疑心暗鬼提督のブラック鎮守府再建   作:ライadgj1248

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 新年明けましておめでとうございます。
 今年も気まぐれ更新にはなりますが気長にお付き合い頂き、この作品を楽しんで頂ければ幸いです。

 では待ちに待った夜戦演習!!・・・・・・の準備です。


237話

「大淀さん、神通隊は所定の位置に着きました。ええ、ええ、はい。では提督の通信が終わるまでその場で待機します。それでは。」

 

 おやおや?出港時も司令官はなにやらお忙しいようでしたが、どうやらもう少しかかりそうなご様子ですね。演習が終わってから是非とも取材したいところですが、うちの司令官はとーーーってもガードが堅くて、あんまり喋ってくれないんですよねぇ。それよりも今は演習で海外艦のお二人が、どのような能力をお持ちなのかを調べたいところですね。

 

「総員、この場で待機との命令です。今のうちに道中で話した作戦の再確認をします。」

 

 うーん、神通さん気合い入ってますねぇ。なにせ演習の相手は夜戦忍者と名高い川内さん。夜戦においては反則的な強さをお持ちですからねぇ。妹の神通さんも対抗意識を燃やしてるようですし、この姉妹対決にも注目です。

 

「まず初めに頭に入れて欲しいのは相手はあの姉さんだという事です。夜戦での姉さんの感覚は異常な程に鋭いですから、こちらの動きは常に把握されていると考えて下さい。ですからいつ狙われても回避行動にうつれる心構えを持っていて下さい。」

 

 本来の夜戦であれば相手との位置の探り合いになるのですが、あの川内さん相手では勝負になりませんから仕方がありませんね。先制攻撃をされるのは諦めて、どれだけ初手の被害を抑えて反撃に移れるかが肝要ですね。

 

「次に相手が仕掛けて来る時は十中八九姉さんが探照灯でこちらを照らして来ます。ですから探照灯で照らされたら即座に回避行動をして初撃をやり過ごして下さい。

その後は陣形を整えつつ青葉さんに探照灯で相手を探して貰い反撃を開始します。この時に探照灯を持って目立っている姉さんを狙ってはいけません。姉さんをすぐに仕留めるのは困難なので、姉さんが稼いだ時間で他の娘達に砲撃されてしまい、戦力差が広がってしまうだけです。ですから駆逐艦の娘達は敵駆逐艦を、衣笠さんと青葉さんはプリンツ・オイゲンさんを狙って下さい。私は姉さんを牽制する為に砲撃します・・・が牽制以上の事は期待しないで下さい。」

 

 なるほどなるほど。まずは川内さんの無茶苦茶な戦術に嵌まらないようにするべきと。旗艦の川内さんさえ倒してしまえればかなり有利になりますが、それが一番難しいっていう罠ですから避けるべきですよね。それにしても神通さんはかなり悔しそうな表情ですね・・・やはり姉妹艦の川内さんに実力で遠く及ばない事に忸怩たる思いを抱えているのでしょう・・・それでも勝つ事を諦めた目ではないですね。

 

「と、ここまで姉さんの危険性を語りましたが、姉さんにも弱点・・・とまでは言えなくとも付け入る隙はあります。」

 

「え!?夜戦での川内さんの弱点ですか!?なんですかそれ!?青葉すっごく気になります!!」

 

「当たり前と言われればそれまでなのですが・・・姉さんは軽巡洋艦です。」

 

「は、はぁ・・・もちろん知ってますが・・・」

 

「ですので火力が低く重巡洋艦の青葉さんと衣笠さんを仕留めるのには苦労します。ですから砲撃戦で重巡洋艦のお二人を仕留めるならば、海外艦のお二人に任せるしかありません。ですので海外艦のお二人と重巡洋艦のお二人の砲撃戦がメインになります。この砲撃戦でお二人が生き残り、さらにプリンツ・オイゲンさんを撃破してから雷撃戦に持ち込むのが私達の勝利条件と考えて下さい。」

