮羊羹と並ぶ二大スイーツです!!」

 

「お、おう・・・」

 

「それを時期じゃないとか気分じゃないとかの下らない理由で艦娘から取り上げてしまう・・・これがどれ程の愚行かご理解頂けますか!?ええ、もちろんご褒美を何にするかはご主人様が決める事です。ですが僭越ながら意見具申させて頂きましょう。ご褒美の内容は間宮アイスが最善であると!!」

 

 漣が身振り手振りも駆使して熱く語る。何がここまで漣を必死にさせるのかは理解出来ないが、漣が間宮アイスを食べたがっているのはわかった。そして周囲を見渡しても反論は無さそうだ。というか普段なら漣の発言に反応する曙もどういう訳か止めようとしない。つまり曙もなにも言わないが漣と同意見なのだと考えられる。

 

「まあ、漣がそこまで強く主張するのであれば間宮アイスにするか。間宮、配れるだけの数はあるのだろう?」

 

「ええ、問題無いですよ。」

 

「では間宮アイスを出してやってくれ。」

 

 その瞬間食堂に歓声が溢れる。漣の主張する全艦娘が憧れる二大スイーツという肩書きも、誇張表現では無いのかもしれないな。

 

「はい、お任せ下さい♪」

 

「ありがとうございますご主人様ぁ♪ご主人様ならばきっとわかって下さると漣は信じておりましたぞ♪」

 

「そうか。ああ間宮、妖精さん用の金平糖も持って来てくれるか?」

 

「妖精さんにもご褒美ですね♪すぐに取って来ます♪」

 

 間宮は嬉しそうに小走りで食堂の奥に行って、金平糖の入った小包を持って来てくれた。

 

「はい、どうぞ。」

 

「助かる。ではあとは頼んだぞ。」

 

 さて、約束は果たしたしとりあえず工廠によって妖精さんに金平糖を渡したら少し休むとしよう。

 

―――――――――――――――――――――

 

「完・全・勝・利!!」

 

 提督が食堂から出ていった後に、漣が食堂のど真ん中で変なポーズをとって調子に乗っている。あのクソピンクはよくもまあ提督を言いくるめたものね。

 

「良くやったクマ!!」

「あの提督に食ってかかるなんてあんた度胸あるじゃない♪」

「間宮アイス!!間宮アイスっぽい!!」

「司令官を手玉に取って操るテクニック・・・私も教えて欲しいわぁ♪」

 

 お祭り騒ぎの食堂で漣が寄ってたかって褒められている。普段はアホみたいな事を言い出す奴だけど、今回ばかりは認めてあげてもいいわね。

 

「はぁ~い皆さ〜ん!!さっそく間宮特製アイスクリームを配りますから並んで下さ〜い♪」

 

 間宮さんのその一言で集まっていた艦娘達が我先にと並び始める。

 

「ぼーのたん♪念願の間宮アイスを貰いに行きましょうぞ!!」

 

「そうね。でも漣、あんまり調子に乗ってると提督から怒られてしまうから気を付けなさいよ?営倉行きになっても庇わないわよ?」

 

「ふっふっふっ。やはりぼのたんはご主人様の事を理解してないですなぁ〜これはそろそろ秘書艦補佐の座を漣に明け渡す日も近いのでは?」

 

「はぁ!?なんですって!?」

 

「いやいや、冗談だって。もちつけぼのたん。だいたい漣に秘書艦業務は・・・まあ出来なくは無いけど、ぼのたんから奪ってまではやりたくありませんぞ。」

 

「はぁ・・・それで?私が何を分かってないって言うのよ?」

 

「なんと今回のやり取りはご主人様を知る為の実験だったのでありますぞ!!」

 

「はぁ?実験?どういう事よ?」

 

 このクソピンクはまたわけのわからない事を・・・

 

「ねぇ漣ちゃん、そのお話私も興味あるなぁ~私にも聞かせてくれるかしら?」

 

「おや?龍田さんも興味ありますか?ええ、もちろん構いませんよ。なんと!!漣はご主人様にお願いを聞いて頂く為の方法を調べているのです!!」

 

「はぁ?あんたそんな事をしてたの?ってまたなんか人が集まって来たんだけど!?」

 

 なに!?皆そんなに漣の話が気になるの!?

