疑心暗鬼提督のブラック鎮守府再建   作:ライadgj1248

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 お待たせしました、金剛姉妹編中編です。前後編の2部構成じゃなかったのか?ですか・・・そんなことは記憶にございません・・・


22話

 会議室に自分と榛名の二人きりになったが、榛名は相変わらず俯いて黙り込んでいる。何かしら話したいことがあるのかと思ったが、ただ話す気力が無いだけだったか?

 

「榛名、話したい内容はまとまったか?」

 

「・・・ごめんなさい。何を言えば良いのか、榛名には分からないんです・・・」

 

「・・・そうか。だが何かを話したい気持ちはあるのだな?」

 

「はい・・・どうして良いのか分かりません。でも前と一緒なのはもう嫌なんです。」

 

 前と一緒は嫌か・・・一応今までの情報から、戦艦と正規空母は優遇されていたと思っていたが、思うところがあったのだろう。

 

「そうだな・・・どうしたら解決するかは一先ず後回しにして良い。それは私も考えることは可能だろう。だから何が嫌だったのかを教えて欲しい。そこは榛名にしか分からないことだ。」

 

 そう榛名に伝えると俯いたまま涙を溢し、それでもゆっくりと話し始めた。

 

「榛名は・・・榛名は金剛姉様の張りつめた表情は見たくないです。比叡姉様にも霧島にも笑って欲しいです。他の仲間達が苦しむのも見たくないです・・・」

 

 涙と共に溢したその嘆きは、榛名が抱え込んでいた闇そのものなのだろう。姉妹を、仲間を思いやる優しさを持つがゆえに、前任者の行いに心を痛めてきたのだろう。

 

「前任者が艦娘をどう扱っていたかは、他の艦娘からもある程度聞いている。それが全てとは思っていないが、戦艦と正規空母はそれなりに優遇されていたのではないのか?」

 

 前任者は戦艦と正規空母でごり押しする戦いを好んでいたはずだし、響の話では客人の接待に戦艦と正規空母は呼ばれなかったと聞いている。

 

「・・・そう・・・ですね。私達戦艦や正規空母は特別扱いされていました。補給や入渠などは優先的にさせて貰って、戦闘時も極力損害を受けないように配慮されていました。他の艦娘達が受けていた鞭打ちや拷問なども滅多にされません。お客様の接待も私達は免除されていました。・・・提督のお相手はさせられていたので、清い体ではいられませんでしたが・・・」

 

「・・・ほとんどさせられなくて当然の事ではあるのだが、一応前任者から優遇はされていたのだな。」

 

「・・・はい・・・そうです。でもそれは他の艦娘達の犠牲の上に成り立っていました・・・」

 

―――――――――――――――――

 

 榛名の話では戦艦や正規空母が出撃する時には、いつも随伴の駆逐艦がついて来て、所謂弾除けとして使われていたそうだ。随伴の駆逐艦達は戦艦に迫る砲弾を避けることは許されず、多くの駆逐艦達が沈んだ。そしてその戦果は残されず、戦艦達がほぼ無傷で勝利したという輝かしい戦果だけが残ったという。もし戦艦達が被弾でもしようものなら、随伴の駆逐艦達が罵倒と共に鞭打ちが待っている。

 

「金剛姉様は優しい人です。以前は現状を変えようと前任者に訴えたり、轟沈寸前の駆逐艦達を庇ったりしていました。ですがそんな話を聞き入れて貰えるはずもなく、庇われた駆逐艦達は前任者に激しく叱責されていました・・・でも金剛姉様は戦艦でしたので軽い叱責で済んでしまいます。そして金剛姉様は助けた駆逐艦達から責められるようになったのです・・・なぜ余計なことをしたのかと・・・庇ったりしなければ私が沈むだけで済んだのにと・・・」

 

 榛名はとても苦しそうに当時の惨状を語る。

 

「金剛姉様の絶望した顔は忘れられません。それでも金剛姉様は助けられる命を見捨てることが出来ずに、何度も同じ過ちを繰り返し、何度も傷付いて心をすり減らしてしまいました。その苦しみの果てに命令にただ従うことが、一番被害が少ないことだと考えるようになったのです。」