 

「こ、これは責任重大ですね・・・」

 

「う、うん。でもそれだけ衣笠さん達に期待してるって事だから頑張らないとね!!でもそうなると青葉が探照灯役するのはちょっとキツくない?」

 

「だったら探照灯役は暁に任せてくれても良いわ!!」

 

 確かに探照灯役をしながら衣笠と二人で海外艦のお二人と砲撃戦をして、こちらは二人共生存しながらプリンツ・オイゲンさんを撃破する・・・かなりハードなお仕事なので探照灯役を暁ちゃんに代わって欲しいのですけれど・・・神通さんは首を横に振られてますね・・・

 

「確かにその案も考えましたが・・・駆逐艦の娘達に探照灯を持たせてしまうと、姉さんの砲撃で真っ先に潰される危険があります。それに私が探照灯を持って生存出来るかと言われると、まず不可能でしょう・・・姉さんの好きにさせないように妨害しながら指揮するのが限界です。」

 

「な、なるほど・・・」

 

「ですから衣笠さん、青葉さん。」

 

「「は、はい。」」

 

 神通さんが青葉達に静かに微笑んできますが、柔らかな印象がまったくありません!!というか物凄く怖いです!!

 

「勝つ為に死ぬ気で頑張って下さい。」

 

「「は、はい!!」」

 

「もちろんお二人だけではありません。駆逐艦の皆さんも雷撃戦で有利に戦う為に、砲撃戦で相手の駆逐艦の数を減らす必要がありますし、雷撃戦ではビスマルクさんを確実に仕留める必要があります。ですから死ぬ気で頑張って下さいね。」

 

「「「はい!!」」」

 

「では作戦会議は以上です。演習開始まで各自集中力を高めていて下さい。絶対に勝ちましょう。」

 

 うぅ・・・やっぱり演習の時の神通さんはとっても恐ろしいです・・・けどそれだけ演習に真剣に向き合っているって事ですし、やっぱりやるからには勝ちたいですよね!!よぉーし!!頑張るぞぉ!!

 

―――――――――――――――――――――

 

 Ha・・・初めての演習が夜戦なんて最悪だわ・・・夜更かしはお肌に悪いし、敵は捕捉し難いし、敵の攻撃も避け難い。しかも少しずつ雨も降り始めて最悪よ!!濡れるし視界の確保や集音に支障が出るのも嫌だけど、何よりも天気の荒れた夜でも関係なく追い掛けてくるあの忌々しい複葉機を思い出すのが最悪よ・・・

 

「ビスマルク姉さま?」

 

「・・・なんでも無いわ。」

 

 だからってオイゲンの前で夜戦に嫌な思い出があるから参加したく無いなんて、情けない姿を見せれる訳ないでしょ!!しかもあのAdmiral!!このビスマルクが演習に付き合ってあげるって言うのに、急に別件が入ったからと見送りにも来ないのよ!!しかも旗艦をこの私にしないなんて!!

 

「夜〜戦♪夜〜戦♪た〜の〜し〜い〜夜〜戦♪♪」

 

 さっきからあんな変な歌を呑気に歌ってる軽巡洋艦に任せるだなんてどうかしてるわ!!しかもシラヌゥイは相変わらず睨んでくるし!!確かに私達ちょっと揉め事はあったけどちゃんと和解したわよね!?この娘はいつまで過去の事を引きずってるのよ!?それとさっきからちょっと離れたところでコソコソやってる駆逐艦の娘達もよ!!

 

「ほら響、せっかくのチャンスなんだから話し掛けて仲良くならないと。」

 

「Нет・・・なんだかとっても機嫌が悪そうだ・・・今話し掛けるのは得策じゃない・・・」

 

「そんな事言ってたらいつまでも話し掛けられないじゃない!!」

 

 コソコソするならわからないようにやりなさいよ!!というかこのビスマルクと話がしたいなら堂々と話しかければ良いじゃない!!別に私は駆逐艦の娘達から話し掛けられたからと言って怒る程狭量じゃないわよ!!

