疑心暗鬼提督のブラック鎮守府再建   作:ライadgj1248

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 久々に艦これにログインして溜まっていた資材で大型建造を3回してみました。そして武蔵と大和をお迎えすることに成功しました!!これはもう運を使い切ってしまったかな?


231話(方針転換する猿田提督)

 古鷹さんと猿田提督としばらく話をしていると、運び込まれる資材の確認と荷下ろしが終わったとの報告を受けた。そして輸送船の見送りの際に鹿児島鎮守府の艦娘達にお礼を言い、お土産に曙が用意した甘味を渡すととても喜ばれた。ただ古鷹さんだけは引き攣った笑顔を浮かべていたのは、きっと猿田提督がずっと不機嫌だったからだろう。今も古鷹さんと自分が別れの挨拶をしている横で、不機嫌そうに睨んでいるからな。

 

「では私達はこれで失礼します。お土産まで頂きありがとうございました。」

 

「いえいえ、こうやって資材を運んで下さったのですから当然の事です。ああ、それと一つ聞き忘れていたのですが・・・」

 

「はい?何でしょう?」

 

「明日からの佐世保鎮守府傘下の方々との演習の予定をまだ聞いていないのですが、なにかご存知無いでしょうか?」

 

「え、えっとぉ・・・私は何も聞いてないです・・・」

 

「そうですか・・・佐世保鎮守府にお伺いして佐世保鎮守府のやり方を勉強させて頂く話もありますし、早めに予定を決めたいところなのですが・・・」

 

「ちょ!?ちょっと待て!?佐世保傘下と演習!?しかも佐世保鎮守府から直々に指導して貰うのか!?」

 

 まあ、当然食いついてくるよな。というかこの話は今朝多くの記者の前で語った事なのだが、まだ猿田提督の耳には入っていなかったのか?鶴野提督の情報網ならば既に知っていて当然の話のはずだ。なにせ入り口で群がって来た記者達は鶴野提督の派閥の人間のはずだ。

 

「ええ、その予定ですがそれがなにか?」

 

「ほ、本当なのか!?」

 

「あ、はい。私は詳しい事は知りませんが、島津提督からそう聞いています。」

 

「チッ!!そうかよ・・・」

 

「では話を進めさせて頂きますが、演習についてはどなたに尋ねれば良いのでしょう?それとも待っていればなにかしら連絡を頂けるのですか?」

 

「少し待って頂けますか・・・・・・現在調整中ですので、おってご連絡するとの事です。」

 

「分かりました。それではご連絡お待ちしております。」

 

「じゃ、じゃあ私達はこれで失礼しますね。」

 

「ええ、では島津提督にもよろしくお伝え下さい。」

 

「あ・・・はい。分かりました。」

 

 古鷹さんは最後まで頑張って笑顔を浮かべようとしていたようだが、やはりどこか引き攣った笑顔になるのは仕方ないか。だが島津提督の意地と古鷹さんがなんとか取り繕おうとしてくれたおかげで、猿田提督に自分と佐世保派閥との仲が良いと誤解させる事に成功した。少々あからさま過ぎた気はするし、いずれは誤解が解けてしまうかもしれないが、今回の調査を凌げればそれで構わない。

 

「さて、鹿児島鎮守府の艦娘達も帰還されましたが、これからどうしますか?まだ調査を続けますか?」

 

「あ、当たり前だ。せめて海外艦についてだけでもなんか調べねぇと終われねぇからな。とりあえず工廠や倉庫を徹底的に調べる。」

 

「はぁ・・・まあ、やましい事は無いので好きにしてください。」

 

「ああ、赤嶺、そっちはお前達憲兵隊でやれ。俺はこいつに話がある。」

 

「はっ!!護衛は何名残しましょうか?」

 

「扉の外に一人でいい。大事な話だから絶対に許可なく入って来るなよ?行くぞ。」

 

 ほう?二人きりで話があるか。今度はいったい何を企んでいるのやら?とりあえずつい先程まで古鷹さんと三人でお茶をしていた部屋に戻る。曙も入ろうとしたが猿田提督に止められて部屋の前で待機させたので、部屋には猿田提督と自分の二人きりだ。

 

「それで?わざわざ人払いまでしてなんのお話でしょうか?」

 

「ここには俺とおめぇの二人きりだ。まだるっこしいやり取りは無しで腹ぁ割って話そうぜ。」

 

「・・・はぁ?そんな事は信用していない人間相手に出来るわけないでしょう?」

 

「このままじゃお互いに埒があかねぇだろうが?てめぇもこの調査が面倒くせぇだろうけどよ、俺もクソ面倒くせぇんだよ。だからお互いに情報を出し合って妥協点を探す。悪くねぇはずだが?」

 