 

「はぁ・・・優しさが前任者の時代では仇になってしまったのか・・・」

 

「ええ、ですから私達に出来ることは、駆逐艦達が沈む前に敵を沈めることだけでした。遠距離から弾薬を使いきるつもりで砲撃して、早く戦いを終わらせるような戦い方です。それでも被害が出ない訳ではありませんでしたが、それが一番被害を抑えることが出来ました。」

 

「毎回そんな戦い方をしていたら弾薬が持たないし、連戦も出来ないだろう?」

 

「前任者は派手な戦いを好んだので、そこは大丈夫でした。あと深海棲艦の侵攻も、日本海側だとそこまで多くないので。」

 

 しかし資材を無駄使いする余裕は今後なくなるだろう。早めに演習で普通の戦い方に慣れさせるか。

 

「よく話してくれた、ありがとう。朝礼でも言ったと思うが、私が指揮を執る以上無駄に艦娘達を沈めるつもりはない。戦争だから絶対に沈めないなんて約束は出来ないが、お前達が沈まないように準備を整え作戦を組み立てることは保証しよう。」

 

 榛名は未だに俯いたまま目を合わせようとはしない。涙は枯れず、それでも言葉を紡いでいく。

 

「・・・なぜ・・・ですか?」

 

「・・・なぜとは?」

 

「なぜ私達を沈めたくないと思うのですか?」

 

「簡単に沈めたら練度が上がらずに、いざという時に対応出来ないからだ。」

 

「それならば全員の練度を上げる必要は無いですよね?育てる者を選んで他を犠牲にして守ったほうが、効率が良いことは知っています。そうやって私達は育てられました。提督は戦果を求める方だと聞いています。ならどうして効率が良い方法をとろうとしないのですか?」

 

 ・・・なかなか鋭いところを突かれたな。練度の話は嘘ではないが、それだけが理由ではない。今までの艦娘達はそれだけで納得してくれたのだが・・・榛名は俯くのをやめてこちらを真っ直ぐ見据えてくる。これは誤魔化すのは無理か・・・

 

「・・・分かった、もう一つの理由も話そう。ただしこの話は公に出来る内容ではない。だから誰にも話さないのが条件だ。もちろん姉妹に伝えることも禁ずる。それでも聞きたいか?」

 

 榛名は覚悟を決めた目でこちらを見据え、無言で頷いた。

 

「深海化だ。」

 

「深海化・・・とはなんですか?」

 

「正式名称は『艦娘における深海棲艦化現象』だったかな?」

 

「どういうことですか!?私達が深海棲艦になると言うのですか!?」

 

 榛名は驚愕に目を見開き、思わず叫んでいた。それくらいのショックを受ける話だろう。

 

「この情報は隠蔽されているので、軍でも知っている者はほとんどいないだろう。詳しい原因等は分かっていないが、深海棲艦に沈められた艦娘が深海棲艦へと変化してしまう現象だ。」

 

「嘘!そんなどうして!?なら今まで沈んでしまった娘達も!?私が沈めた深海棲艦も仲間だったかも知れないのですか!?」

 

「まずは落ち着いてくれ、大声を出せば誰に聞かれるか分からない。一先ず深呼吸だ。」

 

 榛名は言われるがままに深呼吸をして、少しだけ落ち着きを取り戻したものの、やはり衝撃は大きすぎたようだ。

 

「はぁはぁはぁ・・・すみません、取り乱してしまいました。ですがなぜそんな秘密を提督が知っているのですか?提督は新人だと聞いていますし、それほどの権限があるとは思えません。」

 

「・・・それを研究していたのが、殺された私の兄だからだ。」




 想定以上に長くなってしまったので金剛姉妹編が三部構成になってしまいました。まだまだシリアスパートが続きそうです。気晴らしに夜戦にでも行きたい気分です。

もうすぐ一周年と言う事で久しぶりにアンケートをしたいと思います。この作品のキャラでの人気投票的なやつです。是非ご参加下さい。

  • 主人公葛原提督率いる問題児四天王
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  • 叢雲ちゃん率いる横須賀艦隊
  • 俺の嫁が出てねぇぞ!!早よ出せや!!
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