 

「あ、もしもし大淀?指定位置についたよ♪早く夜戦やろうよ♪夜戦♪・・・・・・え!?提督の電話がまだ終わらないから待機!?早く夜戦やろうよ〜!!皆夜戦がしたくてうずうずしてるよ!!夜ー戦!!夜ー戦!!夜戦夜戦夜戦夜戦夜戦あっ切られた・・・」

 

「ちょっとあなた落ち着きがないわよ!!旗艦を任せられたならもっと堂々としてなさいよ!!」

 

「あはは、ごめんごめん。でも夜戦だとついテンション上がってしまってさぁ〜」

 

「Igitt 貴女こんな悪天候での夜戦が本当に楽しみだなんて言ってるの?」

 

「もちろん♪星空の下での夜戦も当然とっても楽しいけど、曇天や荒れた天候での夜戦ってのもまた違った趣きがあるじゃん♪いつもよりさらに暗い世界だし、そんな悪い視界を雨がさらに悪化させるし、集音性にも影響が出るから索敵がとっても大変になる!!う〜ん、最高だね♪」

 

「どこがよ!?」

 

 なんなのこの・・・センダーだったかしら?この軽巡洋艦頭おかしいんじゃないの?

 

「え?夜戦の環境が厳しいって事は、それだけ夜戦の技術を持ってる方が有利って事でしょ?だったら夜戦技術がより試されるし、演習なら夜戦技術の習得にもってこいじゃん♪」

 

「・・・・・・センダー、貴女よっぽど夜戦に自信があるのね?」

 

「もちろん♪夜戦と言ったら私!!私と言ったら夜戦だもん!!川内と書いてやせんって読むくらいだよ?」

 

「Achso?日本語って一つの単語でも複数の読み方があるからややこしいのよね・・・まぁ良いわ。貴女が夜戦に自信があるのはわかったけど、まだ演習が始まるまで時間があるのでしょう?作戦とかどうするのよ?」

 

「え?あー、さっきハンドサイン教えたよね?あれで指示を出すつもりだから、接敵するまではそれに従ってくれれば大丈夫だよ。あとは私が先行しながら探照灯で相手を照らすから、そこを目掛けて撃ってくれれば問題ないよ。」

 

「・・・は?バカなの!?貴女旗艦でしょ!?それなのに一人で先行した上に探照灯まで使うつもり!?旗艦がやられたら終わりなの理解してるの!?探照灯を使えば攻撃が集まるのなんて常識でしょ!?」

 

「ふーん?ビスマルクさんはわかってないなぁ?」

 

 っ!?なんなのこの娘は!?この余裕な笑み・・・何かとっておきの策でも用意しているとでも言うの!?

 

「な・・・何がわかってないのよ?」

 

「ビスマルクさん・・・・・・攻撃は避けたら当たらないんだよ?」

 

「・・・・・・Wie bitte?」

 

「ん?えっと・・・だから相手が撃ってくるのを避ければ問題無いって事だよ。大丈夫、私避けるのとっても上手いから♪」

 

 何を言い出すかと思えば撃たれるなら避ければ良いって・・・そんな事出来たら苦労しないわよ・・・というか何で私だけがこの軽巡洋艦の暴走に付き合ってやらなきゃいけないのよ?

 

「Igitt・・・貴女達も何か言ってやりなさいよ・・・それとも日本艦は間違ってる上官に苦言の一つも言えないのかしら?」

 

「えっと・・・川内さんだし・・・ねぇ、響?」

 

「そうだね。無茶苦茶な事を言ってるのはわかってるけれど、川内さんだからね。」

 

 この駆逐艦姉妹はダメね!?なら最後は!?