 

「おっほん!!ではご主人様研究の第一人者であるこの漣が、研究結果を公表しましょうぞ!!あっ、もちろんご主人様にはオフレコでおなしゃす。」

 

「誰が第一人者よ・・・それで?」

 

「おやおや?文句を言いつつも先が気になるのかなぼのたん?あっ、ちょい待ち、ちゃんと教えるから。えー、まずご主人様にお願いしたい時に、可愛くおねだりとか色仕掛は絶対に駄目です。無反応で一蹴されて心に傷を負うだけです。」

 

「あーあんたも可愛さアピールしてたわね。」

 

「ぼのたん・・・あの引いた目でただ一言『そうか。』って言われるのけっこうキツイのよ・・・マジで・・・」

 

「ふふっ、そう。」

 

 なんでもないような顔してたくせに、意外と堪えてたのね。

 

「ぐぬぬ・・・まあ、話を戻しますぞ。お願いを聞いて貰うには条件が3つあるのです。まず一つはお仕事を頑張る事。お仕事を頑張ったご褒美としてしかご主人様は動きませんぞ。」

 

「それは当然ね。無闇に私達艦娘を甘やかす人じゃないのは皆知ってるわ。」

 

「ご主人様は真面目ですからなぁ。基本的な衣食住に必要な物以外はご褒美としてねだるしかありませんな。そして次にきちんと要求する事!!この仕事を頑張ったから何が欲しいときちんと主張する事で、ご主人様は動いて下さるのです!!遠回しな言動は誤解の元ですな。」

 

「ああ、あんた甘味をねだったら頭を撫でられてたわよね?」

 

「あー、あれはあれで棚ぼただったので良いのですが、ご主人様ははっきりとした物言いの方がお好きみたいですな。とりあえず欲しいご褒美があるなら自分の口でしっかりと伝える。これ重要ですぞ。」

 

「ふーん、それで最後は?」

 

「あー誤解を恐れずに言うなら、ご主人様にとってどうでも良い事であるって事かな。」

 

「は?なによそれ?私達へのご褒美をどうでも良いことだと考えてるって事?」

 

 それは流石に無いと思う。信賞必罰は組織の運営に重要だと言っていたし、実際に私達の士気についてはけっこう気を使っていると思うもの。

 

「ちょっと意味合いが違うんだよぼのたん。例えば今回の一件だけど、ご主人様にとって重要なのは漣との約束を守って甘味をご褒美として出すって事。それとそのご褒美で漣達の士気が上がるかって事。どうでも良いのはその甘味が何かって話。アイスだろうが羊羹だろうが桜餅だろうが関係ないって事ね。だから強く主張すれば怒られる事なく間宮アイスを出して下さったのです。」

 

「・・・・・・そういう事ね。逆に提督にとって重要な話であれば絶対に譲らないって事ね。」

 

「ですなぁ。聞いた話だけど仕事関連で提督が決めた事を変えさせるのは無理ゲーっぽいですな。」

 

「そう?ついさっき『私も人間だ。それも提督になって日が浅い新人だ。当然私も間違える。だから私が間違った時はそれをきちんと指摘していい。』とか言ってたわよ?」

 

「ほほう?それはまた興味深い話ですなぁ。それってさっきみたいにご主人様を説得する事が出来れば、ご主人様の決定を覆せるって事かな?」

 

「たぶんそうね。でも説得は難しいでしょうね。きちんと自分の提案の利点と欠点を説明しないと無理でしょうね。」

 

「つまり提督に性欲発散のメリットと、性欲を溜め込んでしまう事のデメリットを伝えれば、夜戦に突入出来るって事なのね!!漣ちゃんは意外と頭良いのね♪」

 

 イクさん・・・まだ諦めてないの・・・

 

「ああ・・・そうかもですね。でもかなり難しいでしょうし、たぶん心に傷を負いますぞ?」

 

「それはそれでちょっと気持よくなって来たところなのね♪」

 

「あ、そっすか・・・頑張って下さい・・・」

 

 はぁ・・・最後はイクさんのせいでグダグダになったけど、意外と漣も色々と考えてたのね。ちょっとだけ参考になったわ。




 漣がコミュ強として加速度的に進化していく。
 陽炎とどっちの方がコミュ強なんだろ?
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