 ふむ?なんと言うか猿田提督は先程まではずいぶんと荒れてたはずだが、ここにきて一気に落ち着きを取り戻したな。佐世保派閥との関係を見せつけた事で、強気な態度を維持出来なくなったから、今度は交渉に切り替えようって事か?あれだけ侮辱的な態度や脅迫をしておいてずいぶんと虫のいい話だが、とりあえず何を言い出すか聞いてみるか。

 

「そうは言ってもこちらから出せる情報なんて大したものは無いのですがね・・・それでもと言うならば話くらいは聞きますが、まずは猿田提督から誠意を見せて頂きたいものですね。」

 

「それが筋ってもんか・・・とりあえず鶴野の爺さんは海外艦にすげぇ拘ってるみたいだぜ。お前を鎮守府から追い出そうとしてるのも、お前から海外艦を奪おうとしたからだ。お前がムカつくってのも大きいだろうがな。」

 

「はぁ・・・その程度の事で何を話せと?鶴野提督が海外艦に拘ってる事なんて今更でしょう?」

 

「だけど俺がさっき連絡したときに、お前を追い出すよりも海外艦をドロップさせる方法について調べる方を優先しろって命令があったのは知らねぇだろうが?」

 

「知りはしませんが予想の範囲内ですね・・・まあ良いでしょうその情報に見合う程度の質問なら答えましょうか?」

 

「チッ・・・言い方が気に入らねぇが・・・とりあえずこのまま調査を続けたとして、海外艦のドロップについての情報なんて出てこないんだろ?」

 

 ほう?あれだけ探し回っていたのにもう諦めてくれるのか?それともこっちの油断を誘うつもりか?

 

「ええ、出てくる事は無いです。私はなにも知りませんからね。ああいや、一応私もこの鎮守府の全てを把握している訳ではありませんし、前任者が隠し部屋でも作っていて、そこになにか資料を隠している可能性は否定出来ませんね。だからなにか見つかる可能性はゼロでは無いですよ?」

 

「少なくともお前は見つかる訳は無いって思ってるんだな?」

 

「ええ、もちろんです。とはいえ私の発言を信じるおつもりですか?」

 

「だから腹ぁ割って話すって言っただろうが。そこ疑い始めたら話が進まねぇよ。それに大事な情報は頭ん中にだけ入れとくとか、研究資料は他所に置いてるとか色々あんだろ。少なくともここにはねぇって話を信じるだけだ。」

 

 こうも急に態度が変わると気味が悪いな。それにしても敵の言う事を信じるか。まあ、取引をしたければ必要な事かもしれないな。自分と久藤提督もお互いの利害が一致するという条件があれば、お互いの事をある程度信用して動く事が出来る。もちろんお互いに完全に信じ切る程脳内お花畑ではないから、本当に重要な局面では絶対に信じないだろうが。

 

「分かりました。その言葉を信じておきましょう。ではこちらから質問です。今回の一件で猿田提督はどうしたいのですか?」

 

「あー、一番良いのはお前のとこの海外艦手土産に鶴野の爺さんのご機嫌をとる事だが・・・無理だろ?」

 

「ええ、強引に話を進めるなら、こちらも手段を選ばずに抵抗するだけです。」

 

「わーってるよそんな事はよぉ!!んで海外艦ドロップの秘密も期待出来ねぇ、お前を提督の座から蹴落とすのも無理そう。だからけっこう詰んでんだよ。失敗したら何言われるかわかんねぇのによ。」

 

「そうでしょうね。だから今更交渉でどうにかしようとでも?」

 

「悪ぃかよ。んでどうしたいかだったな。俺としては鶴野の爺さんが納得するような成果か逃げ道が欲しい。じゃあこっちが聞く番だが、久藤提督とはどれくらい繋がってる?」

 

 ふむ?成果か逃げ道か。おそらく成果の方は無理だろうな。だが逃げ道の方ならば交渉の余地はあるか?

 

「久藤提督とはたぶんお互いに敵だと思ってますよ?共通の敵である鶴野提督に対しては、少しだけ協力するかもしれませんが。」

 

「つまりどっぷり繋がってるわけじゃねぇし、いざって時は頼れねぇって事か。」

 

「まあ、そのようなものです。猿田提督は鶴野提督の派閥でどれくらいの権力を持っているのですか?」

 

「あー、うちの派閥は提督が偉いって考えだから、けっこう好き勝手出来るぜ。それでも鶴野の爺さんには小間使いみたいにあれこれ命令されるけどな。」

 

「では他の提督に命令したりは出来ないと?」

 

「他の提督に命令したけりゃ鶴野の爺さんを通すしかねぇな。じゃあ次は北条工業とはどれくらい繋がりがあるんだ?」

 