 

「シラヌゥイ!!シラヌゥイは真面目な娘でしょ!?なんとか言ってやりなさいよ!!」

 

「ビスマルクさん少し落ち着いて下さい。ビスマルクさんが混乱する気持ちはよくわかりますが、戦場で冷静さを失えば敵に沈められるだけでなく味方も危険に巻き込む事になりかねません。」

 

「シラヌゥイ・・・・・・取り乱して悪かったわね。」

 

「いえ、落ち着いて頂ければ問題ありません。それでビスマルクさんの困惑を理解した上で言いますが、川内さんは先程のような豪語をするのに相応しい実力の持ち主です。戦艦棲姫相手には遅れを取ってしまいましたが、それでも夜戦における索敵能力と回避能力は素晴らしいものがあると断言出来ます。」

 

「そ、そう・・・真面目な貴女がそこまで言うなら冗談ではなさそうね・・・」

 

「ええ。それと川内さんの戦い方は非常識ですが、その常識にとらわれない戦い方できちんと戦果をあげています。ですから今回の演習はその川内さんの戦い方を海外艦のお二人に知って頂く事が目的だと司令から伺っています。」

 

「そう・・・分かったわ。情報に感謝するわ。」

 

「いえ、それでは川内さんの指揮下で勝利しましょう。」

 

 それだけ言ってシラヌゥイは私から離れていく。会話の最中もずっと睨んできてたけど、怒ってるにしてはずいぶんと落ち着いた物言いだったわね。もしかして怒ってるんじゃなくて、演習を前に気が昂ってるだけなのかしら?

 

「ビスマルク姉さま、ビスマルク姉さま、ちょっとこちらに。」

 

「何よオイゲン?そんなにコソコソして?」

 

「少しビスマルク姉さまのお耳に入れておきたい事がありまして・・・その・・・私聞いちゃったんですけど、センダゥアイさんって実は・・・ニンジャらしいんですよ!!」

 

「ニンジャ・・・ニンジャ・・・はっ!?日本の諜報組織で暗躍していると言われてるあのニンジャ!?」

 

「ええ、諜報活動から破壊工作に要人暗殺までなんでもこなすうえに、生身で水の上を走ったり数mはある壁を平気で乗り越えたりする身体能力を持ち、煙と共に消えたり火を吹くなどの多彩な技術を持ち、さらにはニンジャソードによる近接戦闘までこなせる、あの伝説のニンジャらしいです!!」

 

「で、でもSDもAbwehrも本物のニンジャに遭遇した事は無かったという話でしょう?まさかニンジャが実在していただなんて・・・しかもそんなニンジャの技術を持った艦娘だなんて・・・」

 

「しかもセンダゥアイさんは夜戦ニンジャ、つまりは夜間の戦闘に特化したニンジャらしいです。」

 

「そう・・・なのね・・・」

 

 なるほどね。あの堅物なAdmiralがなんでこんな無茶苦茶な作戦を実行しようとする娘に旗艦を任せるのか疑問だったけれど、この部隊は伝説のニンジャに率いられた特殊部隊って訳ね。特殊部隊のエリートであれば、通常の部隊では不可能な作戦を遂行するのが当たり前。そしてAdmiralはそんな部隊の演習に私とオイゲンを参加させた。ふふふっ、面白いじゃない!!

 

「オイゲン、気を引き締めなさい。Admiralが日本の秘密を晒してまで私達に日本の実力を見せつけようとしてるのよ!!ここで恥ずかしい姿を晒せばドイツ軍人はその程度かと笑われてしまうわ!!」

 

「Ja!!ドイツ軍人の誇りにかけて頑張ります!!」




 やっぱり夜戦ニンジャが登場すると戦闘シーン以外はギャグになってしまう。そこにビスマルクとプリンツ・オイゲンまで加わったら・・・
 うん、作者に責任はないな。
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