「北条とは士官学校の同期です。北条個人とは多少の縁がありますが、北条工業とはなにも無いですね。というかさっきからなんですか?ずいぶんと私の背後関係を気にされてますが、鶴野提督の本命はそちらですか?」

 

 というか態度も話の方向性も急に変わったので、これで警戒するなという方がどうかしている。

 

「あーいや、これは俺の事情だな。つうかよく考えたらよぉ、俺は個人としちゃお前のやり口は嫌いじゃあないんだぜ?」

 

「・・・はぁ?どういうところがですか?」

 

「どこか一つの派閥に所属しないであちこちにコネを作っておいて、色々と甘い汁を吸おうってやり口だよ。確かにやられた側からすればムカつくやり方だがよ、逆に言えば俺自身がやる側になれば俺も良い思いが出来るって事だ。今まで俺は鶴野の爺さんの下でやって来たけどよぉ、不満がねぇわけじゃねぇからよ。いざって時に鞍替え出来るコネを作っておくのも悪くねぇと思ってな。」

 

「はぁ・・・そんな事をすれば鶴野提督から裏切り者だと判断されて処理されるだけでしょう・・・最初から敵対的な人間と部下の裏切りでは、鶴野提督の対応も大きく違ってくると思いますが?」

 

「それはかなりやべぇんだよなぁ・・・だから久藤提督と手ぇ結ぶならかなり慎重にやらなきゃなんねぇ。んで横須賀派閥は汚職に厳しいから論外だし、佐世保派閥も軍規でガチガチだから論外だ。そこでお前の出番ってわけだ。」

 

 いや、出番なんてあってたまるか。一刻も早く縁を切りたいのに、なんで自分がコネ作りの手伝いなんかしなくてはいけないんだ?

 

「はぁ・・・・・・どう考えても私の出る幕では無いでしょう?」

 

「まぁそう言うなって。お前は北条のご令嬢と仲が良いんだろ?んで北条のご令嬢は新しい派閥を立ち上げようと頑張ってるらしいじゃねぇか。普通なら新しい派閥の立ち上げなんか鶴野の爺さんと久藤のおっさんが潰すだろうが、流石にあの二人も北条工業相手に喧嘩は売らねぇはずだ。」

 

「まあ、そうでしょうね。」

 

「んで北条のご令嬢は4大派閥全部と仲良くする気らしいじゃねぇか。」

 

「北条が何を考えているかは知りませんが、士官学校では派閥に関係なく交友関係を広めていたようですね。私のような無所属の人間も含めて。」

 

「だったら俺が北条のご令嬢と仲良くしても鶴野の爺さんは文句言わねぇだろ?むしろ俺が北条のご令嬢と親密な間柄になれば、派閥間の仲介役として重要なポジションを獲得出来る。そうなれば鶴野の爺さんも俺には強く出れなくなるだろうし、いざって時は北条のご令嬢の派閥に入って匿って貰えば良い。な?完璧な計画だろ?」

 

 ・・・・・・少々夢を見過ぎではないだろうか?まず猿田提督が北条に気に入られるのが前提条件だし、鶴野提督が北条工業が絡む重要な交渉を他人に任せるとは思えない。しかもいざって時に匿って貰うと言うが、そんな事をすれば北条と鶴野提督の派閥は険悪な関係になってしまう。そんなデメリットを飲み込んでまで助ける程の関係を築けるとでも?

 

「さぁ、私には理解出来かねます。ですが猿田提督の要求はわかります。猿田提督を北条に紹介して欲しいのですよね?」

 

「ああ、話が早くて助かるぜ。」

 

 ・・・・・・まあ、北条と猿田提督が会う約束を取り付ける事くらいは出来るだろう。そもそも北条は派閥に関係なく交友関係を広めているし、いずれは全ての提督と話がしたいと言っていた気がする。そしてその後の事は北条が好きにやるだろう。

 

「・・・分かりました。おそらく北条と面会の約束を取り付けるのはなんとかなるでしょう。ですが私がするのはそこまでです。その後どうするかは猿田提督次第で私は関与しませんが構いませんね?」

 

「おう、それで構わねぇ。むしろ仲介役として今後も幅を利かされたら邪魔だからな。」

 

「では面会の約束を取り付ければ、即座に北九州鎮守府から手を引いて出ていく。この条件で構いませんね?」

 

「おお、交渉成立だな。な?話せば分かるもんだろ?」

 

 ・・・元々話なんてする気も無くて高圧的な態度をとってた奴がよく言うものだ。さて、この面倒な奴を北条に押し付けるとするか。どうせ北条に振り回されて終わるか、北条に上手く使われて終わるだろ。

 

「・・・そうですね。では北条と話をしてきますので少しお待ち下さい。」




 面倒な人の相手を面倒な人に任せる。我ながら最低な解決方法かも・・・
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